俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第6章 #13「民宿『愛乃巣』」

 ---「ようこそ、民宿『愛乃巣』へ!」

 民宿に入って行くと、ここの責任者らしき中年男性と従業員数名が笑顔で迎えてくれた。

 俺達が泊まる民宿は3回建の青白いアパートみたいな外見をしていた。建物自体は割と最近出来たのだろう。

 「予約していた須川です。今日からお世話になります!」

 みのりはその男性に軽く一礼すると、俺達もつられるように軽く一礼した。

 「須川様ですか。お待ちしておりました。ささ、中にお入り下さい!」

 俺達が一礼を済ませると男性が笑顔で迎え入れると手慣れた手つきで人数分のスリッパを並べてくれた。

 「では、お部屋へご案内しますね!」

 そして皆んながスリッパに履き替えるのを確認すると、男性が部屋へと案内してくれるようだ。

 「あっ、申し遅れました。私、ここの民宿の責任者で相田と申します。この度は民宿愛乃巣をご利用いただき誠にありがとうございます!」

 部屋へと案内する途中、軽く自己紹介をし始めてきた。相田さんと言うらしい。

 相田さんの第一印象は、子供に好かれそうなおじさんという印象を受けた。全体的に少しふっくらとしているからだろうか?

 「それにしても皆さん、ひょっとして学生さんですか?」

 「はい! 今、夏休み中なんです!」

 相田さんは笑顔を崩さず問いかけてくると皆んなを代表するかのようにみのりが笑顔で返した。

 「ははは、そうですか。いやー、いいですねー。夏休みを利用して小旅行だなんて」

 みのりが返すと相田さんは軽く笑った。自分の学生時代を懐かしんでいるかのようだ。

 「この島に来たっていうことは、もしかして『アレ』の噂を聞いて?」

 「はい。前から少し気になっていて」

 「?」

 そんな相田さんはさらにみのりに問いかけてくると、みのりはその問いかけに肯定して返した。しかし俺達はその問いかけの意味がみのり以外誰も理解出来ていなかった。『アレ』というのはなんなんだ? 噂と言っていたが。みのりの言い方からして、それがこの島を選んだ理由のひとつらしいが。

 「それにしてもこの民宿、かなり新しいんですね?」

 「ええ。ここは1、2年前ぐらいに出来た宿ですから、この島の民宿では1番新しいと思いますよ」

 そして今度はみのりの方から相田さんに問いかけた。みのりの問いかけに相田さんは相変わらず笑顔を崩さずに返してきた。どうやらこの民宿はけっこう最近出来たらしい。外装もそうだが内装もかなり新しめだ。

 「さあ、着きましたよ。こちらがお部屋になります」

 みのりと相田さんがお互いに質問しているとすでに部屋の手前まで連れて来られたようだ。そして相田さんはおもむろに襖を開くのだった。

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