東方魔人黙示録〜番外編〜
アリスの研究日記
幻想郷の人里から少し離れた大きな森。通称、魔法の森その少し奥に進んだ場所にある屋敷。
そこに住む少女。魔法使いのアリス・マーガトロイドが厚い本をフラスコなどを弄りながら読んでいた。フラスコの中に入っている液体は鮮やかな色をしており綺麗だが不安定なようで色が変化していた。
「う〜ん......何か足りないわ」
どうやら研究は行き詰まっているようだ。
なにを作っているかはわからないが凄いものである事は変わりない。
「それとも配合を間違えた?嫌でも...」
なにがダメなのかはっきりしないようだ。
そんな時だ。一人の訪問者が訪れた。
「あれ?何してるんだ?」
天邪鬼兄だ。
「あらいらっしゃい。どうしたの?」
「いや。ただ暇になった」
「ふ〜ん...でもあなたって地上に出れないんじゃないの?」
「今はちょっと訳ありで......」
ただいまアルマは聖の条件で命蓮寺に居候中。橋姫さんも一緒にいるので大丈夫なようだ。
それで今は気分転換に出てきたようだ。
「それで何を作ってるんだ?」
「ちょっとした魔法薬。でも材料が足りないのか上手くいかないのよ...」
「何を使ったんだ?」
「悪魔の血、悪魔の爪垢、悪魔の牙、悪魔の内臓...その他諸々...」
「な、なぜ悪魔のものばっか?」
悪魔の体を使っている事にアルマは少し寒気を感じた。
「何が足りないのかしら...?」
「さ、さぁ?その悪魔の力が弱かったとか?」
「.......ありえるわね。もう少し強い悪魔の材料があれば.......」
「俺の血使う?」
「....はい?」
意外な返答にアリスは戸惑った。
自分から血を捧げると言っているのだ。しかも悪魔の中でも最上の魔王がだ。
「仮にも魔王の俺の血だ。効果はあると思うぜ?」
「そ、そうだとしても...なぜくれるの?」
「いやちょっとその薬がどんなものか気になっただけ。で?いるの?いらないの?」
「ありがたく頂戴するわ」
「よしわかった」
そう言ってアルマは自分の指を少しだけ切りアリスの作っていた薬が入っているフラスコに血を数滴入れた。
すると、不安定だった薬の色が徐々に赤く染まり不思議な赤と青が入り混じる液体が出来上がった。
「な、なんか変なのが....」
「よ、予想外なものになったわよ....?」
「本来は何を作ろうとしたんだ?」
「魔力を底上げする魔法薬」
「なるほど....だがこれはむしろ人体に異常をもたらしそうだが?」
確かにどう見ても毒にしか見えない液体に二人はちょっと恐怖している。
「ど、どうするよ?」
「...飲んでみる」
「はぁぁ!?マジで言ってんのか!?」
「せっかく手伝ってくれた魔法薬を無下にするなんて失礼だもの」
アリスはそう言い謎の液体Xが入ったフラスコを持ち一気に口に流し込んだ。
「マジで飲んだ!?」
「うっ....!!」
だが、やはり人体に影響があるのかアリスは胸を押さえ苦しそうにしゃがみ込んだ。心配そうに見守るアルマだったが彼女に起きた異変び気づき絶句する。
「お、おい...アリス...!?」
「な、な....に......?」
「お前...ツノ生えてんぞ!?」
「え....?.........えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
自分の頭に触れたアリスは本来ないはずのツノに触れた途端、一瞬放心状態に入ると我に帰り叫んだ。
「な、な、な、なんでぇぇ!?」
「考え得るのは俺の血が原因で一時的かどうかは知らんが悪魔化したみたいだ」
「う、嘘でしょ!?ど、ど、どうすれば....!!」
「うーん....まあ時間が経てば治るんじゃね?」
「て、適当!?もっとなんか考えてよ!!」
その後、いつも冷静なアリスからは考えられないほど泣きわめいて時間が経過すると自然と元に戻ったらしい。彼女は念入りに口封じをアルマにしたそうだ。
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