俺の高校生活に平和な日常を
第7章 #11「8月31日」
2016/8/31
---「あー、かったりー」
「和彦君、しっかりしてください。夏休みは今日までなんですから!」
「あんた、本当に大丈夫なの?」
「お兄ちゃん、麦茶飲む?」
「だらしないわね」
夏休みもとうとう最終日を迎えていた。長かった夏休みだったが、最終日になると夏休みが短く感じるのはみんなが思うところだろう。
最終日を迎えた俺達は俺の家に集まり各自の宿題をテーブルに広げていた。
しかしみんなの宿題の量は比較的少ない中、圧倒的にテーブルの上を占領していたのが、俺の宿題だった。
夏休みの間、ほとんど手につけていなかった、というか完全に宿題の存在を記憶から消去していた。先日みのりに言われてようやく思い出したほどだ。
俺は夏休みの宿題は最後にやるタイプで、今までそれでなんとかやってきたが、高校の宿題を舐めていた。
中学の時は問題集の裏に答えが書いてあった。無論考えるまでもなく俺はその答えを丸写ししていた。だからなんとかなったのだ。
しかし高校はそんな甘くはなかった。それに気づいた時にはすでに遅く、俺はテーブルに突っ伏し絶望に打ちひしがれていた。
「みのり、宿題写させてくれ」
「ダメですよ! 宿題というのは自分のためにやるものなんですから!」
「ゔっ!」
俺はみのりに宿題を写させて欲しいと頼んでみたが、みのりに正論で断られた。くそ、目の前に優等生がいるというのに宿題が一向に進まない。
「もう諦めるか」
「それもダメですよ! 夏休みの宿題は2学期の成績に反映されるんですよ!」
「ゔっ!!」
諦めようと思ったが、それもみのりに正論で返された。このままだと徹夜明けまでやらされそうだ。諦めることを諦めた俺は仕方なく顔を上げ宿題に手をつけた。はあ、冗談抜きでしんどい。
「そうだ。宿題が終わったらこれやりましょうよ!」
そんな俺に元気づけようとみのりは自分の足元に置いてあったコンビニ袋を漁り、なにかを取り出した。
「じゃーん!!」
「あっ、花火ですか!? いいですね!」
みのりが取り出したのは家庭用の花火セットだった。それを見た梓はテンションが上がっていた。用意周到だな。
「花火をするにはまだ時間はありますし、みんなで楽しむためにも頑張りましょう和彦君!」
「わ、わかったよ」
「頑張って、お兄ちゃん!」
---みのりと梓の期待の眼差しを受けた俺はなんとか夜までに宿題を片そうと奮闘するのだった。来年はもうちょっと計画的にやろうと密かに決心するのだった。
---「わぁー、綺麗だねイーリスちゃん!」
「…ええ」
時刻も夜の21時を過ぎた頃、俺達は家の近くの川辺にいた。
なんとか宿題を終え晩メシを済ませた後、川辺に来た俺達はみのりが持ってきた花火で遊んでいた。
真っ先に手持ち花火を手にした梓とイーリスちゃんは花火が点くと梓が歓喜の声をあげるとイーリスちゃんはボーッと花火を見つめながらも賛同していた。
「花火ってするのも見るのもワクワクしちゃいますよね!?」
「ああ。たしかにそうかもしれないな」
俺達も梓達に遅れながらも花火を手にして火を点けた。
すると勢いよく花火が噴き出してきた。
「ッ!? こんなに小さい紙切れからよくこんなに色んな色が出てくるわね。どうなってるの?」
勢いよく噴き出す花火を見て有紗が驚愕していた。初めての手持ち花火にテンションが上がっているようだ。
「ふふっ。違いますよ。手持ち花火はこっちの小さい筒みたいなところに火薬とかが入ってるんですよ!」
「えっ?!」
驚愕する有紗に説明を入れるみのり。それを聞いて有紗はさらに驚愕していた。その様子を側から見ていると、なんだかんだであの2人も仲が良いなと思ってしまった。そんなこと言ったら2人に怒られるだろうから何も言わないが。主に有紗の方が。
---それから俺達はひたすら花火を楽しんでいた。手持ち花火で光文字を作ってみたり打ち上げ花火を上げたり俺に向かってロケット花火を打ちまくってきたり。それに関しては俺も誰かに似たようなことをつい最近やったような気がするな。
「もう線香花火だけになっちゃいましたね」
「まあ締めといえば線香花火っていうのが相場ですしね」
後に残った線香花火を見ながらふと梓とみのりが呟いた。たしかに花火の締めといえば線香花火っていうイメージが強いから、ついつい後回しにしがちなんだよな。
「他の花火と違って、けっこう地味なのね」
「線香花火はそれがいいんですよ!」
「イーリスちゃん、どっちが長く持つか勝負しよう!」
「それただの運まかせでしょ?」
「はははっ、それ小さい頃よくやってたなあ」
俺達は各々で線香花火を手に取り火を点けた。ほんのり明るい白い火花だが、みんなでやるとそれなりに明るかった。
「もうすぐで夏休みが終わっちゃいますね」
「そうですね。1ヶ月以上あったのにあっという間でしたね」
「色々大変な目にあったけどね」
「そうね」
「はははっ」
各々思い思いのことを言い合っていた。まあ大体はあの祭りのことだろうけどな。
「…明日から2学期か」
ふと俺はそんなことを呟いていた。明日から2学期が始まる。2学期は色々イベントがあるから大変だ。だからこれ以上変なことに巻き込まれないようにしないといけない。っていっても好きで巻き込まれてるわけではないが。
そんなことを思いながら俺は夏の夜空を見上げていた。
---「あー、かったりー」
「和彦君、しっかりしてください。夏休みは今日までなんですから!」
「あんた、本当に大丈夫なの?」
「お兄ちゃん、麦茶飲む?」
「だらしないわね」
夏休みもとうとう最終日を迎えていた。長かった夏休みだったが、最終日になると夏休みが短く感じるのはみんなが思うところだろう。
最終日を迎えた俺達は俺の家に集まり各自の宿題をテーブルに広げていた。
しかしみんなの宿題の量は比較的少ない中、圧倒的にテーブルの上を占領していたのが、俺の宿題だった。
夏休みの間、ほとんど手につけていなかった、というか完全に宿題の存在を記憶から消去していた。先日みのりに言われてようやく思い出したほどだ。
俺は夏休みの宿題は最後にやるタイプで、今までそれでなんとかやってきたが、高校の宿題を舐めていた。
中学の時は問題集の裏に答えが書いてあった。無論考えるまでもなく俺はその答えを丸写ししていた。だからなんとかなったのだ。
しかし高校はそんな甘くはなかった。それに気づいた時にはすでに遅く、俺はテーブルに突っ伏し絶望に打ちひしがれていた。
「みのり、宿題写させてくれ」
「ダメですよ! 宿題というのは自分のためにやるものなんですから!」
「ゔっ!」
俺はみのりに宿題を写させて欲しいと頼んでみたが、みのりに正論で断られた。くそ、目の前に優等生がいるというのに宿題が一向に進まない。
「もう諦めるか」
「それもダメですよ! 夏休みの宿題は2学期の成績に反映されるんですよ!」
「ゔっ!!」
諦めようと思ったが、それもみのりに正論で返された。このままだと徹夜明けまでやらされそうだ。諦めることを諦めた俺は仕方なく顔を上げ宿題に手をつけた。はあ、冗談抜きでしんどい。
「そうだ。宿題が終わったらこれやりましょうよ!」
そんな俺に元気づけようとみのりは自分の足元に置いてあったコンビニ袋を漁り、なにかを取り出した。
「じゃーん!!」
「あっ、花火ですか!? いいですね!」
みのりが取り出したのは家庭用の花火セットだった。それを見た梓はテンションが上がっていた。用意周到だな。
「花火をするにはまだ時間はありますし、みんなで楽しむためにも頑張りましょう和彦君!」
「わ、わかったよ」
「頑張って、お兄ちゃん!」
---みのりと梓の期待の眼差しを受けた俺はなんとか夜までに宿題を片そうと奮闘するのだった。来年はもうちょっと計画的にやろうと密かに決心するのだった。
---「わぁー、綺麗だねイーリスちゃん!」
「…ええ」
時刻も夜の21時を過ぎた頃、俺達は家の近くの川辺にいた。
なんとか宿題を終え晩メシを済ませた後、川辺に来た俺達はみのりが持ってきた花火で遊んでいた。
真っ先に手持ち花火を手にした梓とイーリスちゃんは花火が点くと梓が歓喜の声をあげるとイーリスちゃんはボーッと花火を見つめながらも賛同していた。
「花火ってするのも見るのもワクワクしちゃいますよね!?」
「ああ。たしかにそうかもしれないな」
俺達も梓達に遅れながらも花火を手にして火を点けた。
すると勢いよく花火が噴き出してきた。
「ッ!? こんなに小さい紙切れからよくこんなに色んな色が出てくるわね。どうなってるの?」
勢いよく噴き出す花火を見て有紗が驚愕していた。初めての手持ち花火にテンションが上がっているようだ。
「ふふっ。違いますよ。手持ち花火はこっちの小さい筒みたいなところに火薬とかが入ってるんですよ!」
「えっ?!」
驚愕する有紗に説明を入れるみのり。それを聞いて有紗はさらに驚愕していた。その様子を側から見ていると、なんだかんだであの2人も仲が良いなと思ってしまった。そんなこと言ったら2人に怒られるだろうから何も言わないが。主に有紗の方が。
---それから俺達はひたすら花火を楽しんでいた。手持ち花火で光文字を作ってみたり打ち上げ花火を上げたり俺に向かってロケット花火を打ちまくってきたり。それに関しては俺も誰かに似たようなことをつい最近やったような気がするな。
「もう線香花火だけになっちゃいましたね」
「まあ締めといえば線香花火っていうのが相場ですしね」
後に残った線香花火を見ながらふと梓とみのりが呟いた。たしかに花火の締めといえば線香花火っていうイメージが強いから、ついつい後回しにしがちなんだよな。
「他の花火と違って、けっこう地味なのね」
「線香花火はそれがいいんですよ!」
「イーリスちゃん、どっちが長く持つか勝負しよう!」
「それただの運まかせでしょ?」
「はははっ、それ小さい頃よくやってたなあ」
俺達は各々で線香花火を手に取り火を点けた。ほんのり明るい白い火花だが、みんなでやるとそれなりに明るかった。
「もうすぐで夏休みが終わっちゃいますね」
「そうですね。1ヶ月以上あったのにあっという間でしたね」
「色々大変な目にあったけどね」
「そうね」
「はははっ」
各々思い思いのことを言い合っていた。まあ大体はあの祭りのことだろうけどな。
「…明日から2学期か」
ふと俺はそんなことを呟いていた。明日から2学期が始まる。2学期は色々イベントがあるから大変だ。だからこれ以上変なことに巻き込まれないようにしないといけない。っていっても好きで巻き込まれてるわけではないが。
そんなことを思いながら俺は夏の夜空を見上げていた。
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