異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

N

13 . 舞踏会?いいや…


あ、流れ星。灯りがないせいか無数に映る夜空の星を馬車の窓から眺める。馬車の心地よい揺れが眠気を少しさそった。
「…ねぇマイマイ」
「かたつむりですかッ!その呼び方やめてくださいよー!」
「はいはい。じゃなくてね、舞踏会ってなにするの?」
「えーそうですね。アイナ様の場合ですとずっと座ってるだけでしょうか」
「クッソつまんな」
そう口にするとマイはわかりやすくムスッとする。
「そんなこと言われましても、アイナ様の安全第一なんですよ!まぁ別に参加してもいいですが、なんといいますか、アイナ様は練習してらっしゃいませんよね」
「言われてみればそうだね。私もあっちではダンスなんてやった事もないしましては社交ダンスでしょ?ぶっつけ本番は不可能ね」
「あの、アイナ様」
キョトンとしてなにを言っているのかわからないというようなマイを一瞥しアイが困った顔で口を開いた。
「舞踏会は踊る会ではありません」
そこでハッとして気づく。いや、気づいてしまう。マイは、このお転婆マイは…一度もダンスなどとは言っていないと。そして舞踏会で踊らないとなればまさか。
「武道会ですよ」
「うわああだよねえええええッ!」
華やかなのを想像していた頭の中が馬鹿みたいにプロレスの景色に変わった。そんなことより若干張り切って舞踏会に挑もうとしていたので入れ違っていた会話に恥ずかしさがこみ上げる。今すぐここでゴロゴロ転がりたい。馬車の窓から飛び降りて逃げたい。
しかしそれより更に二人の視線と本を読んでて全く話を聞いてなかったメイの冷たい視線が痛かった。
「ううぅ、ねぇあいあい…」
「猿ですか。なんでしょう?」
「なんで私ドレスできたの」
「参加させないからです」
「アッハイ」


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