遅熟のコニカ
38「キッコウノイクサ」
そこから起きたのは、一方的な虐殺ではなく、拮抗の戦。
それは、意外であり、ヒルコでさえ予測出来なかった事。
先程から剣を使い殺していた騎士にへと、鬼のような姿をした者が、その巨石をくっ付けたように、太く堅硬な腕を広げ、鎧すらも気にする事なく、全てから防ぎ、全てを壊す、その腕を振り抜き、相手の首元にへと当てる、渾身のラリアットを捧げる。
それを返り血にまみれた女騎士は、片手一本でそれを止めた。
鎧を纏う姿でさえも、鬼の彼には見劣りする。
しかし、止めている事は事実、しかし鬼、敗れた訳ではない。
先制を得たのは、八本足の熊だった。しかし、現状平衡が変わらず。
八本足の熊の先制攻撃は、胸部の鎧を剥がし壊すという物、肉体的損傷はないが、次の攻撃を示す目印にへとなった。
八本足の熊は、直立歩行をする事が出来る、ただする事が出来るだけで、常にではない。
八本足の熊は、言語を理解できる。
ただそれ以外はただの熊である。
女騎士は、猟銃を持っている。
銃弾がビルの窓を貫く。
銃弾が導く先にいたのは、雲、いや蜘蛛。
その蜘蛛は、かの伝記に登場する牛鬼に似ていたが、牛の頭ではなく、豚、いや猪、であれば猪鬼と言えよう。
猪鬼は、ビルを走り回り、銃弾をかわせば、女騎士の一人をくわえ貪る。まさに怪物である。
また一人と消えていく。
「……鎧、苦手、故に、戻る」
ナニカは戦の中にいた。そして、かたっくるしい喋り方をすれば、上半身を曲げて息を吐く。
その時、ナニカに敵意を向ける者が、蹴りを放つ。
「……心地好い……心地好いのだ、邪魔をするな、浸らせろ」
ナニカの心中と表皮は穏やかな緑一色。一瞬の陰りや混じりはない、そしてこの状況においても一瞬の陰りなし、順調。
鎧ごと足をもぎ取り、そして蟹を食べるように、鎧を持ち、柔らかい肉体をむしゃぶる。
「浸るには煩い場所だな」
「弱い……か」
グロルは、人間の姿にへと戻っていた。そして、先程言われた言葉を呟く。
ナニカと同じように、蛇のようにうなだれ、上半身を曲げているグロルはまさに、格好の標的。
隙だらけで攻撃してくれと言わんばかりのこの状況、狙わない敵などいない。
斬りかかり、引き金を引かれる。
「最高じゃねえか、クソチビさんよぉお!!」
斬りかかる女騎士を掴み、盾にへとする、しかし跳弾し、盾にへとした女騎士を殺すことは出来ない。
しかし、今のグロルにとってはそんな事一縷たりとも、問題にすらならず、むしろ、己を昂らせる要素にすらならなかった。
グロルは、鎧を剥ぐと、頭部を蛇にへと変え、頭を食べた。
「……やっぱり髪が邪魔だな髪が」
「……拮抗しているのだな、いや、割りと優勢か」
ヒルコは、現状を見定め、冷静な判断をし、今だ観測を続ける。
「なぜ奴等があれほどに……」
奴等、その言葉は、もう自分が仲間であることを否定し、あくまでも他人である事の無自覚な証明。
しかし、同僚達の全てが自分以下だった筈の彼女らが、これ程にいい勝負をしているのは、コニカにとっても、ヒルコにとっても予想外だった。
そして、この先起こる事も。
「コニカ先輩っ♪」
それは、意外であり、ヒルコでさえ予測出来なかった事。
先程から剣を使い殺していた騎士にへと、鬼のような姿をした者が、その巨石をくっ付けたように、太く堅硬な腕を広げ、鎧すらも気にする事なく、全てから防ぎ、全てを壊す、その腕を振り抜き、相手の首元にへと当てる、渾身のラリアットを捧げる。
それを返り血にまみれた女騎士は、片手一本でそれを止めた。
鎧を纏う姿でさえも、鬼の彼には見劣りする。
しかし、止めている事は事実、しかし鬼、敗れた訳ではない。
先制を得たのは、八本足の熊だった。しかし、現状平衡が変わらず。
八本足の熊の先制攻撃は、胸部の鎧を剥がし壊すという物、肉体的損傷はないが、次の攻撃を示す目印にへとなった。
八本足の熊は、直立歩行をする事が出来る、ただする事が出来るだけで、常にではない。
八本足の熊は、言語を理解できる。
ただそれ以外はただの熊である。
女騎士は、猟銃を持っている。
銃弾がビルの窓を貫く。
銃弾が導く先にいたのは、雲、いや蜘蛛。
その蜘蛛は、かの伝記に登場する牛鬼に似ていたが、牛の頭ではなく、豚、いや猪、であれば猪鬼と言えよう。
猪鬼は、ビルを走り回り、銃弾をかわせば、女騎士の一人をくわえ貪る。まさに怪物である。
また一人と消えていく。
「……鎧、苦手、故に、戻る」
ナニカは戦の中にいた。そして、かたっくるしい喋り方をすれば、上半身を曲げて息を吐く。
その時、ナニカに敵意を向ける者が、蹴りを放つ。
「……心地好い……心地好いのだ、邪魔をするな、浸らせろ」
ナニカの心中と表皮は穏やかな緑一色。一瞬の陰りや混じりはない、そしてこの状況においても一瞬の陰りなし、順調。
鎧ごと足をもぎ取り、そして蟹を食べるように、鎧を持ち、柔らかい肉体をむしゃぶる。
「浸るには煩い場所だな」
「弱い……か」
グロルは、人間の姿にへと戻っていた。そして、先程言われた言葉を呟く。
ナニカと同じように、蛇のようにうなだれ、上半身を曲げているグロルはまさに、格好の標的。
隙だらけで攻撃してくれと言わんばかりのこの状況、狙わない敵などいない。
斬りかかり、引き金を引かれる。
「最高じゃねえか、クソチビさんよぉお!!」
斬りかかる女騎士を掴み、盾にへとする、しかし跳弾し、盾にへとした女騎士を殺すことは出来ない。
しかし、今のグロルにとってはそんな事一縷たりとも、問題にすらならず、むしろ、己を昂らせる要素にすらならなかった。
グロルは、鎧を剥ぐと、頭部を蛇にへと変え、頭を食べた。
「……やっぱり髪が邪魔だな髪が」
「……拮抗しているのだな、いや、割りと優勢か」
ヒルコは、現状を見定め、冷静な判断をし、今だ観測を続ける。
「なぜ奴等があれほどに……」
奴等、その言葉は、もう自分が仲間であることを否定し、あくまでも他人である事の無自覚な証明。
しかし、同僚達の全てが自分以下だった筈の彼女らが、これ程にいい勝負をしているのは、コニカにとっても、ヒルコにとっても予想外だった。
そして、この先起こる事も。
「コニカ先輩っ♪」
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