第7章 #17「魔術師・ルイス」

　「こんばんは！　そして初めまして！！」

　その男は笑顔で挨拶をしてきた。なんだかその笑顔が相田さんのように怪しさを感じさせる。市◯ギ◯のようなキツネ目をしているからなおさら怪しさを感じる。

　「ッ！？　まさかアンタは…」

　その男を見てイーリスちゃんは予想外だと言わんばかりに驚愕していた。知っている人なのか？

　「私はルイス・スコットフィールドと申します。以後お見知り置きを」

　「はあ」

　そんなイーリスちゃんを余所目に自己紹介をするルイスと名乗る男。黒髪でキチッと七三分けを決め、黒のスーツ姿でいかにも典型的なサラリーマンを彷彿とさせたからてっきり日本人かと思った。

　「ちょっと待ちなさい」

　「…はい？」

　「？　イーリス…ちゃん？」

　するとイーリスちゃんはルイスさんに向かって話を遮るように声をかけた。そんなイーリスちゃんはさっきからありえない光景を目にしているような浮かない表情を浮かべていた。

　「アンタ、魔術師よね？」

　「ま、魔術師？」

　浮かない表情を浮かべながらイーリスちゃんはルイスさんに問いかけるように話し始めた。

　「はい。あなたのおっしゃる通り、私は魔術師です」

　「ッ！？」

　するとルイスさんはイーリスちゃんの問いかけに正直に返した。どうやらイーリスちゃんは正直に返すとは思っていなかったのか、再び驚愕させられていた。

　「どうして魔術師が？　なんでここに？」

　驚愕するイーリスちゃんは1人ブツブツと疑問を口にしていた。俺にはよくわからないが、イーリスちゃんにとって魔術師が出てくるとは思いもしなかったのだろう。

　「あの、ルイスさん、だっけ？」

　「はい、なんでしょう？」

　イーリスちゃんが1人ブツブツ言っている間に俺もルイスさんに問いかけてみることにした。いきなり俺達の前に現れたこととさっきの発言から察するに、今回の件になにかしら関わっている可能性がある。

　「このタイムループって、あんたが仕組んだことなのか？」

　「タイムループ？　なるほど。そういう捉え方もできますか」

　「？」

　しかしルイスさんは考え込むように1人でなにかを呟いていた。2人とも自分の世界に入ってしまうと取り残された俺はどうすればいいんだよ。

　「そうですね。正確にはタイムループとは少し違いますが、今回の件は私が仕組ませていただきました！」

　「？　それってタイムループではないってことですか？」

　「はい。そうなりますね」

　するとルイスさんは俺の問いかけに返してくれたが、どうやらタイムループとは違うようだ。

　「ここは夢と現実が入り混じった世界、『終わらない現実世界エンドレス・リアル』によってできた世界なのです！」