異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)
56 . 小鳥の便り
午後の光が大きな窓から部屋中を照らす。日本語のようでそうじゃない、ちょっと違う言葉の書かれた物語の本を読んでいた。書斎の天井にある暖かみのあるオレンジの光が本に反射する。
揺れるレースのカーテンに小さく花の模様の掘られたカップに揺れる紅茶。
まさに理想の午後だ。
「アイナ様、なに読んでるん、ですか?」
「伝記よ」
読むのを中断し声のする方を向くとチチチと小さな声で鳴く真っ白な鳥を右肩に乗せいつもの頭の左側をパタパタと浮遊する緑の小さなドラゴンを連れたソレラだった。
「伝記、ですか」
「そーそー」
今読んでいるページに親指を挟み本を閉じ、ソレラに見せるように表紙を出す。
そこには『アスカ信伝』と革の表紙に綺麗な金色に印刷されていた。
「アスカ神のお話、ですね」
「今噂のオーディンさんを倒したって話だけどなかなか脚色してそうね」
半笑いで後半まで読み終わった本を見つめた。
「あ、そうです。用事を忘れて、いました」
「ん?なに?」
どうやら私に用があったらしい。するとソレラは肩に乗せたなにやらネームタグのような足枷のついた白い小鳥を左手の人差し指に乗せこちらへと差し出した。
手を出してください、と言われたので言われるがままに右手を開いて鳥の前に近づけると、鳥は私の右手の中に移動した。
「!」
シュルルッと音を立て白い小鳥が紙へと変わっていく。あっという間に私の右手には文字の書かれた便箋が広がっていた。
「なにこれ、魔法?」
「はい。宛先の人に届いたら手紙に変化する手紙魔法、ですね」
そんなものもあるんだなどと感心しながら便箋を読んだ。
「…なにこれ」
内容は私に、魔王に助けを求める内容であった。
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