闇夜の世界と消滅者
三話 野宿
空が青い。
街に入国してから心に浮かんだ言葉がこれだった。
国立魔道騎士ベルクリオ学園がある大都市、アヴァロン。
日本やブラジル、アメリカなど組織が存在する国以外において、ヴァリアントによる侵略によって都市壊滅が起きた国々が、一致団結し新たに作り上げた国家。
世界にはこのような国家が八つ存在し、空に浮かぶ天空都市ハーピッドや地底に軍事国家を築くティグナム、辺り一面が氷と雪で覆われた氷の国ツヴァイ、そして戀が入学するベルクリオ学園が存在する巨木の上の都市、アヴァロンもそのうちの一つである。
このような都市は、太陽が出ないことで一般人が精神に異常をきたすことを防ぐため、八柱聖域という結界が張ってあり、闇に飲まれる前の世界と同じように昼と夜が出現する。
(組織に所属してから活動するのは外ばっかりだったからな……………。空が青いのを見るのなんて本当に久しぶりだ………)
そう感慨深い気持ち空を見上げていると、
「あんちゃん。もしかしなくとも外から来ただろ」
とっさに身構えた。
「なんで分かったんだ?」
「なあに、今時そんなに空をめずらしそうな目で見ている奴なんざぁあんちゃんくらいのもんさ」
そういうこの男は、この国の案内をするという名目で俺に近いづいてきた、名を八九寺宗司。見たところよく鍛えられており、この街の衛士長を務めているそうだ。
真偽のほうは別として。
「今のご時世、空を気に留める奴なんざぁどこにもいねぇ。なにせ十年間この八柱聖域を破られたことがねぇんだ。この世界が危機だなんて誰も思っちゃいねぇよ」
「そいつは………みんながあの時のことを忘れたってことか?」
「そういうわけじゃねぇよ。ただ、みんなあの時のことを必死に忘れようとしてるんだ。あの時に受けた傷はあまりにもでかい」
「だからこその八柱聖域、そして魔道騎士学園か………」
正直な話、みんなの為に、などという理由で仕事をしたことなどほとんど皆無といっていい。
あるのはただ生き残るために、という信念だけだ。
学園の生徒が全員が全員そのような意識を高く持って過ごしているわけではないとは思うが、多少は存在するのだろう。
…………自分は果たしてここでうまくやっていけるのだろうか。
「はは。そんなに辛気臭ぇ顔をせんでも、あんちゃんならやっていけるさ」
正直何の気休めにもなってないが、まあ気難しく考えることはやめにする。
「それで、学園はいつから始まるんだ?」
「確か二日後だったはずだ」
「休める宿はあるか?」
「残念だが、今は祭り前ってことで、どこの宿も予約がいっぱいでね。もう少し早く来てくれれば取れたかもしれねぇが、こんな騒ぎの最中に学園長はいまは留守でよ。取りようがないんだ」
「ってことは野宿になるのか…………」
入学式二日前の寝床がまさかの野宿なのは驚きだが、まあ慣れているから別に何の苦にもならないが。
「なんならあっしが衛士寮に連絡して………」
「いや、ありがたい申し出だが、遠慮しとくよ」
「本当にいいのかい?」
「構わないさ」
そう言って、宗司に学校に近い場所を紹介してもらい、そこで野宿することとなった。
街に入国してから心に浮かんだ言葉がこれだった。
国立魔道騎士ベルクリオ学園がある大都市、アヴァロン。
日本やブラジル、アメリカなど組織が存在する国以外において、ヴァリアントによる侵略によって都市壊滅が起きた国々が、一致団結し新たに作り上げた国家。
世界にはこのような国家が八つ存在し、空に浮かぶ天空都市ハーピッドや地底に軍事国家を築くティグナム、辺り一面が氷と雪で覆われた氷の国ツヴァイ、そして戀が入学するベルクリオ学園が存在する巨木の上の都市、アヴァロンもそのうちの一つである。
このような都市は、太陽が出ないことで一般人が精神に異常をきたすことを防ぐため、八柱聖域という結界が張ってあり、闇に飲まれる前の世界と同じように昼と夜が出現する。
(組織に所属してから活動するのは外ばっかりだったからな……………。空が青いのを見るのなんて本当に久しぶりだ………)
そう感慨深い気持ち空を見上げていると、
「あんちゃん。もしかしなくとも外から来ただろ」
とっさに身構えた。
「なんで分かったんだ?」
「なあに、今時そんなに空をめずらしそうな目で見ている奴なんざぁあんちゃんくらいのもんさ」
そういうこの男は、この国の案内をするという名目で俺に近いづいてきた、名を八九寺宗司。見たところよく鍛えられており、この街の衛士長を務めているそうだ。
真偽のほうは別として。
「今のご時世、空を気に留める奴なんざぁどこにもいねぇ。なにせ十年間この八柱聖域を破られたことがねぇんだ。この世界が危機だなんて誰も思っちゃいねぇよ」
「そいつは………みんながあの時のことを忘れたってことか?」
「そういうわけじゃねぇよ。ただ、みんなあの時のことを必死に忘れようとしてるんだ。あの時に受けた傷はあまりにもでかい」
「だからこその八柱聖域、そして魔道騎士学園か………」
正直な話、みんなの為に、などという理由で仕事をしたことなどほとんど皆無といっていい。
あるのはただ生き残るために、という信念だけだ。
学園の生徒が全員が全員そのような意識を高く持って過ごしているわけではないとは思うが、多少は存在するのだろう。
…………自分は果たしてここでうまくやっていけるのだろうか。
「はは。そんなに辛気臭ぇ顔をせんでも、あんちゃんならやっていけるさ」
正直何の気休めにもなってないが、まあ気難しく考えることはやめにする。
「それで、学園はいつから始まるんだ?」
「確か二日後だったはずだ」
「休める宿はあるか?」
「残念だが、今は祭り前ってことで、どこの宿も予約がいっぱいでね。もう少し早く来てくれれば取れたかもしれねぇが、こんな騒ぎの最中に学園長はいまは留守でよ。取りようがないんだ」
「ってことは野宿になるのか…………」
入学式二日前の寝床がまさかの野宿なのは驚きだが、まあ慣れているから別に何の苦にもならないが。
「なんならあっしが衛士寮に連絡して………」
「いや、ありがたい申し出だが、遠慮しとくよ」
「本当にいいのかい?」
「構わないさ」
そう言って、宗司に学校に近い場所を紹介してもらい、そこで野宿することとなった。
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