異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

N

35 . 準備しましょう


通された客間はライン邸とはまた違った落ち着きのある空間だった。
ダンジョンへ行くと啖呵を切ったもののまずどうしましょうか。
そう視線をアイに投げかけると呆れた顔をされた。
「まず、そうですね。回復ポーションは必要ですね。あと護身用の短剣、あとは防具あたりでしょうか?クレア、急いで回復ポーションを調達してちょうだい」
「はっはい!」
お前はエスパーなのか?ラインちゃんなのか?ぱたぱたとせわしなく部屋を出て行ったクレアを見届けると話を戻す。
「ダンジョンって言ってもモンスターとかはいないのでしょう?だってどちらかと言えば私らがモンスターの類よね」
「えぇ、モンスターはいませんよー!しかし理性を持たない死体成りのアンデットがうようよいますし、最奥に変わった方がいることが多いですが…」
「変わった方?」
マイの言葉にクエスチョンマークを浮かべる。相変わらず実家でもミルクを意味なく優雅に飲みながらマイは答えた。
「えぇ、巨大ドラニンのおじさまだとかリッチーのおにーさんとかキメラのおねーさんとか時々住み着いてるのですよー!」
「あ。それはまさかエールおじさまとマルにぃとスティフ姉さん、ですか?」
「知ってるのですかソレラさん!流石数々のダンジョンに潜ってきた方ですね!」
「なにかとそこ仲良くなってるけど…もちろん友好的よね?」
「殆どがそうですよー。なんと言いますかー闇でしか生きられない方々なのでそういうところに住み着くのですよー。殆どのお方が貴族まではいきませんけど16の幹部のうちに入っていますからお強い筈です!」
16の幹部?なにそれ初耳っ。
「16の幹部の説明してませんでしたっけ」
「してない」
「そうでしたか」
そうですのよアイさん。
「16の幹部とはドラニンのエール殿、リッチーのマルテ殿、キメイラのスティフ殿、吸血鬼の_」
「アイさんアイさん、それ長くなる?」
「それなりに」
「じゃあ帰ってからじっくりと説明どうぞ」
単純に聞くのが面倒くさかっただけだ。
「てかいつ行くの?その…ダンジョンには」
「ぼちぼち、でしょうか?」
「そろそろね」
準備を整えると言っても、私のすることはない。アイが全てやってくれるのだ。一家に台アイちゃん、どうですか?
他の二人は知らん。

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