俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第9章 #26「溜まってるの私♡」

 「おおお俺と、セセセ…」

 あまりにもどストレートな返しにろれつが回らなくなるほどに緊張し出した。もうちょっとオブラートに包んでもいいんじゃないか?

 「ふふっ♡ 久しぶりだからものすっごい溜まってるの私♡」

 俺が慌てている様がそんなに面白いのか、風見先輩は再び見せつけるようにシャツを捲りながら、こっちに向かっておもむろに歩いてくる。口調からして本当に溜まっているようだ。

 「……」

 誘惑してくる風見先輩をよそにとりあえず、状況を整理することにした。

 周りを見回してみるが、薄暗くてなにがあるのかよくわからない。目の前に歩み寄ってくるほぼ全裸の風見先輩ぐらいしか見えない。どうやら板かなにかで窓を全て塞いでしまっているようだ。

 ただ、地面がコンクリートだということは把握した。ということは民家ではないようだ。使われなくなった廃ビルとかだろうか?

 そして、これは俺の予想だが、今は夜だ。いくら板で塞いだとしても日が沈んでいなければ、どこかの隙間から日の光が入ってくるはずだ。

 だが、日の光はどこからも入ってきていない。つまり、日が沈んでしまっているのだ。

 おそらく窓を塞いでいるのは、他の人に見られないようにするためと、俺が外に助けを求められないようにするためだろう。ん? っていうことは、ここはそんなに人気がない場所というわけでもないのか? いや、万が一ということもあるのか。

 しかし、1つだけ違和感を感じることがあった。

 「なあ、風見先輩」

 「ん? なぁに?」

 俺はそのことについて風見先輩に問いかけてみることにした。

 「なんていうか、不用心が過ぎるんじゃないですか?」

 俺は風見先輩にそう問いかけながら手を広げ、自分が自由に動けることをアピールした。

 そう。今の俺は自由に動き回ることができるのだ。手足は縛られてはいないし、由佳さんのときみたいな妙技を使われている様子もない。夢魔の吐息の効果もとっくに切れている。

 つまり、俺が逃げたそうと思えば、今すぐにでも逃げれる状態なのだ。

 それとも俺が逃げてもすぐに捕まえられるという自信の表れだろうか?

 「ふふっ、佐藤君、ひょっとして私を試してる? わざわざ私にそれを聞くなんて。言わなきゃ逃げられたかもしれないのに」

 「試してるのは風見先輩の方でしょ? 『言わなきゃ逃げられたかもしれない』っていうのも胡散臭いし」

 そんな俺の問いかけに笑いながら返し、逆に聞き返してきた風見先輩。それに対して俺は皮肉混じりに言い返した。

 だが、それは事実だろう。俺が不意に逃げてもすぐに捕まる未来しか見えてこない。

 「ふふ♡ じゃあ逃げるのは諦めたみたいね。なら、たっぷり楽しみましょうか、2人っきりで」

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