遅熟のコニカ
12「ヘイワデウマレテ」
「主よ、何か御用でしょうか?」
「特にない」
「それは良いことで」
「あぁ良いことだ」
何も変哲はない。日々の平和を有難む老人達のようだ。
コニカを他所に。
「コニカ、証拠を見せたけど信じてくれた?」
ヒルコは、コニカに向けてコテンと首を傾げて見せて聞く。
その姿も愛しい子供のようだった。
コニカは、何時までもそれを見ていたかったが、横のナニカがそれを許さないように敵意を向けている。
「あ、あぁそうだな、凄いと思った。うん凄いな」
驚き過ぎたせいかコニカは、若干流しているような対応を取る。
その対応に若干ガッカリしたのか、ヒルコはナニカに当たるように、未だ血が出続ける指をナニカの服に押し付けていた。
「主よ、何故貴方はこの女を生かすのですか。生かす意味がないで」
「客人に生かすも殺すもないだろうライ・ビトレイ、言葉を慎め」
嬉しそうにナニカの横腹をつついていたヒルコは、急に表情を変え、ナニカを叱る。
それにしてもヒルコは何故表情をコロコロと変えるのか、それはヒルコが化け物達を子供と呼んでいるのに意があった。
「はぁ……何故こうも我輩の子供は野蛮なやつばかりなのだ…… 生かす意味がないと言ったり、剣を抜いている所を見れば興奮するし…… いやまぁ我輩の身を案じるのは嬉しいのだが、あんな剣1本で我輩が殺られる訳がないのだ、大体……」
ぶつぶつと愚直を吐きながらナニカの横腹を抉るようにつつくヒルコは、さながら恋人に甘える彼女のようであり、とても甘ったるい光景だった。
「申し訳ありません……我が成長しないばっかりに」
不甲斐なさそうに反省はしているが。
コニカはずっと、横腹をつつかれているのは、気にならないのかというのが心残りだった。
「問題ない、言葉のみの謝罪は求めん。我輩が欲しいのは目に見える改心。次回にまで励む事だな」
キリッとした事務対応の時も、ヒルコはつつくのをやめない。
そのせいで真面目な雰囲気は一気にホームビデオのような物に変わる。
「主よ……」
神を崇めるようにナニカは言葉を溢す。
しかし、その言葉も虚しくかきけされた。
「ABABBBBBBBBBBBBBBB」
顔をしかめるほどの不快音、そして爆発音が転々と鳴り響く。
それはさながら戦場のようだった。
転々と、いや規則的に。
近くにあるものを壊し、歩いているのだろうか、同じ場所から音がする、しかし程無くすると若干の時間が経つとまた違う場所からまた爆発音と不快音。
「成功……いや失敗ですか」
ナニカは眉間に皺を寄せて、考察する。
成功と失敗という二文字の二種類は、どちらであろうとそれは、製作物を示す二種類だった。
「あぁ?我輩が子供に失敗はない。失敗があるとすれば、それは子供ではないという事、まぁ暴れる子供を叱りに行こう」
やっとヒルコはナニカをつつくのをやめ、音の震源へと歩きだす。
再び爆発音がするとヒルコの白衣が揺れる。
そして、残っていた仮面の欠片が完全に消える。
「ついて行きましょう。そこの女、貴様もついてこい、瓦礫を片付ける程の作業ぐらいならば出来るであろう」
ナニカはコニカに威圧的な態度を取るが、それよりもコニカは、戦闘中に話していた喋り方は、格好つけだったのかとコニカは思う。
「むしろ私に勝てないお前は、何が出来るのだろうな」
出来るだけ憎たらしく笑う。
それは見事にナニカを憤慨させる。
両者睨み合いが、子供の後ろで大人の格好をした子供が、今も手を上げまいとしている。
15分ばかりか歩いた後に、爆音の元へと着く。
<a href="//18021.mitemin.net/i298109/" target="_blank"><img src="//18021.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i298109/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
「あばばばばばっばばああああああああああ」
壁をむやみやたらと壊し続ける金髪の子供が、ヒルコ達を見て言葉とも言えぬ音を発して目の前の地面を何度も踏む。
「おぉ! 割りと知識はあるのだな、言葉も聞ける物になったようだ。成長速度もまずまずと言ったところだな」
「ヒトガタでしょうか」
「いや、後天性の物だと診断結果が出ている。一応姿には出てはいないが……まさかあの力は素か? 素晴らしいな」
観察結果を互いに言い合う2人を他所に、コニカは冷静に剣の柄に指を付けようとしている。
「そうだコニカ!遊ぶか?」
ヒルコはまるで暴徒である目の前の子供を指差して、遊びに誘う。
「あぁ、遊ぼう」
コニカは監獄に入って初めて心から笑った。
剣を抜く。
「特にない」
「それは良いことで」
「あぁ良いことだ」
何も変哲はない。日々の平和を有難む老人達のようだ。
コニカを他所に。
「コニカ、証拠を見せたけど信じてくれた?」
ヒルコは、コニカに向けてコテンと首を傾げて見せて聞く。
その姿も愛しい子供のようだった。
コニカは、何時までもそれを見ていたかったが、横のナニカがそれを許さないように敵意を向けている。
「あ、あぁそうだな、凄いと思った。うん凄いな」
驚き過ぎたせいかコニカは、若干流しているような対応を取る。
その対応に若干ガッカリしたのか、ヒルコはナニカに当たるように、未だ血が出続ける指をナニカの服に押し付けていた。
「主よ、何故貴方はこの女を生かすのですか。生かす意味がないで」
「客人に生かすも殺すもないだろうライ・ビトレイ、言葉を慎め」
嬉しそうにナニカの横腹をつついていたヒルコは、急に表情を変え、ナニカを叱る。
それにしてもヒルコは何故表情をコロコロと変えるのか、それはヒルコが化け物達を子供と呼んでいるのに意があった。
「はぁ……何故こうも我輩の子供は野蛮なやつばかりなのだ…… 生かす意味がないと言ったり、剣を抜いている所を見れば興奮するし…… いやまぁ我輩の身を案じるのは嬉しいのだが、あんな剣1本で我輩が殺られる訳がないのだ、大体……」
ぶつぶつと愚直を吐きながらナニカの横腹を抉るようにつつくヒルコは、さながら恋人に甘える彼女のようであり、とても甘ったるい光景だった。
「申し訳ありません……我が成長しないばっかりに」
不甲斐なさそうに反省はしているが。
コニカはずっと、横腹をつつかれているのは、気にならないのかというのが心残りだった。
「問題ない、言葉のみの謝罪は求めん。我輩が欲しいのは目に見える改心。次回にまで励む事だな」
キリッとした事務対応の時も、ヒルコはつつくのをやめない。
そのせいで真面目な雰囲気は一気にホームビデオのような物に変わる。
「主よ……」
神を崇めるようにナニカは言葉を溢す。
しかし、その言葉も虚しくかきけされた。
「ABABBBBBBBBBBBBBBB」
顔をしかめるほどの不快音、そして爆発音が転々と鳴り響く。
それはさながら戦場のようだった。
転々と、いや規則的に。
近くにあるものを壊し、歩いているのだろうか、同じ場所から音がする、しかし程無くすると若干の時間が経つとまた違う場所からまた爆発音と不快音。
「成功……いや失敗ですか」
ナニカは眉間に皺を寄せて、考察する。
成功と失敗という二文字の二種類は、どちらであろうとそれは、製作物を示す二種類だった。
「あぁ?我輩が子供に失敗はない。失敗があるとすれば、それは子供ではないという事、まぁ暴れる子供を叱りに行こう」
やっとヒルコはナニカをつつくのをやめ、音の震源へと歩きだす。
再び爆発音がするとヒルコの白衣が揺れる。
そして、残っていた仮面の欠片が完全に消える。
「ついて行きましょう。そこの女、貴様もついてこい、瓦礫を片付ける程の作業ぐらいならば出来るであろう」
ナニカはコニカに威圧的な態度を取るが、それよりもコニカは、戦闘中に話していた喋り方は、格好つけだったのかとコニカは思う。
「むしろ私に勝てないお前は、何が出来るのだろうな」
出来るだけ憎たらしく笑う。
それは見事にナニカを憤慨させる。
両者睨み合いが、子供の後ろで大人の格好をした子供が、今も手を上げまいとしている。
15分ばかりか歩いた後に、爆音の元へと着く。
<a href="//18021.mitemin.net/i298109/" target="_blank"><img src="//18021.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i298109/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
「あばばばばばっばばああああああああああ」
壁をむやみやたらと壊し続ける金髪の子供が、ヒルコ達を見て言葉とも言えぬ音を発して目の前の地面を何度も踏む。
「おぉ! 割りと知識はあるのだな、言葉も聞ける物になったようだ。成長速度もまずまずと言ったところだな」
「ヒトガタでしょうか」
「いや、後天性の物だと診断結果が出ている。一応姿には出てはいないが……まさかあの力は素か? 素晴らしいな」
観察結果を互いに言い合う2人を他所に、コニカは冷静に剣の柄に指を付けようとしている。
「そうだコニカ!遊ぶか?」
ヒルコはまるで暴徒である目の前の子供を指差して、遊びに誘う。
「あぁ、遊ぼう」
コニカは監獄に入って初めて心から笑った。
剣を抜く。
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