のらりくらりと異世界遊覧
第22話:驚きの事実?
夜の闇に紛れるように浮かんでいる【飛竜】は、クロウが自分に気づいたことを驚いたようだが、口角を少し上げると、1つ頷きその場を飛び去った。
『………ご、ご、ご主人………。今のってひ、【飛竜】ですか?』
【飛竜】が飛び去った後、召喚獣たちの中では1番早く立ち直ったジンが、未だに青い顔をしながらクロウへ質問する。
「ん?そうだろうな。………いゃ〜それにしてもカッコイイな。やっぱりファンタジーって言ったら【ドラゴン】だよな。俺も欲しいな」
『そうですね、カッコイイですよね。………って違います!!何でこんなところに【飛竜】なんて言う超生物がいるんですか!あんなプレッシャー、蟷螂以来でしたよ、ボク』
「あー、そりゃ赤熊は別としてお前らは知らんわな」
そっかぁ、と言って手を叩くクロウ。
「俺…ごほん。僕のお父様はこの国の騎士をしているんだけど、ちょっと特殊な位置付けでね………他の人からは[漆黒の竜騎士]って呼ばれてるんだ」
『ほう、[竜騎士]とな?』
クロウの[竜騎士]と言う言葉に反応して、今まで空気だっt…ゲフンゲフン。ジンたち召喚獣を暖かい目で眺めていた赤熊が、急に眼の色を変える。それと同時に赤熊から僅かに殺気がもれ、辺りの気温が下がったように感じる。
「へぇ、知ってるんだ。………つかその殺気を引っこめろ。うちの子達がビビってるだろ」
赤熊の殺気に当てられたのか息苦しそうな様子を見せるジン以外の召喚獣たち。それを見て不機嫌そうな顔になってクロウは赤熊に文句を言った。
『む?すまない。いや、数年前までこの森に居た魔王種が『人を乗せた黒い飛竜と対峙したが、なかなか強敵だったぞ』と言っていたのでな。少し血が騒いだのだ』
赤熊が殺気を引っこめると辺りの空気が戻り、召喚獣たちの息苦しそうな感じが消えた。それを見てクロウも不機嫌そうな顔をやめる。
「んじゃ、僕の用事は済んだからこれで帰るね」
『了解です、ご主人。今度はいつぐらいに会える?』
『えっ!もう帰っちゃうニャ?』
『畏まりました。主人殿』
『バイバイッ!』
『………バイバイなの』
「いつだろうね。まぁ、この森にはよく来るから、みんなで探してね〜」
『『『『『はーい』』』』』
「さて、帰りますか………」
静まり返った森の中を家の方向へ向かって歩きながら、クロウは呟く。
「これから、楽しそうだな」
月の光を受けて赤く光る真紅の目が、スッと薄すく細められた。
その瞬間、クロウの周囲が、いや森全体がザワリ揺れた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
漆黒の鱗を持つ【飛竜】は、自らの契約者の元へと飛ぶ。
『ふむ、アイザックの息子の、なんと言ったか…。そうだクロウだったか、彼奴はなかり面白いモノを持っているな………。おっと、そろそろ着くか』
少しばかり飛ぶと、森から徒歩20分ほどのところに建っている屋敷が見えてきた。いや、それだけではなく、屋敷の門の前で自分の番とその付き人に詰め寄られているアイザックまで見えた。
アイザックもこちらに気付いたのか、顔だけこちらに向けている。
【飛竜】は一瞬だが、ここでしばらくの間、珍しくアイザックが詰め寄られているのを眺めて居ようかと思ったが、アイザックが首元に手を持って行くのを見て『つまらん』と思いながら渋々とアイザックの元へ飛ぶ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アイザックは今現在、盛大に顔を顰めていた。なぜなら、只今、自らの妻と従者たちに詰め寄られているからだ。
「ええい!離せ!クロウなら無事だと言っているだろうが………はぁ…」
クロウが森へ飛ばされてからずっとシャーロットたちに詰め寄られ、疲れを見せるアイザック。
「そんなこと言ったって!心配なものは心配なもの、しょうがないじゃない………」
「はぁ……。お前は知らないと思うが、クロウはもうすでにあの森に慣れきっているぞ………。しかも、俺たちとの訓練では見せない技や術もあるみたいだ。まったく、何処からそんな知識を持って来るのか………我が子ながら驚かされてばかりだぞ、俺は」
サラッと今までクロウが隠してきたことを暴露するが、シャーロットは
「そんな事は知ってるわよ。あの子、たま〜にメリーやヴァンのところに行って何かしていし、たまに貴方の書斎にある魔術本読んでたりするわよ。どうせ貴方の知らないその術式も教えてもらったか本から知ったのでしょ………」
さも当然のように返す。その言葉にアイザックは驚きを見せるが、メイド群から追撃のように驚きの事実を聞かされて、呆れたように溜息をつく。
「はぁ…あいつ、クロウは何者なんだろうな………いや、そんなものは関係ないか…あいつは俺たちの息子だ」
うむ、と頷いて1人納得しているアイザックに、空から急に降りてきた者が語りかけた。
「アイザックよ、彼奴は面白いな。お主の息子のクロウとやらだったか………。火熊の、クリムソンベアの魔王種をいとも容易く遇らっていたぞ」
クハハハと笑いながら、【飛竜】はとても面白そうに言う。そして、驚きの言葉を続けた。
「クロウ、彼奴は多分、いや、明らかに転生者と言われるものだろう。しかも、あの六勇者(異能力者達)と同じ世界………確か、【チキュー】だったか?」
==========================
【六勇者】
その者達は、遠い昔に現れ、世界を恐怖の混沌へと陥れた1体の魔王種を討伐し、世界を救うために異世界より召喚されし者達。
その者達は、それぞれ特殊な能力を有していた。
1人は、全てに勝る[勝利]の力を
1人は、全てを守る鉄壁の[防御]を
1人は、全ての傷を治す[癒し]を
1人は、全てを見通す[瞳]を
1人は、全てを読み解く[知識]を
1人は、全てを創り出す[鍛冶]の力を
人々は、自らの知識を、世界の理を超えるその力を、畏怖と敬意の念を込めてこう呼んだ。
【異能力】
と。
==========================
「………な、なんで知ってるの?」
アイザック、シャーロット、メリー達が再び固まっていると、突然森の方からクロウの戸惑いと驚きの混じり合い、何故か哀しみまで含んだ声が聞こえた。
『………ご、ご、ご主人………。今のってひ、【飛竜】ですか?』
【飛竜】が飛び去った後、召喚獣たちの中では1番早く立ち直ったジンが、未だに青い顔をしながらクロウへ質問する。
「ん?そうだろうな。………いゃ〜それにしてもカッコイイな。やっぱりファンタジーって言ったら【ドラゴン】だよな。俺も欲しいな」
『そうですね、カッコイイですよね。………って違います!!何でこんなところに【飛竜】なんて言う超生物がいるんですか!あんなプレッシャー、蟷螂以来でしたよ、ボク』
「あー、そりゃ赤熊は別としてお前らは知らんわな」
そっかぁ、と言って手を叩くクロウ。
「俺…ごほん。僕のお父様はこの国の騎士をしているんだけど、ちょっと特殊な位置付けでね………他の人からは[漆黒の竜騎士]って呼ばれてるんだ」
『ほう、[竜騎士]とな?』
クロウの[竜騎士]と言う言葉に反応して、今まで空気だっt…ゲフンゲフン。ジンたち召喚獣を暖かい目で眺めていた赤熊が、急に眼の色を変える。それと同時に赤熊から僅かに殺気がもれ、辺りの気温が下がったように感じる。
「へぇ、知ってるんだ。………つかその殺気を引っこめろ。うちの子達がビビってるだろ」
赤熊の殺気に当てられたのか息苦しそうな様子を見せるジン以外の召喚獣たち。それを見て不機嫌そうな顔になってクロウは赤熊に文句を言った。
『む?すまない。いや、数年前までこの森に居た魔王種が『人を乗せた黒い飛竜と対峙したが、なかなか強敵だったぞ』と言っていたのでな。少し血が騒いだのだ』
赤熊が殺気を引っこめると辺りの空気が戻り、召喚獣たちの息苦しそうな感じが消えた。それを見てクロウも不機嫌そうな顔をやめる。
「んじゃ、僕の用事は済んだからこれで帰るね」
『了解です、ご主人。今度はいつぐらいに会える?』
『えっ!もう帰っちゃうニャ?』
『畏まりました。主人殿』
『バイバイッ!』
『………バイバイなの』
「いつだろうね。まぁ、この森にはよく来るから、みんなで探してね〜」
『『『『『はーい』』』』』
「さて、帰りますか………」
静まり返った森の中を家の方向へ向かって歩きながら、クロウは呟く。
「これから、楽しそうだな」
月の光を受けて赤く光る真紅の目が、スッと薄すく細められた。
その瞬間、クロウの周囲が、いや森全体がザワリ揺れた。
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漆黒の鱗を持つ【飛竜】は、自らの契約者の元へと飛ぶ。
『ふむ、アイザックの息子の、なんと言ったか…。そうだクロウだったか、彼奴はなかり面白いモノを持っているな………。おっと、そろそろ着くか』
少しばかり飛ぶと、森から徒歩20分ほどのところに建っている屋敷が見えてきた。いや、それだけではなく、屋敷の門の前で自分の番とその付き人に詰め寄られているアイザックまで見えた。
アイザックもこちらに気付いたのか、顔だけこちらに向けている。
【飛竜】は一瞬だが、ここでしばらくの間、珍しくアイザックが詰め寄られているのを眺めて居ようかと思ったが、アイザックが首元に手を持って行くのを見て『つまらん』と思いながら渋々とアイザックの元へ飛ぶ。
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アイザックは今現在、盛大に顔を顰めていた。なぜなら、只今、自らの妻と従者たちに詰め寄られているからだ。
「ええい!離せ!クロウなら無事だと言っているだろうが………はぁ…」
クロウが森へ飛ばされてからずっとシャーロットたちに詰め寄られ、疲れを見せるアイザック。
「そんなこと言ったって!心配なものは心配なもの、しょうがないじゃない………」
「はぁ……。お前は知らないと思うが、クロウはもうすでにあの森に慣れきっているぞ………。しかも、俺たちとの訓練では見せない技や術もあるみたいだ。まったく、何処からそんな知識を持って来るのか………我が子ながら驚かされてばかりだぞ、俺は」
サラッと今までクロウが隠してきたことを暴露するが、シャーロットは
「そんな事は知ってるわよ。あの子、たま〜にメリーやヴァンのところに行って何かしていし、たまに貴方の書斎にある魔術本読んでたりするわよ。どうせ貴方の知らないその術式も教えてもらったか本から知ったのでしょ………」
さも当然のように返す。その言葉にアイザックは驚きを見せるが、メイド群から追撃のように驚きの事実を聞かされて、呆れたように溜息をつく。
「はぁ…あいつ、クロウは何者なんだろうな………いや、そんなものは関係ないか…あいつは俺たちの息子だ」
うむ、と頷いて1人納得しているアイザックに、空から急に降りてきた者が語りかけた。
「アイザックよ、彼奴は面白いな。お主の息子のクロウとやらだったか………。火熊の、クリムソンベアの魔王種をいとも容易く遇らっていたぞ」
クハハハと笑いながら、【飛竜】はとても面白そうに言う。そして、驚きの言葉を続けた。
「クロウ、彼奴は多分、いや、明らかに転生者と言われるものだろう。しかも、あの六勇者(異能力者達)と同じ世界………確か、【チキュー】だったか?」
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【六勇者】
その者達は、遠い昔に現れ、世界を恐怖の混沌へと陥れた1体の魔王種を討伐し、世界を救うために異世界より召喚されし者達。
その者達は、それぞれ特殊な能力を有していた。
1人は、全てに勝る[勝利]の力を
1人は、全てを守る鉄壁の[防御]を
1人は、全ての傷を治す[癒し]を
1人は、全てを見通す[瞳]を
1人は、全てを読み解く[知識]を
1人は、全てを創り出す[鍛冶]の力を
人々は、自らの知識を、世界の理を超えるその力を、畏怖と敬意の念を込めてこう呼んだ。
【異能力】
と。
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アイザック、シャーロット、メリー達が再び固まっていると、突然森の方からクロウの戸惑いと驚きの混じり合い、何故か哀しみまで含んだ声が聞こえた。
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