デイズ

鬼怒川 ますず

殲滅

兵士たちが武装を解いて身体中のあちこちからどんどん生える水晶のような物に恐々としており、

そうなった者達からどんどん混乱していた。

僕には、この白緑びゃくろくの能力が何かわからずにゾッとする。
だが今はそんなことは置いておくべきだ。
このチャンスに僕は車椅子を動かして包囲網から逃げようとする。

「逃すな!」

黒スーツの男が言ったのと同時に彼の近くにいる兵士たちが全員銃口を僕たちに向ける。

だが、白緑はそんな危機にも構わずに笑いながら手遊びし始める。

銃声が響く。

その前に僕らを守るようにさっきの体から水晶が生えた兵士たちが彼らの前に立ちふさがる。

彼らに全弾が当たって、かろうじて僕らには当たらなかった。


「ンダよどけよ!! 操られてんじゃねーぞカス!!」

「ど、どうしますか!? 」

「そんなモンあいつらごと殺しちまえ!!」

「し、しかしCEOからの報告ではあの少女は商品だとかで…」


彼らが言い争いをしていた時、白緑が操っていた兵士達が彼らに襲いかかって行った。

「う……あ…」

呻き声をあげて彼らは仲間に襲いかかる。
兵士たちは躊躇なく襲いかかる仲間を撃つ。

僕はもうそれ以上は見ていなかった。

でも声が聞こえた。

「うわぁぁぁぁぁぁ!! な、なんだこりゃ!?」

「離せ離せ! や、やめて……ッ!!」

「あ……う…」

兵士たちの断末魔。
背後から聞こえる声がどんどん少なくなってくる。
僕は抱えている少女、白緑が今までで一番怖かった。


「な、何をしたんだい?」

僕の質問に白緑は「わかんない…かも?」と何の気もなしに言った。
僕はそれを聞いてもう何も聞かずにとにかく逃げる。

その時だった。


バン

僕の胸元に、弾が当たったのは。

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