異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

N

37 . 馬鹿は馬鹿


「うわっ暗っ」
「ラピ、コウ
ソレラが少し後ろの方で声を上げると辺りが明るくなった。ちらっと後ろを見るとソレラに抱かれた緑のドラゴン、否ドラニンの尻尾が光っていた。ラピといったか、そのドラニンはソレラに頬ずりしていた。くそう、私もやりたい。順番的にはマイが先頭でそれなりに広い階段を下りていく。
「ここで階段は終わりですね…」
マイの声がよく響く。マイと同じく一番下の床へと足をつけるとコツンと靴音が響いた。

「…迷路?」

そこには三手に分かれた通路があった。なんとも定番な形だ。ダンジョン迷路とは。
「私は一度行きましたので道はわかって、ます。右、です」
意外にもソレラは有力なことを言い、先頭に出て歩き出した。どうにも私を最前列、最後尾にするのは阻止したいらしくささっとマイは私の後ろへ回り込む。
コツコツといくつもの靴の音が石造りの苔の生えた迷路内に響いた。
「うぁぁあ…」
ふと前から不気味な声がする。それは三手に分かれた道の真ん中の道の先にいた。

「あ、ああああああれがアンデット…?」

血の滲む所々真っ黒になり何かの液体となったものが染み出した包帯の巻かれた上半身。片手で引き摺ってきた上半身に下半身が地面に溶けている。いや、無い。内臓が飛び出し、その先の道に散らばっていた。かろうじて腐らず付いているような目は今にも熟した実が落ちるようにボドッと行きそうだ。ぐ、グロすぎる。
「そうですよ?なにいちいち驚いてるんですか」
さも当然のように言い放ったマイを凝視しそれでも動じないソレラをも凝視した。 
「あれ…これ、やばくない、ですか?」
震え気味のソレラの声が響いた。ピーピーとラピが鳴き危険を知らせる。
予想以上の速さで上半身アンデットがこちらへ近づいてきたからだ。

「「「うわああああああぁぁぁぁあ!!」」」

涙目高速ダッシュ。ソレラに続いて右へ左へ真ん中へ。ちらっと振り返れば涙目のマイの後ろにわんさか増えていくアンデットの波。
「な、なんでこんなにいっぱい追いかけてくるの!!!???」
「前はこんなことありません、でしたっ!!!!」
「ぴぇえええええすいませんすいませんすいません!!!アイナ様あああぁぁぁ私今確認したら間違えてアンデット寄せのポーションつけてましたあああああぁぁ!!!」
マイはそう叫びながら小さな瓶を見せつけてきた。ラベルにはアンデット寄せ、と書かれている。 
こんな事だろうと思ったよ!!!
「このアホタレええええええぇぇぇ!!!」

「エ○ラ!!」
「焼肉の!!!」
「タレッッッ!!!!」

※全力で逃げています。

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