東方魔人黙示録外伝〜東方大罪録〜

怠惰のあるま

別次元の魔王



さぁてと...出会ったからには戦わないといけないよな。ただ...戦いたくねぇ...こんな時にも怠惰欲は湧くもんだなぁ〜

「あるにぃ!戦おうよ!」
「正直めんどくさぃ〜」
「もう!やる気出して!」
「えぇ〜?」

アリュレルトさんや?なんでそんなにやる気満々なんですか?お兄さんはもう家帰って寝たいんですが?

「同じ怠惰を背負う者として、その気持ちは分かるでぇ〜?」
「お〜訛じゃぁん.....なんでてめぇがここにいんだよ?」
「パルスィがいないと情緒不安定やなぁ...わいは終作に加担する気はないで。流石にあれはやり過ぎやし」

ならいいや。訛はいい奴だし、信じようか。え?終作?この世界が生まれ変わるか、あいつが生まれ変わらない限りはあいつを信用するなんて一生無理だね!!

「それじゃあ、終作のところに連れてってくれ...と言いたいがこいつがなぁ...?」
「はい。逃がしませんよ?」
「ドMって...あんさんの家来ってろくなのいいひんなぁ」
「うん知ってる」

さて...どうしたものか。





△▼△





アルマ達がリリスと対峙している頃、磔と魔晴、そしてレフィーは城の中を走り回っていた。

「あるにぃさん達...大丈夫かな...」
「アルマがいるから大丈夫....と言いたいところだけど、あのリリスって淫魔は君らの龍神力でない限りは倒せないね」
「でも、アリュレルトがいるよ?」
「アルマは...戦わせないな....」

息も絶え絶えな磔の言葉にレフィーは首を傾げる。

「どうゆう意味...?」
「子供に優しいからな......何があろうと...戦わせないな...」
「じゃあ...勝てないってこと?」
「それはないと思うよ。ああ見えて魔王なんだ。きっと何とかしてくれるよ」
「そうそう!アルマ君はきっと何とかするよね〜!」

三人の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。逆なでするようなお調子者のような口調で喋る男は彼らの知っている中でもたった一人しかいない。
魔晴とレフィーは後ろを振り返り、それぞれが戦闘態勢に入る。その行動に声の主ーーー終始終作は焦るふりをする。

「おおっと怖い怖い!」
「なぜ君がここにいるんだ?」
「いやぁ〜!なかなか頑張ってるじゃない?たぁだ......見てるだけってつまらないじゃん?邪魔しようかと思って...ね?」

ゾゾッ!とその場にいた三人に悪寒が走った。彼らの見つめる先は終作。ではなく、その後ろに立っている金髪の少女だった。終作自身にも寒気が起こっていたらしく、後ろを恐る恐る振り向いた。

「あ、あれれぇ?パ、パルスィちゃん?」
「気安く呼ぶな....消すわよ...?」
「な、なぁんでここにいるんだい?」
「別に?次元に穴を開けるぐらい容易にできるわよ」
「こ、この子コワァイ......!」

想定外の展開に計画を狂わされた上に無理矢理次元から出てきたパルスィの予想以上の強さを見せられて終作は驚いていた。
嫉妬の炎に包まれている彼女に魔晴は恐る恐るという風に声を掛ける。

「この世界の...パルスィでいいよね?」
「ええそうよ。何か悪い?」
「い、いえ!悪くないです!」
「なら邪魔しないで...こいつぶっ飛ばすんだから...」

この世界のパルスィは絶対に怒らせてはいけないと心の内に記した魔晴であった。

「あ〜....計画がかなり飛ぶが仕方ない....やるか」
「何する気か分からないけど、今ここで終わらせてやるわ」
「パルスィちゃぁん?そういうのってフラグっていうんだよ〜?」
「気安く呼ぶなって言ったわよね?嫉妬 緑色の目をした見えない怪物」

パルスィの背後に大きな存在が現れた。姿は見えないが確かにそこに立っている。彼女の嫉妬の根源であり、アルマの中で潜んでいた七つの大罪の化身。
緑眼の怪物グリーン・アイド・モンスターが緑色の目を爛々と光らせていた。

「死ね!」
「ふヒ...!フヒヒヒ!!魔怪負傀マケマケ!!!」

その場にいたレフィー以外の全員の中から何かが抜き取られた。

「な、何だったんだ今の?」
「だ、大丈夫!?」
「ああ...たぶん...」
「自分の心配よりも相手の心配をしたら...?」
「え?」

全員が終作がいるはずの場所に視線が集まった。そこには何か黒い繭のようなものがあり、ドクンドクンと脈動していた。それが何なのか、全員が察する。
嫌な悪寒を感じた魔晴とパルスィは自分が出せる全力の技を黒い繭に向けて叩き込んだ。

「緑眼の怪物!!」
「はぁい!」
「マスタースパーク・α!!」
『ジェラシーボンバー!!』

緑眼の怪物とパルスィのジェラシーボンバーと魔晴の本気のマスタースパークが黒い繭に直撃した。だが、黒き繭...傷付かず。無傷の繭に向けてなおも攻撃を叩き込もうとする二人だが、繭にヒビが入る。
そこから出てきたのは赤に黒い血飛沫がペイントされた半袖の服と服の色が反転したデザインのジーパンという服装が変わった終作だった。服装以外変わったところは見当たらないがこの男に油断というものを見せてはいけない。

「悪いけど力貸しなさい...」
「願ってもないよ...」
「フヒヒヒ!!楽しいショーの始まりだぁ!!」






△▼△






「なぁ...」
「あん?」
「呆気ないと思わんか?」
「勝てばいいんだよ」
「そうやけど...感情消せるなら最初っからやりぃな」

二人の目の前では幸せそうに眠っているリリスが床に倒れていた。

「あのな?俺だっていつでもホイホイ感情は消せないんだよ」
「それは初耳やな。てっきり指を鳴らせば誰でも消せるんかと」
「あれは指で特殊な衝撃波みたいなの出して感情を揺らしてるだけ。リリスはそれを知ってるから対策方法も知ってる」

難儀やなぁ...と呟いた。
アルマは床で眠っているリリスを弄るアリュレルトを止め、先に進む。もちろんリリスは放置プレイのようだ。
少し先を進むと見慣れた部屋に辿り着いた。

「ここにこの城を作り変えた本人がおる」
「玉座の間か。俺の城を魔改造しやがって...全くどこの誰だよ!」
「ね〜早く入ろ〜?」
「はいはい...」

玉座の間の扉を開くと魔王の玉座にふんぞり返っている男がいた。頭頂部は赤く髪先に近付くほど銀色に染まっている綺麗な髪。魔王が着そうな黒いローブ。
まるで本当に魔王のような見た目だった。

「やっと来たか。暇だった」
「お前か!俺の城を魔改造したのは!」
「魔改造って...ちょっと大きくしただけだろ」
「勝手に大きくしてんじゃねえよ!!てか、誰だお前は!」
「俺はブラウ・ダーマ。こことは違う次元からきた魔王だ」

別次元の魔王だぁ?いったい何を考えてんだ終作の野郎は...まあいい。その真意は後で聞くとしよう。とにかく今はこの魔王をどうにかするか。

「なあ?俺さぁ平和的解決を望むんだが...どう?」
「ん?いいぞ」
「だよね〜...だめだーーーいいの!?」
「俺に害があるわけじゃないなら戦う意味ないし」

なんだこいつは...いい奴すぎるだろ!初めて会ったよ...平和的解決が通用する相手......さて、こうなると終作を廃人にするだけか。
......訛がなんか言いたそうな顔をしているが気のせいかしら?

「呆気ない...呆気なさすぎるやろ!」
「ど、どったの訛さん?」
「さっきから戦闘が少なすぎるんや!!戦いたくないのは分かるで?だからって戦わないというのもあかんやろ!?」
「じゃあ......そう言うなら訛さんよぉ?殺ろうじゃないか」

その言葉を待っていたかのように訛はニヤリと笑う。

「あんさんとマジでやるのは初めてやな。楽しみや」
「俺もだ...本気でいいんだよな?」
「でないとおもろくないやろ?」
「ぎひひ...だな!!感情解放・怠惰!!」
「さぁ!やろうやないか!怠嫉開放!」

全身から黒い炎を噴き出し、背中から大きな黒炎の翼が生えていた。右手には黒炎を纏わせた大剣、左手には黒炎を弾がわりに詰めた散弾銃。まさに完全武装。
対する訛は何処からか出現した椅子に座りふんぞり返っていた。被っていたフードは脱げ、素顔が明らかとなった。左の口の端が頬骨辺りまで開き、左目が白目と黒目が反転している状態。髪は右半分が黒、左半分が白。少し不気味な顔であった。

「お〜どっちも強そうだな。お嬢ちゃんはどっちが強いと思う?」
「う〜ん...あるにぃが勝ってほしい!」
「そうか〜でも相手の方も強いと思うよ?」
「あるにぃも強いもん!」
「この世界の魔王ね......実力を見させてもらうぞ」

ダーマがそう呟くと両者が視線を合わせ、ぶつかり合うと思ったがそんなことはなかった。

『あ〜...怠い...』
「は?」
『戦うの怠い...動きたくねぇ...』
「あ、あるにぃ?」

怠惰を解放したアルマは床にダランと座り込み、怠嫉を開放した訛は椅子にもたれかかり、両者ダラケきった表情を見せて戦う様子を見せなかった。

『やっぱ戦うのなしで....』
「もう!!ちゃんとやりなよ!!」

怒るアリュレルトの声はだらけた二人に届くことはないのだった。

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