俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第6章 #44「オタクの知識もバカにならない」

 ---「ふー」

 「大丈夫イーリスちゃん?」

 銅像の姿が見えなくなりイーリスちゃんはようやく腰を下ろした。流石にイーリスちゃんもだいぶ疲れたようだ。

 「うまくいったなイーリスちゃん!」

 「何がうまくいったよ。まったく」

 俺が声をかけるとイーリスちゃんは呆れたような表情を浮かべた。なにか不満でもあるのか?

 「『あの男を銅像ごと宇宙に飛ばす!』だなんて、簡単そうに言ってくれたわね」

 「あっ、ああ。そういうこと」

 イーリスちゃんがそう言うと俺はあっさりと納得した。たしかに今思えば軽はずみな発言だったな。

 「いやでも、あの状況でよく考えついた方だと思うけど」

 「バカね。出来るかどうかもわからないことを実行しようとしたのよ? 無謀もいいところよ」

 「ゔっ!?」

 さらにイーリスちゃんに悪態をつかれた俺はぐうの音も出なかった。

 「けど、お兄ちゃんのおかげで皆んな助けれたんだよ!」

 「……」

 しかし梓が俺のフォローに入ってくれると、イーリスちゃんの方もぐうの音が出てこなくなった。俺に対しては強気なのに梓に対しては弱気なんだな。

 「でもお兄ちゃん、よくあんなこと考えれたね?」

 「えっ? ああ。オタクの知識もバカにならないってことよ!」

 「?」

 梓が俺に問いかけてきたが、俺の言っている意味が理解出来なかったようで、2人とも首を傾げた。

 ---『死なない相手はとりあえず宇宙まで飛ばせばほぼ勝てる』、ジ◯セ◯がカ◯ズを倒した時のことをふと思い出した俺がとっさに考えついた策だった。

 俺が手にした青い石は梓がテレポーションを使うときに持っていたことを思い出した。梓が言うにアレは転移に必要なものらしく、それを持っていれば魔法の使えない俺でも梓がテレポーションを唱えてくれれば転移出来るようになるらしい。

 それを利用し俺は青い石を持って相田さんに突撃した。

 突撃した後、梓がテレポーションを唱え銅像の遥か上まで飛ばしてもらった。

 そして飛ばされた後、俺は距離を置くために相田さんから離れ先に落ちていった。

 そのあと、梓にもう一度テレポーションを唱えてもらい俺だけ地上に戻してもらった。

 で、一番肝心なところはそのあとだ。イーリスちゃんに銅像を動かしてもらい、相田さんに向かって飛ばしてもらった。上空にいる相田さんに向かって銅像を飛ばし、相田さんごと遥か彼方の空、宇宙まで飛ばしてもらった。正確には大気圏外までだが。

 そして飛ばされた相田さんは宇宙をさまようことになるだろう。そのうち考えるのをやめることだろう。

 ---まあ色々不安要素はあったが、うまくいってよかった。オタクの知識もバカにならないな。

 「とりあえず、有紗達のところに帰ろうか」

 一休みした俺達は一度有紗達と合流するために山の方へ向かって行った。

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