異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)

N

7 . 見ていたもの

「お前どこの娘だ!魔王様になんで口を__」
「アイ」
 はっと我に返って私を見るアイを一瞥するとしゃがんで幼女に目線を合わせた。陶器のような白い肌にくりくりとした澄んだ緑の瞳がお人形のようだ。
「私が...…幻を見てたのか?」
 そう優しく問いかけると幼女は不思議そうな顔のまま頷いた。
「幻…...そう。貴方の名は?」


「ライン、ライン・ベンカード」


「「「「はっ?」」」」
 四人の声がハモった。
「えっと…...あの、ここの領主のライン様…...ですか?」
 マイの言葉に迷わず幼女、否、ラインが頷いた。
「さ、先程の無礼、お許しください!」
 アイが慌てたようにペコペコと謝っていてその側でメイが筋肉…...ないよな…...幼女…...とぶつぶつ言っている。
「いい、ちょっと、まって」
「あ、あの。ライン様、こちらは魔王エイル、いえ、アイナ様でございます。できればなのですがその…...もう少し…...」
「わかってる」
「あ、あは…」
 幼女にタジタジにされてるアイはなんか凄く稀に見そうな光景だった。いつもキリッとしてるアイがオロオロしてまるでマイみたいだ。そんなアイをよそに玄関に入って行ったラインを目で追った。
「いったいどちらに行ったんでしょうね…...」
「...…さぁ?」

「お待たせしました、中にお入りください」

 扉から現れたのは幼女ではなく、先程の幼女にそっくりな少女だった。
「えっと......ライン殿のお姉様、ですか?」
「いえ、私がラインです」
 マイの言葉ににっこりと少女が微笑む。
「あっ、先程の女の子はやっぱりライン様の妹様とかですよね」
「いえ、さっきのも私です」
 アイの言葉ににっこりと少女が微笑む。
「質問よろしいですか?ライン様は見た目を自由に変えれると?」
「いえ、そういうわけではございません」
 メイの言葉ににっこりと少女が微笑んだ。
「先程のご無礼お許しくださいませ。私はライン・ベンカードです。私共は幻、幻想を見せたりするのが得意な種族でございます。しかし時々あの様な姿になってしまい勝手に幻を見せたりしてしまうのです。お許しくださいませ」
「いや、いいの。可愛かったし」
「中へお連れいたしますね」
 あの答え方はマズかったかなと反省しこれからは少し考える事も気をつけようと思いながらラインの扉を開ける姿を見つめた。先程の幼女とは打って変わってとても落ち着きのある少女といった感じだが、この世界には美少女しかいないのか?万々歳である。…私自身でこのような考えを頭の中で禁止する事は出来ないと悟った。

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