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異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

N

50 . 怪しい二人


「…それで、よかったの?」

宿屋の一角。先程のほとぼりの冷めたバーの端っこの席に私とあいつが座っていた。
フードと仮面を外し現れたボブヘアの黒髪と誰かとよく似た美形は私ににっこりと笑いかける。
「うん、別にいいよ。5年ぶりに会えたし」
いつもの特殊な話し方をやめ柔らかい物腰の彼女は頬杖をつき誰かを想うように宙に視線をむけた。
「はぁ…まさか貴女がアイナ様と肉親だったなんてね」
そう言うと彼女はからかうようにケラケラと笑った。
「えぇ?流石に薄々気づいてたでしょ。エイルと私が似てるって」
「…そりゃねー。でも他人の空似かなぁーって」
「うん、テールだった私が変え星したんだからエイルも絶対すると思ってたんだよね〜。結果本当にしちゃってるし」
ふふふと笑みをこぼしながら彼女は向き直った。
「しっかし、やっぱり妹、似てるなぁ」
「そりゃ貴女の妹だもん」
そう告げると彼女はまた笑った。
「それで…正体明かすつもりは?」
「ないよ。だって『あっちの世界の貴女の双子の姉で先にこっちの世界に来た魔王の双子の姉です』〜なんて言っても信じるわけないでしょ?」
クスリと笑うその姿は、アイナ様とは対照的でありとても似ていた。

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