俺の高校生活に平和な日常を
第6章 #20「相田さん」
---「なるほどー、混浴だと気づかずに入ってしまったと?」
「はい。みんなもそれに気づかずに入ってきたんで慌てて隠れちゃったんですけど、多分、それが余計悪い結果になったんじゃないかと」
相田さんは俺の話を何度も相づちをうちながら真剣に聞いてくれていた。
「まあみなさんお若いですからね。若い頃は人に裸を見せるのは抵抗ありますからね。うちの宿に泊まる人はもう少し年齢層が高いので、あんまり気になさらないお客様が多いものですから」
「はあ。そうなんですか」
俺の話を聞き終えた相田さんは笑顔を見せながらも申し訳なさそうに弁明をしてきた。俺達が確認していなかったのが悪いのだから、相田さんがかしこまる必要はないのだが。
「それにしても大変ですね。あれだけの女の子達を相手にするのは」
「えっ? ええ。そうですね。大変です」
すると相田さんは話題を変えようとしたのか、話を切り替えてきた。
「でも羨ましいですね。私がお客様ぐらいの歳の頃なんか、全然女の子と接点がなかったものですから」
「は、はあ」
話を切り替えてくれたものの、どう反応していいか分からず、曖昧に返していた。正直言うと、どうでもいいのだが。
「ちなみにお客様、この島にある噂ってご存知ですか?」
「えっ? ああ、たしか恋愛が成就するとかなんとかって聞いてますけど」
すると相田さんは再び話を切り替え、俺に問いかけてきた。俺は急に問いかけられ一瞬、言葉に詰まったものの、みのりが話していたことを思い出し、相田さんの問いかけに答えた。
「ええ。特に毎年行われる、『愛咲祭』に参加されると、必ず想い人と結ばれるそうなんです」
「必ず?! それは、凄いですね!」
相田さんは誇らしげに愛咲祭とやらの祭のことについて語り出した。必ず結ばれると聞いて俺は少し驚かされた。それが本当なら、凄過ぎるだろ。
「といっても、あくまで噂で聞いた話ですから、本当かどうかは分かりませんけどね、はははっ」
しかし相田さんは冗談だと言わんばかりに笑いながらそう言った。よく考えてみればそりゃあそうか。噂なんて大げさに尾ひれがつくものだしな。その方が盛り上がるだろうし。
「おっといけない。もうこんな時間か。もう日付が変わってる時間ですし、そろそろ戻らないと。お客様、夜道を1人で歩かすのはちょっと危険ですし、よろしければ一緒に宿まで戻りますか?」
相田さんはふと腕時計を見て時間を確認していた。どうやら日付が変わっているらしい。俺はかなりの時間、ここで過ごしていたのか。
「いえ。もうちょっとだけ休んでから戻りますんで、先に帰ってもらっても大丈夫ですよ!」
相田さんが宿まで同行しようとしてくれたが、俺は少しだけ自分の時間が欲しくなり、断ることにした。自分の時間が欲しくなったのは、単純に部屋に戻るのが気まずいのから、みんなが寝ている頃に戻ろうと思っただけなのだが。
「そうですか。では先に戻らさせていただきますが、もし何かあればあちらの電話を使えば、直で事務室の方に繋がるので、そちらをご利用ください」
「はい分かりました。ありがとうございます」
そう言い残すと相田さんは部屋を後にした。相田さんが出て行くと、休憩室は物音1つしない静寂な空気が流れるのだった。
「はい。みんなもそれに気づかずに入ってきたんで慌てて隠れちゃったんですけど、多分、それが余計悪い結果になったんじゃないかと」
相田さんは俺の話を何度も相づちをうちながら真剣に聞いてくれていた。
「まあみなさんお若いですからね。若い頃は人に裸を見せるのは抵抗ありますからね。うちの宿に泊まる人はもう少し年齢層が高いので、あんまり気になさらないお客様が多いものですから」
「はあ。そうなんですか」
俺の話を聞き終えた相田さんは笑顔を見せながらも申し訳なさそうに弁明をしてきた。俺達が確認していなかったのが悪いのだから、相田さんがかしこまる必要はないのだが。
「それにしても大変ですね。あれだけの女の子達を相手にするのは」
「えっ? ええ。そうですね。大変です」
すると相田さんは話題を変えようとしたのか、話を切り替えてきた。
「でも羨ましいですね。私がお客様ぐらいの歳の頃なんか、全然女の子と接点がなかったものですから」
「は、はあ」
話を切り替えてくれたものの、どう反応していいか分からず、曖昧に返していた。正直言うと、どうでもいいのだが。
「ちなみにお客様、この島にある噂ってご存知ですか?」
「えっ? ああ、たしか恋愛が成就するとかなんとかって聞いてますけど」
すると相田さんは再び話を切り替え、俺に問いかけてきた。俺は急に問いかけられ一瞬、言葉に詰まったものの、みのりが話していたことを思い出し、相田さんの問いかけに答えた。
「ええ。特に毎年行われる、『愛咲祭』に参加されると、必ず想い人と結ばれるそうなんです」
「必ず?! それは、凄いですね!」
相田さんは誇らしげに愛咲祭とやらの祭のことについて語り出した。必ず結ばれると聞いて俺は少し驚かされた。それが本当なら、凄過ぎるだろ。
「といっても、あくまで噂で聞いた話ですから、本当かどうかは分かりませんけどね、はははっ」
しかし相田さんは冗談だと言わんばかりに笑いながらそう言った。よく考えてみればそりゃあそうか。噂なんて大げさに尾ひれがつくものだしな。その方が盛り上がるだろうし。
「おっといけない。もうこんな時間か。もう日付が変わってる時間ですし、そろそろ戻らないと。お客様、夜道を1人で歩かすのはちょっと危険ですし、よろしければ一緒に宿まで戻りますか?」
相田さんはふと腕時計を見て時間を確認していた。どうやら日付が変わっているらしい。俺はかなりの時間、ここで過ごしていたのか。
「いえ。もうちょっとだけ休んでから戻りますんで、先に帰ってもらっても大丈夫ですよ!」
相田さんが宿まで同行しようとしてくれたが、俺は少しだけ自分の時間が欲しくなり、断ることにした。自分の時間が欲しくなったのは、単純に部屋に戻るのが気まずいのから、みんなが寝ている頃に戻ろうと思っただけなのだが。
「そうですか。では先に戻らさせていただきますが、もし何かあればあちらの電話を使えば、直で事務室の方に繋がるので、そちらをご利用ください」
「はい分かりました。ありがとうございます」
そう言い残すと相田さんは部屋を後にした。相田さんが出て行くと、休憩室は物音1つしない静寂な空気が流れるのだった。
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