俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第9章 #24「本能の風見乱子」

 「俺の知ってる、風見先輩?」

 「ええ」

 俺は風見先輩の発言に小首を傾げた。言っている意味がよくわからなかったからだ。

 たしかに、俺の知っている風見先輩は手を繋ぐさえも不純性交友だと言い張る人だ。そんな人がほぼ全裸のような格好で誘惑してくるとは思えない。

 しかし現に今、そんなことをしている風見先輩がいる。やっぱり意味がわからない。

 「…それ、どういう意味なんですか?」

 お手上げ状態になった俺は仕方なく風見先輩に問いかけてみた。ここは直接本人に聞いた方が早いしな。

 「ふふふっ♡ いいわよ。正直に聞いてきたあなたに特別に教えてあげる。私は風見乱子の『本能』なの!」

 「風見先輩の本能?」

 すると風見先輩は素直に答えてくれたが、それを聞いてもよくわからなかった。

 「私はインキュバスとサキュバスの間に産まれた子供だということは知ってるでしょ?」

 それを察してか、風見先輩は俺に確認を取ってきたから、俺は素直に頷いた。

 「淫魔と淫魔の血を受け継いだ私は他のサキュバス達よりも遥かに性欲が強かったの。何十人もの男の精気を吸っても足りなかった」

 「……」

 その話を聞いて俺はふと由佳さんのことを思い出していた。たしか由佳さんが精気を吸った被害者の数は5、6名ほどだったか。つまり、風見先輩はその倍ぐらいの被害者を出していることになる。

 そんな事件が密かに起こっているにもかかわらず、一切事件として扱われないのが恐ろしい話だ。まあ実際のところはわからないが。

 「あまりにも強すぎて、見かねた私の親はなんとか私の性欲を抑えようとしたの。そこで生み出されたのが、コレよ」

 「? 注射器?」

 話を進める風見先輩はふとどこからか注射器のようなものを取り出してきた。注射器の中には無色透明の液体が入っていた。まさか、ヤバい薬物とかで抑えようとしたんじゃないだろうな。

 「この注射器の中に入ってるのは、淫魔達に伝わる特殊な成分が含まれた抑制剤なの。コレを注射することで、ある程度性欲を抑えることができるの」

 すると、そんなことを考えていた俺に風見先輩は説明を付け加えてきた。どうやらなんの成分かまではわからないようだが、その液体を注射することにより、性欲を抑えられるようだ。そんなのあるならもっと早く由佳さんに使ってもらいたかったと俺は内心そう思った。

 「ところがその注射を打った私にある異変が起こったの」

 「異変?」

 説明をしたあと、風見先輩は突然、まじめな表情と口調に変わった。こっから先はかなりまじめな話らしい。一体、なんなのだろうか?

 「それは、『理性』の風見乱子が誕生したということです」

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