闇夜の世界と消滅者
十一話 試合後
 試合が終わり、ゲートを潜って帰ろうとしていた戀ポツリと呟く。
「パフォーマンスとしてはこの程度で十分だろ。しかし、負けたなぁ……もうちょっとうまく立ち回れると思ったんだけどなぁ………」
負け惜しみだとは分かっていても、呟いてしまう。
戀は、メルガリアの上層部からこう指示されていた。
――学園で一度、強者と戦い、貴殿の実力を示せ。但し、勝利はするな――
戀はこの文に見覚えがあった。確かにシルフィードに着任したとき、修行の一環として受けた破壊工作の仕事も確かこのような文だったはずだ。
この文から発するに、この学園に何か良からぬ思惑が絡んでいるのであろうということは想像に難くない。
この学園に入学しろと言われた時点で何か仕事を押し付けられているのではないかという疑惑はあったのだが、本当にそうだったとは。
「とりあえず、ティナから詳しい話を聞くか」
そう呟きながら、戀は校長室まで行くことにした。
が、「待ってください!」という声に歩みを止めた。
振り向くと、イルディーナが立っていた。
「なんのようだ。さっきの試合はだれがどう見てもあんたの勝ちだぞ」
「別に勝敗のことに関して文句を言いに来たのではありません。」
ほう。
「じゃあ、何でここに来たんだ」
「なぜあの時、反撃しなかったのですか?」
「なぜ? それにあの時っていうと………」
『リスティック・バインド』の時か。それとも『グラッジ・エンド・アベンジャー』の時か。
「まず、『リスティック・バインド』の時は固有魔法を見せてもらった礼として『エルトス・ブラッド』を見せたってだけだ。『グラッジ・エンド・アベンジャー』に関しては本当に魔力が切れたんだよ」
「ほんとうですか?」
イルディーナがその言葉を発した瞬間。戀の背中に大量に冷や汗が流れ落ちた。
務めて冷静を保ちつつ、聞き返す。
「な、なんことだ? 俺は別に嘘なんて…………」
「まず、魔導士であるあなたがエリクサーを持っていないことがおかしい話です。それに、確かに一般客やCクラスの生徒たちなら気づかなかったのかもしれませんが、私はAランクですよ? それほど濃密な魔力を漏らしていたら、誰でもわかるようなものだと思いますが」
「………っ」
図星であった。そもそも戀はこの試合に勝とうとはしていない。伝令では勝利はするな、つまり負けろと言われていたのである。
しかし、イルディーナの試合では実力差がかなりあり、伝令の通りにできないとかなり戀は焦っていた。だからイルディーナの放った魔法『グラッジ・エンド・アベンジャー』が出たときは感謝したものである。
……………それが自分と因縁のある相手の最上級魔法で会ったことに関していえば複雑な気分ではあったが。
戀が何も言えずしどろもどろしていると、イルディーナはさらに追い打ちをかけるように畳みかける。
「魔力量も信じられませんが、あなたのその実力です。魔法を使ったとはいえ、私の母上の魔法を魔法相殺したことも気になりますっ!」
そう詰め寄られて、戀は項垂れながら観念したように
「じゃあ、先にティナのところに行くか」
と、がっくりした気持ちで言うのだった。
「パフォーマンスとしてはこの程度で十分だろ。しかし、負けたなぁ……もうちょっとうまく立ち回れると思ったんだけどなぁ………」
負け惜しみだとは分かっていても、呟いてしまう。
戀は、メルガリアの上層部からこう指示されていた。
――学園で一度、強者と戦い、貴殿の実力を示せ。但し、勝利はするな――
戀はこの文に見覚えがあった。確かにシルフィードに着任したとき、修行の一環として受けた破壊工作の仕事も確かこのような文だったはずだ。
この文から発するに、この学園に何か良からぬ思惑が絡んでいるのであろうということは想像に難くない。
この学園に入学しろと言われた時点で何か仕事を押し付けられているのではないかという疑惑はあったのだが、本当にそうだったとは。
「とりあえず、ティナから詳しい話を聞くか」
そう呟きながら、戀は校長室まで行くことにした。
が、「待ってください!」という声に歩みを止めた。
振り向くと、イルディーナが立っていた。
「なんのようだ。さっきの試合はだれがどう見てもあんたの勝ちだぞ」
「別に勝敗のことに関して文句を言いに来たのではありません。」
ほう。
「じゃあ、何でここに来たんだ」
「なぜあの時、反撃しなかったのですか?」
「なぜ? それにあの時っていうと………」
『リスティック・バインド』の時か。それとも『グラッジ・エンド・アベンジャー』の時か。
「まず、『リスティック・バインド』の時は固有魔法を見せてもらった礼として『エルトス・ブラッド』を見せたってだけだ。『グラッジ・エンド・アベンジャー』に関しては本当に魔力が切れたんだよ」
「ほんとうですか?」
イルディーナがその言葉を発した瞬間。戀の背中に大量に冷や汗が流れ落ちた。
務めて冷静を保ちつつ、聞き返す。
「な、なんことだ? 俺は別に嘘なんて…………」
「まず、魔導士であるあなたがエリクサーを持っていないことがおかしい話です。それに、確かに一般客やCクラスの生徒たちなら気づかなかったのかもしれませんが、私はAランクですよ? それほど濃密な魔力を漏らしていたら、誰でもわかるようなものだと思いますが」
「………っ」
図星であった。そもそも戀はこの試合に勝とうとはしていない。伝令では勝利はするな、つまり負けろと言われていたのである。
しかし、イルディーナの試合では実力差がかなりあり、伝令の通りにできないとかなり戀は焦っていた。だからイルディーナの放った魔法『グラッジ・エンド・アベンジャー』が出たときは感謝したものである。
……………それが自分と因縁のある相手の最上級魔法で会ったことに関していえば複雑な気分ではあったが。
戀が何も言えずしどろもどろしていると、イルディーナはさらに追い打ちをかけるように畳みかける。
「魔力量も信じられませんが、あなたのその実力です。魔法を使ったとはいえ、私の母上の魔法を魔法相殺したことも気になりますっ!」
そう詰め寄られて、戀は項垂れながら観念したように
「じゃあ、先にティナのところに行くか」
と、がっくりした気持ちで言うのだった。
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