終末の異世界と大罪のグリモワール ~英霊は異世界で斯く戦えり~
第五章53 砂塵の試練ⅩⅩⅩⅩⅡ:それは真実の物語
「聖なる輝きよ、世界を両断せよ――聖輝一刀ッ!」
魔竜が放つ攻撃によって、バルベット大陸の北部に存在するアルジェンテ地方は荒廃とした大地へと姿を変えてしまった。一年を純白の雪が覆う土地であり、美しい情景を見せてくれる場所であったのだが、魔竜の出現と壮絶なる戦いの果てに噴煙が立ち込める死の大地へと変貌してしまった。
世界を破滅に導く魔竜と対峙するのは、世界を守護する四人の女神たちであった。
彼女たちは魔竜が放つ強力な魔法攻撃を掻い潜り、戦いを終わらせるための一撃を見舞おうとしていた。
『――――ッ!?』
どれだけ攻撃しても彼女たちは諦めずに立ち向かってきた。
それぞれが力を合わせ、魔竜が放つ破壊魔法を前にしても勇敢に立ち向かい続けた。
「「「いっけええええええええええぇぇぇぇッ!」」」
アスカ、シュナ、カガリの声音がシンクロして、白銀の髪を揺らす少女の背中を押す。
聖輝の女神・ダイアナが手に持つのは世界誕生と共に生まれし名も無き聖剣。
眩い輝きを刀身に宿し、繰り出されるのは万物を破壊する絶対の一刀。
「喰らえええええぇぇぇぇッ!」
大地を駆けるダイアナが漏らす咆哮。両手に聖剣を握り、彼女はありったけの力を眼前に立ち塞がる魔竜へと放っていく。振り下ろされた聖剣から聖なる輝きが一閃される。大地を抉り、空気を震撼させる斬撃が魔竜の巨体へと一直線に突き進んでいく。
『我の野望はッ……こんなところでッ、潰えぬッ……!』
最早、回避することはできない。
魔竜は自分へと襲いかかってくる斬撃を前に、口を大きく開けて悲痛な咆哮を上げる。
「――――」
一瞬の静寂が支配した後、凄まじい衝撃が大地を震わせ、空気を震撼させ、眩い輝きが闇夜を照らすのであった。
「…………」
聖剣から放たれた斬撃が魔竜の巨体を捉え、これまでの比ではない破滅的な衝撃が魔竜を襲う。大地を吹き飛ばし、巨大な粉塵の中に魔竜は悲痛な咆哮と共に姿を消していく。
「や、やった……?」
静寂の中、そんな声音を漏らしたのは瑠璃色の髪が印象的な少女・シュナだった。彼女は額にいっぱいの汗を浮かばせ、息を乱しながら確かな手応えを手中に収めようとしていた。
「まだだよッ、シュナちゃんッ!」
安堵のため息を漏らそうとするシュナだが、突如として響いた鋭い声音が彼女の気持ちを再び引き締めさせる。
「ダイアナ、アスカッ、分かってるねッ!?」
「……もちろんよ」
「理解、把握、承知ッ!」
シュナの気を引き締め直させると、カガリは険しい表情と声音で他の女神たちにも声をかけていく。
「シュナちゃん、見よう見まねでいいから……私たちに付いてきてッ!」
「は、はいッ……!」
一瞬も気を抜くことなく、カガリの声音に続く形で女神たちは跳躍する。
巨大な粉塵を取り囲むようにして跳躍し、空中で制止する四人の女神たちは、それぞれが最後の力を振り絞って魔法の詠唱を始める。
「「「「世界を混沌へと導く、邪悪なる悪神よ、未来永劫の眠りに就け――四神封印ッ!」」」」
四人の女神が唱える魔法の詠唱。
それは世界最悪の悪神である魔竜を封印するためだけに存在する魔法であり、女神だけが使用することを許されたものである。
炎獄の女神・アスカ。
暴風の女神・カガリ。
聖輝の女神・ダイアナ。
氷輪の女神・シュナ。
現代に存在せし四人の女神たちは、それぞれの魔力を最大限に放出させると、頭上に超巨大な十字架を生成する。
アスカの頭上には業炎で作られし巨大な十字架が出現する。
カガリの頭上には吹き荒れる暴風で作られし十字架が出現する。
ダイアナの頭上には輝きを放つ雷で作られし十字架が出現する。
シュナの頭上には月明かりを受けて綺羅びやかに輝く氷で作られし十字架が出現する。
それぞれがそれぞれの特徴を生かした十字架を生成すると、残された全ての力を封印魔法へと注いでいく。
『――――』
女神たちが唱えた封印魔法・四神封印。
これは世界を混沌から救うために、女神たちだけが使役することを許された魔法であり、この世界に存在するあらゆる封印魔法の中でも、最上位に位置するものであることは間違いない。
対魔竜に対して絶対的な力をもっており、空中で生成された十字架は女神たちの意思によって、魔竜の身体を大地に縛り付ける。
『――――ッ!』
バルベット大陸の北部。
死の大地と化したアルジェンテ地方に魔竜の咆哮が何度も響き渡る。
今、まさに魔竜はこの大地に封印されようとしており、世界の平穏がすぐ目前まで迫ろうとしていた時だった。
『――我はまだ、死なないッ!』
魔竜の身体に封印の十字架が突き刺さり、大地の奥深くへと誘おうとした瞬間、魔竜が漏らした声音が女神たちの鼓膜を震わせた。
次の瞬間、魔竜の身体が眩い輝きに包まれ、漆黒の巨体が4つの光球へと姿を変えた。
「なに、コレ……ッ!?」
それは瞬間的な出来事であり、想定外の事態に女神たちは僅かに反応が遅れてしまう。
「カガリ、これはどういうこと?」
「ふむ……謎、奇想天外、予想外……」
「魔竜が光に……?」
光球となった魔竜の姿に驚きを隠せない女神たち。
全員が呆然とする中で、魔竜の身体を構築していた光球は凄まじい速度で弾け飛んでいく。
「……魔竜の身体はあの光によって構築されていた」
「カガリさん、それって……」
「さすがにそれは予想外だよねぇ……まぁ、とりあえずの脅威は取り除かれた……って、ことでいいのかな」
魔竜の身体が消失し、静寂が場を支配する。
霧散していく十字架を見つめながら、冷静にカガリが状況を分析する。
「はぁ……まぁ、これくらいで魔竜をどうにかできるとは思ってなかったけど……どうやら、まだ私たちの戦いは続くみたいだね」
「それならば、すぐにでも旅立ちましょう。今、魔竜は弱っているはずよ」
「うむ、そうしよう。即断、即決、即行動ッ!」
大規模な戦いを終えた直後にも関わらず、女神たちは次なる戦いへと意識を切り替えていく。
魔竜が再び力を蓄え再び世界を混沌へと陥れる前に、彼女たちは魔竜の残滓を根絶やしにしようと考える。
これは過去に存在した、真実の物語。
女神と魔竜の永きに渡る戦いの記憶である。
魔竜が放つ攻撃によって、バルベット大陸の北部に存在するアルジェンテ地方は荒廃とした大地へと姿を変えてしまった。一年を純白の雪が覆う土地であり、美しい情景を見せてくれる場所であったのだが、魔竜の出現と壮絶なる戦いの果てに噴煙が立ち込める死の大地へと変貌してしまった。
世界を破滅に導く魔竜と対峙するのは、世界を守護する四人の女神たちであった。
彼女たちは魔竜が放つ強力な魔法攻撃を掻い潜り、戦いを終わらせるための一撃を見舞おうとしていた。
『――――ッ!?』
どれだけ攻撃しても彼女たちは諦めずに立ち向かってきた。
それぞれが力を合わせ、魔竜が放つ破壊魔法を前にしても勇敢に立ち向かい続けた。
「「「いっけええええええええええぇぇぇぇッ!」」」
アスカ、シュナ、カガリの声音がシンクロして、白銀の髪を揺らす少女の背中を押す。
聖輝の女神・ダイアナが手に持つのは世界誕生と共に生まれし名も無き聖剣。
眩い輝きを刀身に宿し、繰り出されるのは万物を破壊する絶対の一刀。
「喰らえええええぇぇぇぇッ!」
大地を駆けるダイアナが漏らす咆哮。両手に聖剣を握り、彼女はありったけの力を眼前に立ち塞がる魔竜へと放っていく。振り下ろされた聖剣から聖なる輝きが一閃される。大地を抉り、空気を震撼させる斬撃が魔竜の巨体へと一直線に突き進んでいく。
『我の野望はッ……こんなところでッ、潰えぬッ……!』
最早、回避することはできない。
魔竜は自分へと襲いかかってくる斬撃を前に、口を大きく開けて悲痛な咆哮を上げる。
「――――」
一瞬の静寂が支配した後、凄まじい衝撃が大地を震わせ、空気を震撼させ、眩い輝きが闇夜を照らすのであった。
「…………」
聖剣から放たれた斬撃が魔竜の巨体を捉え、これまでの比ではない破滅的な衝撃が魔竜を襲う。大地を吹き飛ばし、巨大な粉塵の中に魔竜は悲痛な咆哮と共に姿を消していく。
「や、やった……?」
静寂の中、そんな声音を漏らしたのは瑠璃色の髪が印象的な少女・シュナだった。彼女は額にいっぱいの汗を浮かばせ、息を乱しながら確かな手応えを手中に収めようとしていた。
「まだだよッ、シュナちゃんッ!」
安堵のため息を漏らそうとするシュナだが、突如として響いた鋭い声音が彼女の気持ちを再び引き締めさせる。
「ダイアナ、アスカッ、分かってるねッ!?」
「……もちろんよ」
「理解、把握、承知ッ!」
シュナの気を引き締め直させると、カガリは険しい表情と声音で他の女神たちにも声をかけていく。
「シュナちゃん、見よう見まねでいいから……私たちに付いてきてッ!」
「は、はいッ……!」
一瞬も気を抜くことなく、カガリの声音に続く形で女神たちは跳躍する。
巨大な粉塵を取り囲むようにして跳躍し、空中で制止する四人の女神たちは、それぞれが最後の力を振り絞って魔法の詠唱を始める。
「「「「世界を混沌へと導く、邪悪なる悪神よ、未来永劫の眠りに就け――四神封印ッ!」」」」
四人の女神が唱える魔法の詠唱。
それは世界最悪の悪神である魔竜を封印するためだけに存在する魔法であり、女神だけが使用することを許されたものである。
炎獄の女神・アスカ。
暴風の女神・カガリ。
聖輝の女神・ダイアナ。
氷輪の女神・シュナ。
現代に存在せし四人の女神たちは、それぞれの魔力を最大限に放出させると、頭上に超巨大な十字架を生成する。
アスカの頭上には業炎で作られし巨大な十字架が出現する。
カガリの頭上には吹き荒れる暴風で作られし十字架が出現する。
ダイアナの頭上には輝きを放つ雷で作られし十字架が出現する。
シュナの頭上には月明かりを受けて綺羅びやかに輝く氷で作られし十字架が出現する。
それぞれがそれぞれの特徴を生かした十字架を生成すると、残された全ての力を封印魔法へと注いでいく。
『――――』
女神たちが唱えた封印魔法・四神封印。
これは世界を混沌から救うために、女神たちだけが使役することを許された魔法であり、この世界に存在するあらゆる封印魔法の中でも、最上位に位置するものであることは間違いない。
対魔竜に対して絶対的な力をもっており、空中で生成された十字架は女神たちの意思によって、魔竜の身体を大地に縛り付ける。
『――――ッ!』
バルベット大陸の北部。
死の大地と化したアルジェンテ地方に魔竜の咆哮が何度も響き渡る。
今、まさに魔竜はこの大地に封印されようとしており、世界の平穏がすぐ目前まで迫ろうとしていた時だった。
『――我はまだ、死なないッ!』
魔竜の身体に封印の十字架が突き刺さり、大地の奥深くへと誘おうとした瞬間、魔竜が漏らした声音が女神たちの鼓膜を震わせた。
次の瞬間、魔竜の身体が眩い輝きに包まれ、漆黒の巨体が4つの光球へと姿を変えた。
「なに、コレ……ッ!?」
それは瞬間的な出来事であり、想定外の事態に女神たちは僅かに反応が遅れてしまう。
「カガリ、これはどういうこと?」
「ふむ……謎、奇想天外、予想外……」
「魔竜が光に……?」
光球となった魔竜の姿に驚きを隠せない女神たち。
全員が呆然とする中で、魔竜の身体を構築していた光球は凄まじい速度で弾け飛んでいく。
「……魔竜の身体はあの光によって構築されていた」
「カガリさん、それって……」
「さすがにそれは予想外だよねぇ……まぁ、とりあえずの脅威は取り除かれた……って、ことでいいのかな」
魔竜の身体が消失し、静寂が場を支配する。
霧散していく十字架を見つめながら、冷静にカガリが状況を分析する。
「はぁ……まぁ、これくらいで魔竜をどうにかできるとは思ってなかったけど……どうやら、まだ私たちの戦いは続くみたいだね」
「それならば、すぐにでも旅立ちましょう。今、魔竜は弱っているはずよ」
「うむ、そうしよう。即断、即決、即行動ッ!」
大規模な戦いを終えた直後にも関わらず、女神たちは次なる戦いへと意識を切り替えていく。
魔竜が再び力を蓄え再び世界を混沌へと陥れる前に、彼女たちは魔竜の残滓を根絶やしにしようと考える。
これは過去に存在した、真実の物語。
女神と魔竜の永きに渡る戦いの記憶である。
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