遅熟のコニカ
42「テッタイトモドリ」
花を掻き分け、空気を求めるように出て来た二人の姿は、 先の姿となんら変わりはない。
しかしながら、二人は今、生まれ変わったかのような爽快感に満ち溢れていた。
ただしかし、現状、全方位敵。
逃げ場所など、この場には存在しない。
「……コニカ貴様、魔女にへと成り下がったか」
コニカは確かに、魔女の能力、遺能を使い、ヒルコを生き返らせた。
ただ、コニカは、修羅の如く人格に囚われる代わりに、修羅の如く力を得るという、遺能としか説明付ける事が出来ない物を扱っていた。
王は知っていた。その遺能の事を。
「……王よ、改めて会社を辞める事を許していただきたい、私にはもう、帝国のために働く事など出来ませ」
「意見するなど、よく出来たな、一端の兵に過ぎぬ貴様が」
王の言葉に、コニカが靡く事などなかった。
今では、強い言葉を使うただの女としか思えない。
であれば、自分が生き返らせた者の側にいるのが、今、自分の行う事なのではないか、コニカはそう思った。
「コニカよ、我輩の元へと無理にいる事はない。彼方側にへと行けば、君の目的も達成でき、君の生命の安全は約束される」
ヒルコは、やけにマイナス思考で、とても不安そうな顔をしながら、コニカの顔を見つめる。
まさに、ねだる子供の姿。
それに親は、ただ従う事他ないだろう。
「……であれば、貴様など生き返らせん、子供は子供らしく、何も考えず居ればいいんだ」
コニカは、一度ヒルコの顔を見ると、下唇を一度噛んで、前を真っ直ぐと見つめて、ヒルコに向けて言う。
「我輩は子供と言われるような歳では……いや君から貰った命、君の子供と考えればそう呼ばれても致し方無しか」
ヒルコは、一度強く否定をしようとするが、一度深く考え、少し笑ってコニカの言葉を肯定する。
生前のような、子供的で貪欲な楽しみ方はせず、少量の悦楽での満足、それは先程まで死んでいたが故の物か。
「……馬鹿か貴様は」
コニカは更に照れるようにして言った。
「夫婦劇もそこまでにしてもらいたい、腹が立つ。現状も見れぬ阿呆にへと成り下がったか」
王は、些かな苛立ちを持って、奇跡の生還を遂げた者とのやり取りを止めた。
そして王は、地に足を付き、祈りを始めた。
その行為に二人は、驚いた、いや恐怖とすら思った。
「そうか、神の導き、私はただ従うまで、コニカ、命拾いしたな」
王は、踵を返して何処かにへと向かう。
向かう先あるのは帝国だが、淀みなく王は足を進めるのだろうか。
しかし、ヒルコは、それに疑問を感じた。
コニカは、安堵した。
ただ、一つ、彼方の現状が気になりつつも、ヒルコが感じた様々な疑問がヒルコを今だ安心させる事はなかった。
「戻るぞ、コニカ。何か悪い予感がする」
ヒルコは、地面に六芒星を描き、中心を強く踏みつける。
するとその地面は瞬く間に湯水のようにへと変わり、ヒルコを吸い込むようにして己の体にへと取り込む。
その光景にコニカは、また驚き、動くことが出来ず、その姿を撮る群衆でさえも、一瞬シャッター音を鳴らす事を止めてしまう程だった。
「何をしているコニカ、早く来い、取り残されたいのか」
ヒルコは、顔の上半分だけ出すと、冷ややかな目をしながらコニカだけを見つめ、早く来るようにと、催促をする。
「あ、あぁすまない」
自分が悪いのだろうかと、若干不思議に思いながらコニカは、六芒星の真ん中にへと足を踏み入れると、引きずり込まれるように、体を飲み込まれた。
コニカの体が全て飲み込まれた後、群衆は吸い込まれるように、六芒星の描かれた地面にへと行き、地面を叩く。
しかしそこには、何もない。
──────────
「主よ……我は……達成しました」
緑の鱗が剥がれ、そこから漏れる赤が、ナニカの全てと、現状の全てを語っていた。
「……子供達これは何だ!!」
そこに広がっているのは、騎士の骸山、ではなく瀕死の子供達だった。
しかしながら、二人は今、生まれ変わったかのような爽快感に満ち溢れていた。
ただしかし、現状、全方位敵。
逃げ場所など、この場には存在しない。
「……コニカ貴様、魔女にへと成り下がったか」
コニカは確かに、魔女の能力、遺能を使い、ヒルコを生き返らせた。
ただ、コニカは、修羅の如く人格に囚われる代わりに、修羅の如く力を得るという、遺能としか説明付ける事が出来ない物を扱っていた。
王は知っていた。その遺能の事を。
「……王よ、改めて会社を辞める事を許していただきたい、私にはもう、帝国のために働く事など出来ませ」
「意見するなど、よく出来たな、一端の兵に過ぎぬ貴様が」
王の言葉に、コニカが靡く事などなかった。
今では、強い言葉を使うただの女としか思えない。
であれば、自分が生き返らせた者の側にいるのが、今、自分の行う事なのではないか、コニカはそう思った。
「コニカよ、我輩の元へと無理にいる事はない。彼方側にへと行けば、君の目的も達成でき、君の生命の安全は約束される」
ヒルコは、やけにマイナス思考で、とても不安そうな顔をしながら、コニカの顔を見つめる。
まさに、ねだる子供の姿。
それに親は、ただ従う事他ないだろう。
「……であれば、貴様など生き返らせん、子供は子供らしく、何も考えず居ればいいんだ」
コニカは、一度ヒルコの顔を見ると、下唇を一度噛んで、前を真っ直ぐと見つめて、ヒルコに向けて言う。
「我輩は子供と言われるような歳では……いや君から貰った命、君の子供と考えればそう呼ばれても致し方無しか」
ヒルコは、一度強く否定をしようとするが、一度深く考え、少し笑ってコニカの言葉を肯定する。
生前のような、子供的で貪欲な楽しみ方はせず、少量の悦楽での満足、それは先程まで死んでいたが故の物か。
「……馬鹿か貴様は」
コニカは更に照れるようにして言った。
「夫婦劇もそこまでにしてもらいたい、腹が立つ。現状も見れぬ阿呆にへと成り下がったか」
王は、些かな苛立ちを持って、奇跡の生還を遂げた者とのやり取りを止めた。
そして王は、地に足を付き、祈りを始めた。
その行為に二人は、驚いた、いや恐怖とすら思った。
「そうか、神の導き、私はただ従うまで、コニカ、命拾いしたな」
王は、踵を返して何処かにへと向かう。
向かう先あるのは帝国だが、淀みなく王は足を進めるのだろうか。
しかし、ヒルコは、それに疑問を感じた。
コニカは、安堵した。
ただ、一つ、彼方の現状が気になりつつも、ヒルコが感じた様々な疑問がヒルコを今だ安心させる事はなかった。
「戻るぞ、コニカ。何か悪い予感がする」
ヒルコは、地面に六芒星を描き、中心を強く踏みつける。
するとその地面は瞬く間に湯水のようにへと変わり、ヒルコを吸い込むようにして己の体にへと取り込む。
その光景にコニカは、また驚き、動くことが出来ず、その姿を撮る群衆でさえも、一瞬シャッター音を鳴らす事を止めてしまう程だった。
「何をしているコニカ、早く来い、取り残されたいのか」
ヒルコは、顔の上半分だけ出すと、冷ややかな目をしながらコニカだけを見つめ、早く来るようにと、催促をする。
「あ、あぁすまない」
自分が悪いのだろうかと、若干不思議に思いながらコニカは、六芒星の真ん中にへと足を踏み入れると、引きずり込まれるように、体を飲み込まれた。
コニカの体が全て飲み込まれた後、群衆は吸い込まれるように、六芒星の描かれた地面にへと行き、地面を叩く。
しかしそこには、何もない。
──────────
「主よ……我は……達成しました」
緑の鱗が剥がれ、そこから漏れる赤が、ナニカの全てと、現状の全てを語っていた。
「……子供達これは何だ!!」
そこに広がっているのは、騎士の骸山、ではなく瀕死の子供達だった。
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