俺の高校生活に平和な日常を
第9章 #5「本当の気持ち」
「別にいいんじゃないの?」
「…えっ?」
すると綴さんの問いかけに有紗が真っ先に返してきた。
「私だって自分のために色んな人傷つけてきたし、アンタはソイツを守りたくってしたことでしょ?」
有紗はそう言いながら司君を指差していた。司君は俺達がまじめな話をしていることなど露知らず、気持ち良さそうに眠っていた。たしかに、綴さんは司君を守るためにしてしまったことだ。それは仕方のないことだと俺は思う。
「大事なもの守るために大事ななにかを犠牲にするしかなかった。善し悪しはともかく、仕方のないことなんじゃない」
どうやら有紗も俺と同じ考えのようだった。多分、綴さんの立場からしたら、それしか方法が思いつかないと思う。
「アンタがしたことは決して悪いことなんかじゃない」
「けど、一歩間違えれば殺していたんですよ?」
「でも、結果的には死んでないんでしょ? なら、よかったと思うべきなんじゃないの?」
「けど、私は…」
「……!?」
しかし綴さんは自分のしたことに対して納得していないようで、有紗がフォローしようとしても納得しようとはしない。まさにああ言えばこう言う状態だ。
そんな綴さんを見て有紗はだんだん苛立ち始めていた。下手したら有紗のやつ、殴りかかるんじゃないか?
「アンタ、さっきと言ってることと矛盾してるじゃない! 『受け入れて欲しい』って言った割に自分のしたことを咎めようとする」
「ッ!?」
有紗に指摘され綴さんはようやく自分が矛盾した発言をしていることに気がついたようだ。
有紗の言う通り、俺達は受け入れるつもりでいるのに、綴さん本人がそれを拒絶しようとしている。これじゃあまるで遠回しに受け入れないで欲しいと言っているようなものだ。それはあきらかに矛盾している。
「綴さん。綴さんは本当に俺達に受け入れて欲しいの? イヤ、イジワルで言うつもりはないんだ。俺達はただ、綴さんの本当の気持ちを知りたいだけなんだ」
「……」
本当に綴さんが俺達に受け入れて欲しいと思っているのだろうか? 俺はそれが気になり綴さんに問いかけてみた。ちょっとばかしイジワルっぽく聞こえるかもしれないが、俺達はただ綴さんの気持ちを知りたかったのだ。
綴さんは俺達にどうして欲しいのだろうか? どう見られたいのだろうか? それが知りたかったんだ。
すると綴さんはしばらく黙り込んだ。きっと葛藤しているのだろう。多分、受け入れて欲しいという気持ちと拒絶して欲しいという気持ちが頭の中で交戦しているのだろう。
「…はい」
そしてしばらく葛藤していた綴さんが小さく首を縦に振るのだった。
「…えっ?」
すると綴さんの問いかけに有紗が真っ先に返してきた。
「私だって自分のために色んな人傷つけてきたし、アンタはソイツを守りたくってしたことでしょ?」
有紗はそう言いながら司君を指差していた。司君は俺達がまじめな話をしていることなど露知らず、気持ち良さそうに眠っていた。たしかに、綴さんは司君を守るためにしてしまったことだ。それは仕方のないことだと俺は思う。
「大事なもの守るために大事ななにかを犠牲にするしかなかった。善し悪しはともかく、仕方のないことなんじゃない」
どうやら有紗も俺と同じ考えのようだった。多分、綴さんの立場からしたら、それしか方法が思いつかないと思う。
「アンタがしたことは決して悪いことなんかじゃない」
「けど、一歩間違えれば殺していたんですよ?」
「でも、結果的には死んでないんでしょ? なら、よかったと思うべきなんじゃないの?」
「けど、私は…」
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しかし綴さんは自分のしたことに対して納得していないようで、有紗がフォローしようとしても納得しようとはしない。まさにああ言えばこう言う状態だ。
そんな綴さんを見て有紗はだんだん苛立ち始めていた。下手したら有紗のやつ、殴りかかるんじゃないか?
「アンタ、さっきと言ってることと矛盾してるじゃない! 『受け入れて欲しい』って言った割に自分のしたことを咎めようとする」
「ッ!?」
有紗に指摘され綴さんはようやく自分が矛盾した発言をしていることに気がついたようだ。
有紗の言う通り、俺達は受け入れるつもりでいるのに、綴さん本人がそれを拒絶しようとしている。これじゃあまるで遠回しに受け入れないで欲しいと言っているようなものだ。それはあきらかに矛盾している。
「綴さん。綴さんは本当に俺達に受け入れて欲しいの? イヤ、イジワルで言うつもりはないんだ。俺達はただ、綴さんの本当の気持ちを知りたいだけなんだ」
「……」
本当に綴さんが俺達に受け入れて欲しいと思っているのだろうか? 俺はそれが気になり綴さんに問いかけてみた。ちょっとばかしイジワルっぽく聞こえるかもしれないが、俺達はただ綴さんの気持ちを知りたかったのだ。
綴さんは俺達にどうして欲しいのだろうか? どう見られたいのだろうか? それが知りたかったんだ。
すると綴さんはしばらく黙り込んだ。きっと葛藤しているのだろう。多分、受け入れて欲しいという気持ちと拒絶して欲しいという気持ちが頭の中で交戦しているのだろう。
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