俺の高校生活に平和な日常を
第4章 #39「解決はしたが…」
 「魔女を封じる為、ってことは…」
 何となくその意味を理解した。イーリスちゃんの前で話せないのは彼女が魔女っ子だからだ。
 「それを使って私の力を封印するつもりだったんでしょ?」
 「………」
 バードさんはイーリスちゃんの問いかけには何も答えなかった。図星ってことか。
 「私、そんなの聞いてない」
 バードさんの傍らで梓は深刻そうな表情を浮かべていた。どうやら梓にもその事を伝えてはいなかったようだ。
 「本当はもっと早く言うべきだったかもしれないな」
 梓の表情を見てかバードさんが重い口を開いた。
 「まさか敵対関係にあるはずの2人が仲良くなるなんて思ってもいなかったんだよ」
 そう言いながらバードさんは窶れた表情でため息を漏らしていた。まあ本来2人は敵同士になっているはずだった。それがどうだ、仲良く孤島で2人っきりでお茶会なんかしてやがる。バードさんからすれば想定外もいいところだろう。
 「そんな…」
 バードさんの話を聞いて言葉を失う梓。バードさんの話は彼女にとって酷な話だというのは俺でも理解出来る。
 「待てよ!お前、前に魔女は殺すしかないって…」
 しかしそこで矛盾点に気がつく俺。たしか魔女は殺すしか方法がないとバードさんから直接聞いていた事をふと思い出したのだ。
 「魔女は大量の魔力を生み出すことが可能だ。魔女達はその魔力を自らの生命力に変えて生きてるんだよ」
 「魔力を生命力に!?なんでそんなことを?」
 「魔力を生命力に変えるという事は魔力が無くならない限り死ぬ事は無いのよ」
 バードさんとやりとりをしていた時、イーリスちゃんが割って入ってくるように説明を始めてくれだ。
 「つまり魔力を大量に生成出来る魔女はほぼ不死身の肉体を手に入れたと言っても過言ではないわね」
 「な、なるほど」
 それなら合点はいくな。魔力を生み出す力があるなら心臓より魔力の方がまだ安全だな。
 「だけど、その生命力の源である魔力を封じられたとしたら…」
 「………」
 その場にいる全員が固唾を呑んでいたのが分かる。俺も同様だ。
 魔女は魔力を封じられると死んでしまう。前にバードさんが言っていた『魔力を奪う』とはそういう事だったのか。
 「じゃあそれ、使えないってことか?」
 「………」
 バードさんは何も言わないが露骨に険しい顔をしている。無理もない。大事な魔封石をここで使うのはかなり躊躇するだろう。
 しかし先生をそのままにする訳にはいかない。他の方法を探すしかないのか?
 「仕方ないわね」
 「?」
 周囲の空気が焦燥し始めたその時、イーリスちゃんが先生の前まで歩み寄って行った。イーリスちゃんは誰もが持っている微量の魔力を感知している為、先生の位置はしっかりと把握しているようだ。
 「アイル・ゼッツ・ワンダー・………」
 イーリスちゃんは先生の目の前まで行くと手をかざし呪文らしき単語を独り言のようにぶつぶつと詠唱し始めた。一体何を始めようというのだろうか?
 「………・フェアリー・プロテクション!」
 すらすらと1分くらい詠唱し続けていた。よくもまあ覚えきれるよなと思わず俺は感心していた。中盤なんかほとんど覚えきれなかったわ。
 そして詠唱を終えたイーリスちゃんの手から緑色の光の粒が放たれ先生にまとわりつき始めたのだ。
 「な、何コレ!?」
 相変わらず姿が見えずともリアクションだけで先生は慌てふためいていふのが分かる。
 「妖精の加護。これで暫くは暴走した力を抑えることが出来るわ」
 イーリスちゃんが説明をしていると先程の緑色の光の粒は空気に溶け込むように消えていった。
 「ほ、本当に大丈夫なのか?」
 「さあ。超能力とやらは初めて見るもの」
 「おい」
 一気に不安にさせるようなこと言うんじゃねーよ。ひょっとして物は試し的な感覚でやったのかこの子は?末恐ろしい。
 「あっ」
 光が消えて少しすると足元から徐々に人肌が薄っすらと見え初めてきた。どうやら妖精の加護はちゃんと効いているようだ。
 「よかったー、このままどうなるかと思…」
 「………」
 しかし更なる悲劇が先生を襲っていた。これは流石に妖精の加護ではどうにもならない。先生のインビジブルは解かれたが俺も含め先生が裸であったという事をすっかり忘れてしまっていた。
 先生は安堵の表情を浮かべるが俺達はその姿を見て呆然とする他なかった。先生も俺達の表情を見て自分の身体の違和感に気づいたようだ。
 「キャッ!?」
 先生は可愛らしい悲鳴をあげ上と下を両手で隠しながら屈み込んだ。
 「ヘブッ!?」
 そしてなぜか俺はイーリスちゃんにシンプルに殴られた。ほぼノーモーションの割には思いの外痛い。
 「なんで、今殴られたの!?」
 「愚行を見せてくれた報いよ」
 「意味分かんねーし俺のせいじゃねーし!」
 あまりにも理不尽過ぎる理由だ。ほんと俺が何したっていうんだよ?
 「焼死にならないだけ感謝して欲しいわね」
 あーそうですかそうですか、ありがとうございますありがとうございます。内心納得など微塵もしていないがこれ以上口論すれば本当に魔法で焼死し兼ねないのでここは俺が折れるしかない。
 「加護は効いているみたいだしもう充分でしょ。ならとっとと帰ってもらうわよ」
 それからせかせかと急かすようにイーリスちゃんは俺達の前に手をかざし転移門らしきものを展開させた。どうやらあまり長居はして欲しくはないようだ。
 何はともあれ事件は無事解決(?)し俺達は何とか帰還することが出来たのだった。
 何となくその意味を理解した。イーリスちゃんの前で話せないのは彼女が魔女っ子だからだ。
 「それを使って私の力を封印するつもりだったんでしょ?」
 「………」
 バードさんはイーリスちゃんの問いかけには何も答えなかった。図星ってことか。
 「私、そんなの聞いてない」
 バードさんの傍らで梓は深刻そうな表情を浮かべていた。どうやら梓にもその事を伝えてはいなかったようだ。
 「本当はもっと早く言うべきだったかもしれないな」
 梓の表情を見てかバードさんが重い口を開いた。
 「まさか敵対関係にあるはずの2人が仲良くなるなんて思ってもいなかったんだよ」
 そう言いながらバードさんは窶れた表情でため息を漏らしていた。まあ本来2人は敵同士になっているはずだった。それがどうだ、仲良く孤島で2人っきりでお茶会なんかしてやがる。バードさんからすれば想定外もいいところだろう。
 「そんな…」
 バードさんの話を聞いて言葉を失う梓。バードさんの話は彼女にとって酷な話だというのは俺でも理解出来る。
 「待てよ!お前、前に魔女は殺すしかないって…」
 しかしそこで矛盾点に気がつく俺。たしか魔女は殺すしか方法がないとバードさんから直接聞いていた事をふと思い出したのだ。
 「魔女は大量の魔力を生み出すことが可能だ。魔女達はその魔力を自らの生命力に変えて生きてるんだよ」
 「魔力を生命力に!?なんでそんなことを?」
 「魔力を生命力に変えるという事は魔力が無くならない限り死ぬ事は無いのよ」
 バードさんとやりとりをしていた時、イーリスちゃんが割って入ってくるように説明を始めてくれだ。
 「つまり魔力を大量に生成出来る魔女はほぼ不死身の肉体を手に入れたと言っても過言ではないわね」
 「な、なるほど」
 それなら合点はいくな。魔力を生み出す力があるなら心臓より魔力の方がまだ安全だな。
 「だけど、その生命力の源である魔力を封じられたとしたら…」
 「………」
 その場にいる全員が固唾を呑んでいたのが分かる。俺も同様だ。
 魔女は魔力を封じられると死んでしまう。前にバードさんが言っていた『魔力を奪う』とはそういう事だったのか。
 「じゃあそれ、使えないってことか?」
 「………」
 バードさんは何も言わないが露骨に険しい顔をしている。無理もない。大事な魔封石をここで使うのはかなり躊躇するだろう。
 しかし先生をそのままにする訳にはいかない。他の方法を探すしかないのか?
 「仕方ないわね」
 「?」
 周囲の空気が焦燥し始めたその時、イーリスちゃんが先生の前まで歩み寄って行った。イーリスちゃんは誰もが持っている微量の魔力を感知している為、先生の位置はしっかりと把握しているようだ。
 「アイル・ゼッツ・ワンダー・………」
 イーリスちゃんは先生の目の前まで行くと手をかざし呪文らしき単語を独り言のようにぶつぶつと詠唱し始めた。一体何を始めようというのだろうか?
 「………・フェアリー・プロテクション!」
 すらすらと1分くらい詠唱し続けていた。よくもまあ覚えきれるよなと思わず俺は感心していた。中盤なんかほとんど覚えきれなかったわ。
 そして詠唱を終えたイーリスちゃんの手から緑色の光の粒が放たれ先生にまとわりつき始めたのだ。
 「な、何コレ!?」
 相変わらず姿が見えずともリアクションだけで先生は慌てふためいていふのが分かる。
 「妖精の加護。これで暫くは暴走した力を抑えることが出来るわ」
 イーリスちゃんが説明をしていると先程の緑色の光の粒は空気に溶け込むように消えていった。
 「ほ、本当に大丈夫なのか?」
 「さあ。超能力とやらは初めて見るもの」
 「おい」
 一気に不安にさせるようなこと言うんじゃねーよ。ひょっとして物は試し的な感覚でやったのかこの子は?末恐ろしい。
 「あっ」
 光が消えて少しすると足元から徐々に人肌が薄っすらと見え初めてきた。どうやら妖精の加護はちゃんと効いているようだ。
 「よかったー、このままどうなるかと思…」
 「………」
 しかし更なる悲劇が先生を襲っていた。これは流石に妖精の加護ではどうにもならない。先生のインビジブルは解かれたが俺も含め先生が裸であったという事をすっかり忘れてしまっていた。
 先生は安堵の表情を浮かべるが俺達はその姿を見て呆然とする他なかった。先生も俺達の表情を見て自分の身体の違和感に気づいたようだ。
 「キャッ!?」
 先生は可愛らしい悲鳴をあげ上と下を両手で隠しながら屈み込んだ。
 「ヘブッ!?」
 そしてなぜか俺はイーリスちゃんにシンプルに殴られた。ほぼノーモーションの割には思いの外痛い。
 「なんで、今殴られたの!?」
 「愚行を見せてくれた報いよ」
 「意味分かんねーし俺のせいじゃねーし!」
 あまりにも理不尽過ぎる理由だ。ほんと俺が何したっていうんだよ?
 「焼死にならないだけ感謝して欲しいわね」
 あーそうですかそうですか、ありがとうございますありがとうございます。内心納得など微塵もしていないがこれ以上口論すれば本当に魔法で焼死し兼ねないのでここは俺が折れるしかない。
 「加護は効いているみたいだしもう充分でしょ。ならとっとと帰ってもらうわよ」
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