俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第8章番外編 #7「姉ちゃん」

 「せっかくだし、司も私の呼びかたを変えてみたら?」

 「呼びかたって、『ご主人』をっスか?」

 「そう。さっきから思ってたんだけど、なんかその呼びかた、しっくりこないなって思ってたの」

 司という名前を与えた私はついでに私の呼びかたについても変えてもらうことにした。

 『ご主人』と言われると、なんだか妙な違和感を感じる。見た目が男子中学生だとなおさらだ。変な誤解を招きかねそうだ。

 「じゃあご主人のこと、なんて呼べばいいんスか?」

 「んー、そうね…」

 しかし、言ってみたはいいものの特にどう呼ばれてみたいというというのがなく、思いのほか悩まされていた。あんまりいいの思いつかないし、やっぱりここは普通に『綴』でいいのかしら?

 「あっ、じゃあ…」

 だがしばらく悩んだ後、私はふといいことを思いついた。

 「司、いい? 今日から私達は姉弟になるの!」

 「きょう、だい、っスか?」

 「そう。外見で見れば、私とあなたの年はそんなに変わらなそうだし。そうなると私があなたの姉で司、あなたが私の弟になるってのはどうかしら?」

 「ご主人が姉で、オイラが弟、っスか?」

 「ええ、そうよ」

 私が思いついたのは、私達が『姉弟』になるということだった。側から見れば私と司の年の差はあまり変わらないように見える。まあ召喚獣の年齢なんて本人達でもわからないだろうけど。

 だから『姉弟』という設定にしておいた方がなにかと都合がいいと私は考えたのだ。司の存在が知られたとしても弟だと言えば問題ないだろうし、警察沙汰になるようなことがなければ身元を調べられることはないだろう。

 本当のことをいうと、ただ単純に弟か妹が欲しかったからというのもあるが。司を見ているとなんだか弟のように可愛く見えてきている自分がいるのだ。

 「いいっスね! オイラ、きょうだいっていうの、欲しかったっス!」

 「そう。ならよかったわ」

 そんな私の提案に司は喜んで承諾してくれた。私はその言葉を聞いてホッとしていた。ひょっとしたら不服に思われたらどうしようかと思ったが、司の表情を見る限りでは嫌そうな感じはなかった。それにしても召喚獣でもきょうだいが欲しいとか思うんだ。

 「じゃあ、これからよろしくっス、姉ちゃん!!」

 すると司は笑顔でそう言いながら、握手を求めてきた。その笑顔がなんとも愛らしかった。

 「ええ。よろしくね、司」

 それに対して私も笑顔で返しながら握手を交わした。

 ---こうして、私にたった1人の弟ができたのだった。

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品