デイズ

鬼怒川 ますず

白緑

「や、やぁ」

「初めまして…かな?」

僕と少女が出会った当初はこんな感じであった。
僕の挨拶に疑問形で返すのが少女の喋り方だった。

少女は最初こそ口数の表情も少なかったが、1週間もしていくうちに表情が柔らかくなっていった。

名前を聞くと無いと答える少女。
僕はそんな少女に名前をあげた。

「君は瞳の色が緑と白だから…白緑びゃくろく! …はさすがに男っぽいな」

僕が好きな雑誌のコーナーで紹介された色を思い出して口にするが、さすがに思いつめて訂正しようとする。
だが少女はそれを気に入ったのか笑顔で呟く。

「びゃくろく…びゃくろく……ふふふ! いいよそれで…だったかな?」

少女は見た目とは違って本当に少女だった。
どこから来たのかも覚えてなく名前も無い。

僕は最初嘘をついていると思い警戒したが、疑問は増えるだけで解決しない。
なので白緑びゃくろくのことを警戒するのをやめた。
多分君だったら「小さい子を疑うのは良くないよ!」とプンプンに頬を膨らませてそう言うはずだ。

もう、この世にいないのにまだ君がいるような感じだ。

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