のらりくらりと異世界遊覧

霧ヶ峰

第6話:体力テスト

俺が、水車に到着してから約6分後にカルが到着した。息はだいぶ切れていたが、すぐに整った、5歳にしては良い方だろう。


ククルの方は、カルが到着してから約2分後に到着した。顔は真っ赤になり、息は切れ切れ、服も所々みだれてしまっている。
ククル「クロちゃん!バカのカルが走るのは分かるけど、魔法の勉強がしたい私まで全力疾走しないとダメだったの!?」
そう言って、頬を膨らましながらポカポカ叩いてきた

クロウ「ちょっと、危ない危ない。わかったから、説明するから叩かないで」

ククル「むぅ〜………」
まーだ膨らませてる………まぁ、可愛いからいいけどね

クロウ「気を取り直して…ごほん、2人にここまで全力疾走してもらった理由だけど、3つあるんだ。1つ目、2人の体力と瞬発力を知りたかったから。2つ目、俺が1番最初に教えようと思っているのが[身体強化魔法]だから。3つ目、どれだけ根性があるか試したかったから………だね。………ん?何か不満があるのかい?」

カル「いや…不満ないけど[身体強化魔法フィジカルブースト]ってそんなに簡単に覚えられんの?使ってる人見たことないんだけど…」

ククル「ううん、そんなに簡単には覚えられないよ。[身体強化魔法フィジカルブースト]は、取得難易度Aランクの魔法で、学校の先生でも覚えている人は少ないはずだけど…」

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ククルの言うように、魔法にはそれぞれ【取得難易度】というものがあるのだ。【取得難易度】はD・C・B・A・Sの5段階、魔法の用途や発動内容、術式の大きさ(複雑さ)によって決められる。

では、例として[身体強化魔法フィジカルブースト]を説明しよう。
[身体強化魔法フィジカルブースト]は、その名のとうりに体の構造自体に強化する。つまり、筋肉や骨の1つ1つに魔法が作用して、さらにそれを制御しないといけないのだ。

だが、筋肉・骨に作用し強化するところまでは、術式が行ってくれる。難しいのは、その出力の制御なのだ。
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クロウ「いいや、魔法の術式自体はけっこう簡単なんだ。でも、その術式は制御するのが難しくてね。失敗したら死んじゃうかもしれないんだ。だから、取得難易度がAなんだよ」

カル「え…失敗したら死ぬ!?ちょっ、まって。じゃあ、クロはそんなとんでも危険な魔法使いまくってるの?!」

クロウ「うーん、そうとも言えるし、違うとも言えるんだ」
説明しにくい事のため、頭をぽりぽりと掻きながらクロウは唸る。

ククル「どういうこと?クロちゃんの使ってるの[身体強化魔法フィジカルブースト]なんでしょう?」

クロウ「えーっとね、ちゃんと言うと、ちょっと違うかな。あれはね、僕なりにアレンジした[身体強化魔法]………[ブースト]なんだ」

ククル「アレンジって………魔法の術式自体を改造してるってこと!?」
カル「クロ…それって…下手したら表彰もんだぞ………それを…なにさらっとやってんの?!」

クロウ「いや〜、展開した術式見てたら、なんか汚ないなぁって思ってさ、ちょっといじったら術式自体に制御させれるようになっちゃって………あっ、これ秘密ですよ。絶対にバラさないでくださいね、じゃないと厄介なことになるんで」

ククル「術式自体に術式の制御をさせる………よくわかんないけど、たぶんとんでもなく凄いことなんだよね!」

クロウ「そうなんでしょうか?まあ、そんな事はどうでもいいです、重要なことじゃない。
さて、2人の体力テストの結果だけど、カルは100点中80点だ。筋肉の量と密度は今の段階では言う事はないが、走るときの動きがあまり良くなかったね、体の重心がブレブレだった、それを直したらもっと速くなるはずだよ。
ククルだけど…100点中……50点………くらい…なんだよね、やっぱり…筋肉…全然無いね。女の子としたら当然なんだけど、[身体強化魔フィジカルブースト法]は強化する前の体が強ければ強いほど、魔法使用後の動きが良くなる。だから、筋肉は多ければ多いほどいいんだ。……….ああっ、そんなに落ち込まないでよ!確かに筋肉はあんまし無いけど、体の動かし方はカルよりも良かったから!」

ククル「そう?本当に?カルよりも上手?」

クロウ『ククル!その言い方は、いけないっ!』

ああっ!そんなうるうるしながら、上目遣いでこっちを見ないでぇぇぇぇ!!!

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