デイズ

鬼怒川 ますず

デスロワイヤル

『デスロワイヤル開始しまーす!!』


男がマイクで言ったその言葉に僕は理解ができなかったが、君は震えて僕を強く抱きしめる。


「ショウくんは絶対私が守る…必ずね」


何を…。
言っているのかと聞こうとしている前に、彼女がいた部屋の向こう側と僕の部屋の壁が地面に沈んでいく。

そこには、僕たちと同じ白衣を着た少年少女がいた。

歳は僕らと近い者もいればまだ小学5年生程度の子もいた。

彼らはまだ子供だが共通点があった。
目に光彩がない…死んだような目をしている。


『あーあー! んじゃ俺の遊びのルール説明っすぞガキども。いつも通りにここにいる頭数…今回は大放出のサービスで20人で殺し合いしてもらう。10人まで減ったらゲームは終わり、それまでずっと殺し合いだから食料も水も与えないからいずれ餓死するぜ。そんじゃゲーム……』

僕は感じた。

この場の気持ち悪い空気に。
僕ら以外の人間の纏う空気に…。

『開始』





男には『スペースレンジャー』と言うコードネームがあった。

この組織の幹部を務め、世間に隠れた超能力者を捕らえる実行班のメンバーにも加入していた。

スペースレンジャーが得意で好きなことは選別だ。

捕まえた超能力者同士を殺し合わせ、より強い者だけ洗脳を施して組織の道具にする。その過程を行なって眺めるのが仕事とはいえ大好きであった。

現在までに二千人もの超能力者を捕らえ、そのうち二百人あまりを組織の道具に仕上げてきた。
実績は彼の組織の重役達からも認められ、今ではこの機密情報で溢れる研究所の局長を任されていた。

そんな彼だからこそ今の状況にゾクゾクと興奮を覚えていた。

「愛し合う男女が殺し合いの場に放り投げられ、どんな風に壊れるのか見ていてぇよ」

彼は笑って見下ろす。
その先ではすでに鮮血が飛び散っていた。

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