異世界行ったら魔王になってたんだけど(以下略)
3 . 講義を受けてもらいますの
「なんかこれめっちゃフリフリするね、あと寒い」
アイに半ば強制的に着せられた黒と白の肩出しドレスの裾を持ち上げくるりと回って見せる。ほほう、悪くない。
「今は秋ですから寒いのは我慢してください」
私の先程まで来ていたパジャマ....いやネグリジェというものか、を畳んいる最中のマイが少し呆れたように答えた。しかし冬なんてこれだったら凍え死ぬんじゃないのか?
「冬はどうするのこれ」
「上から羽織るものがございますよ」
あぁそう、と適当に受け流して部屋の大きな窓の外を見た。......高い。
「てかここお城だよね?」
「はい、魔王城ですよ」
「......今から探検してきていい?」
「ダメですよ、子供ですか」
私の靴紐を結んでいたアイが答えた。
ちぇ、行動の自由はないのか。
紐を結び終わったのか立ち上がったアイが口を開く。
「今から今日のご予定をメイが持ってくるので待ってください」
えぇーすることないじゃーん。
「もし御用事までお時間がありましたら案内してもいいですけれどね」
よっしゃ、威張りながら廊下歩いてやる。
「お待たせいたしました!今日のご予定を読み上げさせていただきます!」
轟音を立てて扉が開きメイが何かのメモを手に駆け込んできた。
「メイ、静かに入ってきなさい」
「はい......すいませんアイ姉様」
アイさんの睨みはこうかばつぐんのようだ。
「では...読み上げて...いきますね....」
落ち着け。息の上がったメイはしばらく屈んで深呼吸すると顔をあげた。
「今日のアイナ様のご予定は9時から講義11時から政務3時からエリオス地方の視察、そして夜7時からはテイスディ伯爵の晩餐会となっております」
「......今何時」
「8時56分となっております」
コンチクショウ。
*   *   *
「というわけでこの国の領土は現在全前魔王、エイル様のお父上様により世界の三分の一を占める大きな島です。その領土をお父上様は三つの地方に分け、三つの有力な信頼のおける貴族に持たせました。ひとつは山岳地帯と大きなアクティス川のある地方、今日アイナ様が視察に向かうエリオス地方です。そして平原の広がるテイスディ公爵の領地テイス地方、さらに一番面積の広いエティペドア地方です。このエティペドア地方には私達の実家がございます。そういえば説明し忘れていましたが、私、マイが教育係兼お世話役。次女アイが見張り役、三女メイが秘書役となっております。また護衛は私ども三人が行います」
羊が一匹、羊が二匹。
「次にアイナ様とエイル様の行われた『変え月』についてご説明いたします。まずこれはエティペドア地方に伝わる伝承なのですが極々稀に本当に起こる事として世間では知られています。それが行われた場合、必ずといっていいほど『ここはどこ?私は誰?』とおっしゃるのです。しかも驚くべきは必ず魔族の人間しか起こらないと言うこと。そしてアイナ様とエイル様が『変え月』を行われたのです。ちなみに変え月の由来といたしましては、この世界の闇の頂点を月と表すことが多く、その月が変わると言うことから『変え月』と言われるようになったと言われています。ちなみにこれが一般の魔族に起こった場合は『変え星』と呼びます。つまりこの言葉を作られた人にとって魔王は月であり、この国の国民は星であると例えたのでしょう。ロマンチックじゃないですか?」
羊が二十四匹、羊が......
「寝ないでくださいよアイナ様」
「はっ......わたしとしまったことが」
アイに半ば強制的に着せられた黒と白の肩出しドレスの裾を持ち上げくるりと回って見せる。ほほう、悪くない。
「今は秋ですから寒いのは我慢してください」
私の先程まで来ていたパジャマ....いやネグリジェというものか、を畳んいる最中のマイが少し呆れたように答えた。しかし冬なんてこれだったら凍え死ぬんじゃないのか?
「冬はどうするのこれ」
「上から羽織るものがございますよ」
あぁそう、と適当に受け流して部屋の大きな窓の外を見た。......高い。
「てかここお城だよね?」
「はい、魔王城ですよ」
「......今から探検してきていい?」
「ダメですよ、子供ですか」
私の靴紐を結んでいたアイが答えた。
ちぇ、行動の自由はないのか。
紐を結び終わったのか立ち上がったアイが口を開く。
「今から今日のご予定をメイが持ってくるので待ってください」
えぇーすることないじゃーん。
「もし御用事までお時間がありましたら案内してもいいですけれどね」
よっしゃ、威張りながら廊下歩いてやる。
「お待たせいたしました!今日のご予定を読み上げさせていただきます!」
轟音を立てて扉が開きメイが何かのメモを手に駆け込んできた。
「メイ、静かに入ってきなさい」
「はい......すいませんアイ姉様」
アイさんの睨みはこうかばつぐんのようだ。
「では...読み上げて...いきますね....」
落ち着け。息の上がったメイはしばらく屈んで深呼吸すると顔をあげた。
「今日のアイナ様のご予定は9時から講義11時から政務3時からエリオス地方の視察、そして夜7時からはテイスディ伯爵の晩餐会となっております」
「......今何時」
「8時56分となっております」
コンチクショウ。
*   *   *
「というわけでこの国の領土は現在全前魔王、エイル様のお父上様により世界の三分の一を占める大きな島です。その領土をお父上様は三つの地方に分け、三つの有力な信頼のおける貴族に持たせました。ひとつは山岳地帯と大きなアクティス川のある地方、今日アイナ様が視察に向かうエリオス地方です。そして平原の広がるテイスディ公爵の領地テイス地方、さらに一番面積の広いエティペドア地方です。このエティペドア地方には私達の実家がございます。そういえば説明し忘れていましたが、私、マイが教育係兼お世話役。次女アイが見張り役、三女メイが秘書役となっております。また護衛は私ども三人が行います」
羊が一匹、羊が二匹。
「次にアイナ様とエイル様の行われた『変え月』についてご説明いたします。まずこれはエティペドア地方に伝わる伝承なのですが極々稀に本当に起こる事として世間では知られています。それが行われた場合、必ずといっていいほど『ここはどこ?私は誰?』とおっしゃるのです。しかも驚くべきは必ず魔族の人間しか起こらないと言うこと。そしてアイナ様とエイル様が『変え月』を行われたのです。ちなみに変え月の由来といたしましては、この世界の闇の頂点を月と表すことが多く、その月が変わると言うことから『変え月』と言われるようになったと言われています。ちなみにこれが一般の魔族に起こった場合は『変え星』と呼びます。つまりこの言葉を作られた人にとって魔王は月であり、この国の国民は星であると例えたのでしょう。ロマンチックじゃないですか?」
羊が二十四匹、羊が......
「寝ないでくださいよアイナ様」
「はっ......わたしとしまったことが」
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