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闇夜の世界と消滅者

三浦涼桜

五話 再確認

 ベルクリオ学園に転入してから真っ先に思ったこと。
 色々な視線が痛い。

 体育館で行われる全校集会で、戀は自己紹介をすることになった。
 普通の自己紹介だったはずだが、周りはまるで親の仇のようにこちらを見やる。
 戀は普通にしているだけかもしれないが、周りから見ればプロの騎士を五人相手にして転入してきた化け物なのだ。

 自己紹介を終えてからはあっという間に全校集会は終了した。
 戀はイルディーナに言われたとおりに校長室に向かう。
 その道中でも、戀は様々な視線に晒された。
 畏怖、恐怖、敬遠、関心等といった様々な視線。

 もともと戀はあまり人前に出るがのが得意ではない。
 こちらから視線を送れば顔をそらす。
 さっきからこの繰り返しだ。

 機嫌を損ねながらも、校長室にたどり着いた。
「失礼します」
 挨拶しながら部屋に入ると、小学校4年生ぐらいの少女がデスクの前に座っていた。
「おお、戀君。久しぶりだね。元気してた?」

 そう聞いてくれる彼女は、この学園の最高責任者にして、学園騎士団長を務める天才騎士、ティナ・フィルファーベル。
 幼少の頃から剣術指導を受けているので、友人と言っていい間柄である。
 どこからどう見ても小学生だし、なにより美少女なのだからみんなが惚れるのも無理はないだろう。
 …………実年齢を知らなければ。

「本当に久しぶりだな。前にあったのは4年前か?」
「もうそんなになるんだね。早いなぁー」
「もう48歳なんだから4年前なんてあっというm………」
 ヒュゴッッッッ!!という音が顔のすぐそばで聞こえた。
 ティナの得物『ディアブルグ』を投げてきたのだ。

「歳の話はしないって約束だよね………?」
 ティナに対して歳の話をすると命がいくつあっても足りないのでここで止めておく。
「そういやさティナ。剣技決闘デュエルするのって聞いている?」
「ああ、うん。聞いてるよ。随分と思い切った行動するよねー」
「本当だよ。自分でもびっくりだ」

「得物はどうするの?」
「いつもと同じだ」
 そう答えると、ティナが訝しげな眼を向けてくる。
「ホントに~? 『アレ』って使用禁止になってたんじゃなかったけ?」
「除隊されたのと同時に使用許可書が発行されてたんだよ。だから別に使ってもとがめられることはないはずだ。たぶん」
「ふ~ん、まあ別にイイケド。君の戦いぶりも久しぶりに見たいし」
 そう俺たちが談笑していると、扉がノックされた。タイミング的に見てイルディーナだろう。
「失礼します。生徒会長のイルディーナ・ベルファです」

「イルディーナ君いらっしゃい。もう戀君とは話がついてるから、あとは場所決めと報酬の提示だけだよ」
「あら、もう話は終わってたんですね。では場所は……」
「第二闘技場でいいんじゃないかな? みんな君たちの勝負に興味があるようだからね」
 考え込むイルディーナにティナがそう口を挟む。第二闘技場…………?
「そうですか。ならそこで。報酬については、私から半年間の生活費の免除を約束しましょう」
 第二闘技場ってどんな施設だよ……って、え?

「半年間生活費免除って、え? おまえって実はすごいとこのお嬢様だったりするわけ?」
「あれ、知らないのかい? 彼女はこの国でも五本の指に入るといわれるほどの大貴族、ベルファ家のご令嬢だよ」
「なっ……………」

 ベルファ家といえば、この国どころかこの世界で五本の指に入るほどの大貴族である。
 ベルファ家当主であるミルティーナ・ベルファは、このベルファ家初の女性当主であり、当時弱小だった家系をたった一人で覆し、大貴族にまで成り上がったといわれるほど有名だ。

 政治や経済にとどまらす、党首自らが戦場に出向くことから、勝利をもたらす女帝ジークエンペラーと呼ばれるようになった。
 イルディーナはそのミルティーナベルファの娘だという。
 ならば女子でも生徒会長をやっていることも頷ける。

「なるほど。あの人の実の娘だったわけだ。こりゃあ大変な無礼を働いちまったな」
 そう嘯く戀にイルディーナは、「別に気にしていません」と言った。そんなことよりも
「いまから戦いだというのに、随分と余裕がありますね」
 戀の態度が気に食わなかったようだ。
「別に余裕があるわけじゃないさ。ただやせ我慢をしているだけだから」

 そう言って肩をすくめて見せる。
 だが………
(ミスっちゃったかなぁ………)
 肩をすくめた途端に、イルディーナから常に放たれていたプレッシャーがさらに跳ね上がった。

「まあ、いいです。あなたが噂通りの人なのかどうか、これからわかることですし」
「その通りだな」
 お互いの意思を再確認したところで、イルディーナは部屋から出て行った。

「さて俺も行くとするか。あんまりギャラリーを待たせるのも悪い気がするしな」
「そういえば、もし戀君が負けたらいったい何を彼女に提供するの?」
「そうだな…………」
 戀は少し考えてから、言い放った。

「俺の破滅魔法インペリアルクラスを一つ伝授するか」

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