9 . 秘密の作戦

「ところで、これからアイナ様はどちらへ視察なさりますか？」

　あ、そっか。視察しに来たんだった。とラインに言われそこで本題を思い出す。かといってどこに行けばいいかなどわかりやしないのでアイに視線を投げかけた。それに気づいたのかアイは呆れた顔で私を一瞥すると口を開いた。
「そうですね…、繁華街、あまり良くはありませんがスラム街、あと世界塔でしょうか」
「わかりました、世界塔では案内人のムニンを手配しておきますね。ではごゆっくりなさいませ」
　アイの提案にラインは笑顔で返した。
「ではアイナ様。直ちにこちらで馬車を用意する手配をするのでしばし＿＿」

「いや、結構よ」

「「「「え？」」」」

　私の言葉に四人の驚きの声が響く。密かに計画していたやってみたい事リストの一つを達成させるべく、少し冷めた紅茶をすすりニヤリと笑うとこう告げた。

「馬車より、暗めのローブ4着かしてくれない？」