俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第4章 #27「目覚めたら…」

 「…んん…」

 どんぐらい寝ていたのか知らないがまだかなり眠い。むしろ一度寝てしまったから余計に眠いのだろう。

 「…きて!起きて!!」

 誰かが俺の身体を揺さぶって無理矢理にでも起こそうとしてきやがる。1番嫌なタイプだ。

 「…んんー…」

 揺さぶられているせいで全く眠れなくなり仕方なく起きることにした。起きようとして意識が戻ってくるとなんだか下半身が飛行機に乗っている時のような無重力感を感じていた。

 「起きて佐藤君!早く!!」

 「んん…?先…生?」

 ボンヤリとした視界が徐々にくっきりと見えるようになってきた。視界には白石先生が俺の身体を揺さぶっているのが見えた。

 「ようやく起きた。起きて早々に悪いんだけど、夏目さんを起こすの手伝ってくれない!?」

 ただでさえ眠気が取れないというのに急かしだす。というか有紗のやつ、まだ起きていなかったのか。ったく、今日は何だか大変な1日だな。鍵を失くしただけなのに…

 「…アレ?そういえば鍵…」

 寝ぼけていた思考が正常に機能し記憶が戻ってきた。そういえば俺は鍵を失くして有紗と一緒に探してたら白石先生が失くしてた鍵を見つけて届けてくれたんだ。俺は慌ててポケットに手を突っ込むと金属に触れる感触がした。それを鷲掴みポケットから取り出すと握った手のひらには小さな鍵が入っていた。間違いなく俺ん家の鍵だ。

 「ふう、よかった」

 俺は思わず安堵の溜息が溢れた。溜息を溢すと同時に頭の中がスッキリしてきた。

 鍵を届けてくれたその後、先生が車で家に送ってもらっていた。その最中に眠気に襲われそのまま眠りについた。つまり今、先生の車の中で俺達は眠りこけていたのだ。

 「すいません先生。わざわざ送ってもらってんのについ寝ちゃっ…ん?」

 呑気にぺこぺこ頭を下げる俺だったがふと視線を前に向けると信じられない光景が映っていた。

 目の前には透き通った青色に小魚の群れが横切って行った。

 「夏目さん、起きて!夏目さん!?」

 全く有り得ない光景を目にして呆然とする中、有紗を必死に起こす先生。

 「んん…」

 健気に眠っていた有紗がようやく目を覚ましてきた。今思えば有紗の寝顔を見るのは中々レアな瞬間だった。一緒に暮らしているのに初めて見たかもしれない。裸は何度も見てしまっているが。

 「ん…アレ…?私、なんで寝てたんだっけ…?」

 流石の有紗も寝起きだと本調子を取り戻すにはまだ時間がかかりそうだな。

 「夏目さん、しっかり!」

 先生は若干寝ぼけ気味の有紗を正気に戻す為に名前を連呼していた。

 「…さて、どうしたものかね?」

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