月の詩

神城玖謡

月の詩

いびつな太陽
燃ゆる月
届かないと知りながら
伸ばした腕はやせ細り
枯れ枝のようにブザマで
垂れる蜘蛛の糸は幻想で
汚れた手を 灰に還す

楽園エデンの太陽は 苦しみの釜
艶かしい月は 枯れた骸
母なる大地は 暴食家
母なる大海は 化物で
神なる山は ヒトを拒む

自由な空は 何もなくて
豊かな土地は よどんでいて
澄んだ水は 生を吸い
濁った水は 無を吐く

太陽に伸びる花は
死に手を伸ばしていて
月に還る姫は
苦しみへと 還り着くだろ

誰もいない 暗い空
イビツな月しか 目指せなくて
迷う旅人は 行くつく先が
孤独の苦しみと知りながら
届くことはないと知りながら
伸ばした腕はやせ細り
枯れ枝のように白くて
垂れる蜘蛛の糸は幻想で
音のない詩は 終わらない

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