デイズ

鬼怒川 ますず

オッドアイ

僕はボコボコにされた。

あのスーツの男、僕の顔を踏んだり蹴ったりとにかく無茶苦茶に暴行された。
治療はされたけど、こんなのでチャラにできるはずがない。

千愛を殺したお前らを許さない。

復讐してやる。

全員殺してやる。

何もかもだ。

隙を見て僕は叛旗を翻す。

力もある、僕を遮るものは今の所はあの場に突然現れた男ぐらいだ。

僕ならできる。

千愛が信じた僕なら。



そう思っていたのに僕は相部屋に閉じ込められた。

同居人はまだ幼い少女。
茶髪に目が緑と白……黒目がない少女だった。

オッドアイとも言えないその瞳を初めて見た時僕は恐怖した。

この世のものではないと。


だがそれは杞憂だった。

少女とはあれから2ヶ月、同じ部屋で過ごしていた。



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スペースレンジャーは会議室でモニターに映る赤いスーツの男、CEOと会話していた。

『まったく…君の遊び半分で貴重な異常脳力者が死んでしまって、こちらとしては会長に見せる書類を書き直す羽目になっているよ』

「……申し訳ございません」

彼は、この前の実験で小笠原おがさわら千愛ちおという被験体を、あと一歩のところで自殺させてしまった。

愛と生を選ぶ時、人間は必ず生を選ぶという観念が執着した結果がこの惨事を招いた。

スペースレンジャーはそれを思い返し、はらわたが煮えくり返しそうになるが、努めて涼しい顔をする。


『まぁいいよ、あれは事故だからこちらでなんとかしとくから。今後は注意してね』

CEOもこの件には寛容だったが、問題は新しく施設に連れ込まれた届け物の件について尋ねた。

「CEO、あのガキは何ですか? 『ストップ』が同行しなきゃいけないほど凶悪には見えねぇんですが…」

『あぁ、あの子は自分の敵をすべて能力で変えちゃうから、それはそれは凶悪なのさ。資料は読んだだろ?【彼女に対して絶対に失礼のないように】って』

「ではなぜこの研究施設に? 分野としては本部の人がやったほうがいいんじゃ…」

赤いスーツの男はニヤリと笑ってこう答える。

『これは、ビジネスだからさ』

そう言って向こうの方から通信を切る。
容量の掴めないCEOに舌打ちしてから彼も会議室から出て行く。

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