デイズ

鬼怒川 ますず

まっしろからいろづく世界


わたしは、まっしろだった。

おやからもすてられ、うられてかわれたのかもしれない。

かったのは、あかいひと。

それから、おともだちのくろいひとたちによくとじこめられた。


わたしにはなにもない、おやにいわれたことばかもしれない。
でもおぼえてない。
さいしょからわたしのせかいはまっしろ。

いろがついたのは、あかいひとだけ。

そして、さっきまでわたしをつれて、くろいひとたちから、にげようとした、あのひとだけ。


まっしろなせかいで、わたしはくろいひとたちにおびえながらわらう。

"とくしゅなしこう"だといわれた。

わたしが、うまれてくるのを、だれからものぞまれていなかったみたいかも。


でもちがった。




あのひとが、わたしがねてるときに、もうふをけったときに、すぐにかけなおしたこと。

くろいひとたちのもってるこわいものからよくさえぎってくれたこと。

あしもないのに、よわそうなのに、それいじょうのなにかをあのひとからはかんじた。



だから、わたしはわらった。
あのひとがおもいうかべているだれかを、わたしはかんじたから。


そのかおを、すこし、でもえがおにしたくて。


わたしをくろいひとたちから、にがしてくれるといってくれたとき。


…そのまえの、なまえをくれたときから、私の世界に色が出来た。

色づく世界の先に、黒くて汚い赤に染まるあの人の姿に私はそれが何なのか分かった。

死だ。

私がいつもやってきた事。
この能力が、多くの人間を苦しめる。
だったら、今度は復讐に使おう。

名前をくれた、あの人のために。

まずはあの黒いやつから。

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