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異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

N

41 . 目覚めの良い朝…です

みなさん、おはようございます。
秋晴れの寒空の下、私はぬくぬくと冷めた湯たんぽをかかえて布団に閉じ籠っております。なんたってもう11月までもう少し。完全に季節の変わり目でございます。うん、ちょっと風邪ひいた。
あの後何事もなく視察(という名の観光)などを済ませて何事もなく昨日帰ってきたのだった。
帰りの列車でまたカードゲームでバカ二人を泣かせたのは別の話だ。
「…」
だよね、などと思いながら伸ばした右手を引っ込めた。
当然ながらスマホはなかった。 まぁここにきて毎朝やってしまっているが致し方ないだろう。
「アイナ様ーおはようございまーす」
気の抜けた声が扉の方から聞こえた。無視して二度寝しようかしら。
「おーはーよーうーごーざーいーまーすううぅー」
「……」
あー、お布団あったかいしいい天気だから、そんな日には二度寝しかないでしょう。ほんじゃ、おやすみなさーい。
「起きてくださいよおおぉ!!!」
「あばばばば」
マイの怪力でゆっさゆっさと揺られ抱きしめていた湯たんぽの中の液体がたぷんと水音を立てた。
「アイナ様起きてるじゃないですか!無視しないでくださいよ!」
「はーいはい」
ふんわふんわのなんだかとてもふんわりしている毛布をペッと布団の間から引きずり出し、ベットの傍にある木製の椅子に腰掛けくるまった。あったけぇー。
「なんかダルマみたいですねそれ」
「あったかいからいいの」
はいはいそうですかとマイは呆れ混じりに言うとシーツを取り替え始める。私といえば隣の椅子で毛布にくるまり足をぶらぶらさせていた。
「あ、そういえばそろそろ衣替えですね。どうします?今日から何か羽織りますか?」
「最近寒いからねー。なんか用意しといてちょーだいな」
「はーい、了解です」
シーツを綺麗に取り替え終えると冷めた湯たんぽを抱えマイは部屋を出て行った。
「冬服かー」
バフっと音を立てて換えたてのシーツの上へごろりと寝転がった。…流石メイド、長女、というところか、皺一つ見つからない。やっぱりこの前の伝説の姉妹説は嘘ではないのかもしれない。…いや、それはないな、特にあのマイは。
「アイナ様、おはようございます」
「おはようございます〜」
ぽけーっとしてるとアイとメイの二人が部屋に入ってきたところだった。私もよいしょっと体を起こし立ち上がる。
「おはよー二人共」
「アイナ様、昨日帰ってきてすぐこれですか。まったく」
どういうことだ。
「え〜っと、今日のご予定ですが〜。大間に言いますと、午前中は講義や政務、午後は幹部会議となりますね」
「幹部会議?」
「そういえばダンジョンの前で説明止められてそのままでしたね」
衣装部屋に移動しいつものドレスに着替えながらアイは説明を始めた。
「とりあえず強い方を集めたような幹部ですよ。それの会議です。まぁ十六人が揃う事はほとんどないんですけどね」
アイはコルセットを着けながらフッと鼻で笑った。
「そうなんですよ〜。今日出席するのはそのうちの6名です」
「十人も欠席するの?」
「酷い時は二人とかありますしそれなりに多いほうです」
まじかよ。
「はい、着替えできました。そういえばおねぇちゃ…マイお姉様が冬服だと言っていたので用意はしてありますがそちらも着ますか?」
可愛いかよ。
「着る」
「わかりました、ではこちらはどうでしょう?」
アイの差し出した少し透けたブラックの布が使われた胸元や首辺りがまだ隠れるというような物。首回りは寒くなるけど…
「いいんじゃない?それにするわ」
「わかりました」
着々と二人は二人三脚で手を進めている。やっぱりエリート三姉妹というのはうなずけるだろう。誰かさん以外には。

「おはようござい、ます」

ふと寝室に向かう扉に人影があった。そちらを見ると緑と白を基調としたドレスを着た少女。紐に通された琥珀色の雫型の石が艶のある青髪と反射していて、少女は扉に手をかけ壁側に寄りかかっている。

「おはよ、ソレラ」

私がそう言うとソレラは少し首を傾け微笑を浮かべた。

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