東方魔人黙示録外伝〜東方大罪録〜

怠惰のあるま

魔の者が集う


地上に久々に出たアルマは満喫する様子もなく、パルスィがどこにいるか能力を全開にして探している。
だが、一切感情が感じられず焦りと怒りが募るばかりだ。そんな彼の後ろに覚えのある感情の気配が近づいていた。

「ようアルマ!」
「あぁ?なんだ磔か...」

白谷磔。
前回、金という少女の遊びで集められた時に呼ばれた一人。
かなりの強者だが割と常識人。

「お前も終作に呼ばれた口か...?」
「え?いや、俺はたまたま世界渡航していたらお前の世界に来ただけだ」
「本当だな...?嘘だったら俺の憤怒の炎で燃やす...」
「なんで疑うの!?しかも物騒だな!おい!何があったんだよ!」

ことの顛末を一部始終説明すると磔は同情するように頷いて話を聞いていた。

「お前達ってなぜそんな邪魔されるんだ?」
「俺が聞きてえよ!!終作がきた理由も皆無だしよ!!」
「あいつの場合暇潰しじゃね?」
「...納得」
「仕方ない...俺も手伝うよ。この前ご馳走になったお礼だ」
「悪いな」
「それで終作がいそうな場所は把握してるのか?」

両手を上げて首を振った。どうやらお手上げの様子だ。
それを予想していたのか。磔は博麗神社の方に指をさした。

「実はチラッと博麗神社に寄った時に終作らしき人物を見た。たぶんだが...」
「幻想郷をしらみ潰しに散策するよりだったら少しの可能性に賭ける...」
「了解〜。んじゃあ....行くか」

二人は博麗神社へと進路を定めた。
だが、その後ろをニヤついた笑顔でつける存在に二人は気付いていなかった......




△▼△





博麗神社の鳥居の下をくぐるといつも以上に静けさを感じさせる境内にアルマは違和感を覚えた。
境内を散策しようとするアルマに磔はある事を聞いた。

「お前のツノの炎って消えないのか?」
「これは感情の炎だ。今は憤怒の炎。炎の色に属する感情が昂ぶれば昂ぶるほどに火力を増すんだ」
「へぇ〜......」

ツノから溢れ出す憤怒の炎は尽きる気配はない。それほどにアルマは怒っていた。

「熱いのか?」
「今触るとマグマ並みの熱さ」
「熱すぎだろ!?」

それでも好奇心が湧いたのか指をソーッと近づけた。その時だった。

「恋符 マスタースパーク・α」

スペルカードを唱える声と共に後ろから強大な魔力を帯びたレーザーが放たれた。
気づいた二人はすぐさま空中に飛んで逃げるが後ろに建っていた博麗神社は粉々に吹き飛んでしまった。
レーザーが収まると二人は地面に着地し、攻撃を仕掛けた存在に視線を移した。
黒い緑色のラインが入ったジャージを上下に着ている中性的な顔立ちの少年がそこに立っていた。

「誰だお前は!」
「初めまして僕は霧雨 魔晴まはる。終作という人に呼ばれてこの世界に来ました」
「俺は桐月アルマ。こっちは白谷磔。霧雨ってことは魔理沙の弟か何かか?」
「夫です」
『お、夫〜!?』
「はい。それでアルマさん...でしたっけ?お相手していただきたいのですが」

その言葉にアルマは一瞬で嫌な顔になった。磔は苦笑いで不思議そうにしている魔晴にアルマの性格を説明した。

「なるほど...めんどくさがり屋ですか。でも、彼と戦わないと僕も帰れないんですよ」
「と、いうわけだが...どうするアルマ?」
「......終作が何処にいるかわかるか?」
「はい。僕に勝てたら教えてやれ!って言われたので」
「あの野郎ぉぉぉ....!!!」

憤怒の炎がまだメラメラと燃え上がり口からもバチバチと雷が漏れ出した。
その姿に魔晴は珍しそうに見つめる。

「感情で炎や雷が溢れ出るなんて...凄いですね」
「はぁぁ...おい魔晴だっけ?いいよ。勝負してやる」
「本当ですか!」
「手加減無しで来い。二重人格野郎」

優しそうに笑っていた魔晴の雰囲気が徐々にガラが悪そうな雰囲気に包まれた。
彼の中にある魔力も何十倍にも上昇している。

「よく気づいたなァ?」
「感情が二つ見えたからな」
「ははははは!オレと戦うって事は死ぬってことだぜェ?覚悟はあるかァ!!」
「逆に聞くぜ?廃人になる覚悟はあるか?」

戦闘態勢に入った二人の間に焦ったように割って入る磔。

「お、おいおい!?お前らが本気で戦ったらここら一帯消し飛ぶぞ!?」
「うるせえよ。今はこいつの感情をぶっ壊してパルスィを見つける...!」
「お前がオレに勝てるわけねえだろぉ?」
「やってみないと分からんだろ!!憤怒 アルマーニイレイザー!!」

赤いレーザーが大気を震わせ雷を生じながら魔晴に迫る。

「いい力だなぁ!だが、まだ弱いねぇ!」

手のひらに魔法陣を出現させるとバチバチと青い光が生じた。
アルマのレーザーに魔晴の青い雷が激突した。相殺し境内の石畳を壊していく。

「チッ...無駄に強いな...どっかの化け物を相手にして気分だ」
「まだまだ本気は出てないゼェ!さぁ!燃えちまえ!」
「......お前らぁぁぁ!俺も混ぜろぉぉぉぉ!!想符 アクセルモード!!」

唐突に身体強化をして戦う二人に襲いかかる磔。三つ巴の戦いとなった光景を次元の狭間から覗く男がいた。
厭らしい笑みを浮かべて戦いを楽しく観戦する終作と白いパーカーのフードを深くかぶり顔を見せないようにしている気怠そうな男。名は黑魎 訛。怠惰と嫉妬を背負う半妖半魔だ。
ニヤニヤと笑っている身内を訛は呆れた表情で喋る。

「相変わらずアルマにはえげつないの〜」
「だって面白いじゃん!」
「わしは同じ怠惰仲間として同情するで......」
「なら加勢してくれば?」
「いややめんどい...しかも、今のアルマは憤怒や。関わりと〜ない」

あっそう...と残念そうに俯く終作であった。

「ねぇ...」
「なんだいパルスィちゃーん!」
「名前を気安く呼ぶな。アルマでもないくせに...妬ましい...!」
「なにこの子!?アルマがいないと気持ちに素直すぎるでしょ!?それでなに?」
「アルマをあまり怒らせないで後悔するわよ?」

その言葉に首を傾げる終作だったがパルスィの怯えた表情に冗談ではないと悟った。だが、それでもこの男には後悔という言葉を知らない。

「そう聞いたら怒らせたくなるじゃ〜ん!」
「悪いの〜性格がこじれてんのや」
「うん。知ってる」
「クヒヒ...!楽しませてくれよ〜?」

ニヤニヤと激しさを増す三つ巴の戦いを嬉しそうに見つめた。
三人の戦いは全くもって次元が違った。
霧雨魔晴は能力で空間全てを掌握し、自分の空間のように戦う。正確に相手の急所を狙う魔法の攻撃は一つ一つが即死級の威力だ。それでもアルマと磔を仕留めるほどではない。
磔はアクセルモードを4にまで引き上げたが、まだ二人を倒すほどでは無く出し惜しみをせずソウルドライブモードを開放。互角以上に渡り合うことができていた。
アルマはと言うと感情解放で体内から迸る憤怒の炎がいつも以上の力を引き出していた。

「楽しいなぁ!!こんな戦いは霊斗以来だぁ!!」
「俺もだ!だが、負けないぜ!想符 ファイナルバスター!!」

魔晴の魔法陣から放たれる色取り取りのレーザーと磔のファイナルバスターがぶつかり合いパワー比べが始まった。
互角に競り合う二人のパワー比べに横槍を入れようとアルマはある準備をしていた。

「ギヒヒ!!暴食 パープル・アイド・モンスター!!」

本当に小さな紫色の弾幕を放り投げるようにぶつかり合う二人のレーザーの間に投げる。すると、ギュルギュルと渦を描くようにレーザーを吸い込んでいく。
それに気づいた二人は攻撃をやめた。それでも相当の威力を飲み込んだ紫色の弾幕は何千倍もの大きさに膨れ上がった。

「吐きだせ!」

パァン!
飲み込んだパワーを吐き出す...いや吐き出すどころか破裂し二人の魔力を霧散させ雨のように小さな小さな魔力の槍を降らせた。

「嘘だろ!?」
「避ける隙間もねえなぁ...なら奥義 魔法天滅砲・波動!」

魔晴が手を掲げると空間にバスケットボールほどの穴が開いた。魔力の槍雨は吸い込まれるように空間の穴に全て飲み込まれた。
槍雨は二人に当たることなく全て魔晴が作った穴に飲み込まれ返された。
そして...飲み込まれただけでは終わらない。

「ほら返すぜぇ!!」

槍雨の魔力を使って放たれたレーザーは山一つ消せる威力。二人は避ける時間すらない。

「消してやる!消滅 感情崩壊!」

パチン!
指を鳴らすがレーザーは消えない。

「なに!?」
「オレの能力だ!悪いな!お前は弾幕を消せると聞いていたんでねぇ!」
「終作かぁぁ!!あの野郎.......!!!」

収まりつつあった憤怒の炎が噴出した。怒りがさらにアルマに力を与える。右手に憤怒という名の魔力をため放出した。
その威力は同じく山一つ消し飛ばす!

「憤怒 アルマーニイレイザー・極!」

ぶつかり合う二つの力は競り合うことなく相殺した。
三人は一旦距離を取り、仕切り直した。三人の顔は共通して笑顔が見られた。
だが、三つ巴の戦いに一人横槍を入れる者が現れた。
三人が向かい合う真ん中に大爆発が起こった。完全に油断してた三人は爆発に飲み込まれてしまう.......
爆発を起こした張本人は粉塵が舞う現場に降り立ち、ため息混じりに呟いた。

「はぁ......こんなに荒らしたら霊夢さん起こるだろうに...アルマさんも怒りすぎだよ...」

男は呆れながら粉塵の中で倒れている三人を担ぎどこかへと歩いていった。





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