とある御人の日常譚

唐@皇

11

「それじゃあいこうか」
いこー!  はやくー!
ばいばーい!  またねー!


 掲示板の人たちから快く町の情報を受け取ったクラウドは、秘密の場所の精霊たちと別れその場を後にした。
 《精霊知識》によると、こういった場所はいくつか存在しているが精霊以外は入れない別次元なフィールド扱いらしく、例え精霊と同じ道筋を辿ってもそこは空き地だとか何もない場所に着くだけなのだそうだ。

 この秘密の場所に入る方法はただ一つ。

 精霊に認められ、この場所に案内されること。
 この場所への行き方は精霊しか知らないのだから当然とも言える。

 その彼らしか知らない行き方も本能のようなもので場所を察知し、『なんとなくこう行けば着く』といったものなので、案内抜きで辿り着くなど不可能の極みであろう。

 そこから出る分には支障は無いらしく、この場所を秘密の場所たらしめる指定範囲内から出れば入る直前の場所または道に出るので、帰る時はご自由にという形式になっている。

 ただ、この秘密の場所。
 クラウドのように初見で来た場合は勘違いを起こしそうである。

 普通、特殊なフィールドに移動した際に場所が変わったという違和感は入ってすぐに気づくものなのだが、この秘密の場所に限ってはそうではない。

 知識によると、この場所は地形にある程度左右されるらしく、大きな広葉樹にも似た大樹が中央にありその周辺に草花が生えている以外はその地形のままに反映される。
 荒野なら岩に囲まれた空間、森なら木々に覆われた先の拓けた場所、洞窟なら曲がりくねった先の大きな空間、そして町の中なら入り組んだ道の先の広場や空き地にと、その姿や光景を変える。

 その場所への出入り口が違和感なく繋がっているため境界線がわからず、余りにもその光景が馴染んでいるためフィールドが変わったと気づけないのである。
 その結果、ここに来ればこの場所に着くと勘違いを起こす者が必ず出るだろうとクラウドは思った。

 何も自分だけがこのゲームをプレイしているわけではないのだ。
 多くのプレイヤーの中には必ず精霊に気に入られた者もいるだろうし、偶々そんなプレイヤーが知らぬうちにこの場所に迷い込むことだって不可能であるとは言い切れないのである。

 精霊に気に入られ、認められることは決して難しいことではない。
 認めるか否かの決定権は良くも悪くも精霊にあるからだ。

 それが例え気に入った対象に精霊の姿が見えようが見えなかろうが関係は無く、複数の精霊に一度に気に入られろという無茶を言っているわけでもないのだから、時間をかけて少しずつ気に入られる数を増やしていけばいずれは称号が条件を満たしたとして自動的に手に入る。
 そうなればあとはわけもわからずうっかりこの場所に辿り着き、再度この場所に来ようとしても辿り着けないという結果に終わる。

 そうして悩んで掲示板などに秘密の場所の情報を流されれば、後は尾ひれ背びれと予想だにしない突飛な結論に至る可能性だってあるのである。
 そうなると血眼になって探す者も出てくるだろう。新しいゲームには必ずいるであろう検証班だとか、尾ひれ背びれの情報の内容によってはレアアイテムだとかシークレットクエストだとかの偽情報に踊らされた攻略最前線のプレイヤーまで出てきかねない。

 まだ初日ではあるが、自分のようにいつ成り行き上そうならないとは限らない。

 はっきり言ってクラウドはそういう状況があまり好きではない。
 みんながこのゲームを楽しんでいるのを分かっていて、偽の情報に一喜一憂するのを黙って見ていられるほど冷酷ではないのである。
 むしろ、お人好しの塊だと友人たちから口を揃えて断言されるような性格だ。気にしないわけがない。

 そうなる前に、クラウドは次に時間が空いたらすぐに掲示板に活動情報を纏めて投下しようと決めておく。
 一度決めれば滅多に忘れない自分の記憶力に少しだけほっとしながら、クラウドは改めて周辺の町並みに目を移しながら歩みを進めた。










□□□□□




 細い道を通り、大通りに出る。
 プレイヤーのほとんどは町の外に出ているためか、先程の混雑が嘘のように大通りに面した建物を見渡すことができた。
 その中に、一際目立つ建物が二つ。


「えっと・・・あ、あれが総合生産施設かな?その向かいが冒険者ギルドか、なるほど」


 クラウドはその建物を見つけると、冒険者ギルドの入口付近まで歩き向かいの総合生産施設と見比べてみる。
 どちらも大きく立派な趣きで、だけれども町の景観を壊すほどの悪目立ちはしていない。


「立派だねぇ」
りっぱー  りっぱー?
おっきー!  いっぱーい!
「建物がいっぱい並んでるね」
たてもの!  おっきい!
ずーっとあるー!  んっふー!
「ふふ、あるねぇ」


 興奮している六色の精霊たちの言葉に話を合わせつつも少し考えた後、クラウドは冒険者ギルドに入ることにした。
 身分証明用のギルドカードは持っておいて損はないとも思ったし、この町の施設を利用するのなら身分証明が必ず必要な場所もあると思ったからである。
 ちなみに今回生産に関わることは見送ると決めているため総合生産施設は外から眺めるのみである。

 我が子たちに向けて人差し指を口の前に寄せてしーっと静かにするよう促すジェスチャーを送れば、主従として繋がっているからなのかすぐに意図を汲んで精霊たちはぱっと両手で自分の口を塞いだ。
 それにクラウドはふふ、と笑ってギルドの中に入った。

 中はそれなりに人がおり、わかりやすくざっくり言うなら中央奥にカウンター、入って右側は飲食スペース、左側はクエストボード。

 右側の飲食スペースにはテーブルとイスがいくつも設置され、昼前だからか従業員らしき人間がテーブルを拭いたり床を掃いたりしている。
 今は数える程の人数しかいないが、これが昼時になると大勢の客が昼食を食べにくるのだろう。
 厨房らしき奥の方から慌ただしい音が聞こえてくる。

 反対側のクエストボード。
 壁のちょうど真ん中にドンと大きなコルクボードが取り付けられており、クエストだろう依頼書の何枚かががピンで留められバラバラに張り出してある。
 入口側の壁にはベンチがあり、ちょっとした休憩スペースになっている。
 カウンター側のスペースにも飲食スペースと同じようなテーブルとイスが少ないながらもいくつか設置されていて、ちょっとした作戦会議や休憩に使われるのだろうことは想像に難くない。
 こちらも今はほとんど人がいないがこちらも混むだろうことは考えずともわかるだろう。
 それも今日からは主にプレイヤーがほぼ独占してしまうことは明白である。

 クラウドは中央奥のカウンターに足を進める。
 カウンターはいくつか窓口が存在し、それぞれの窓口の上部には「カード発行窓口」「クエスト受理・完了窓口」「お問い合わせ窓口」など、どういうものを主に管轄しているかが簡潔に書かれている。

 その中の一番右端の二つがカード発行の窓口で、お問い合わせが逆の左端二つ、残り中央三つがクエストの管理窓口となっているようで、クラウドはカード発行の窓口である一番左の窓口に向かい、受付に座る担当の職員に声をかけた。


「こんにちは」
こんちわー!  こんにちは-!
こんにっちぁ!  こんちゃ!


 若干名挨拶の言葉がよくわからないほど崩れているが、全員元気良く一斉に挨拶した後はまた口をぱっと抑えて待機状態になった。
 それにギルド職員の青年は目を丸くして、ふふっと笑って挨拶を返した。


「こんにちは、冒険者様。ふふっ、驚いた。ここまではっきりと精霊の姿が見えるとは・・・」
「おや、やっぱり見えるんだね」
「ええ、一応は。精霊術士や精霊に好かれている方もいらっしゃいますから、万が一間違いが起こらないようギルドの職員は精霊など、通常は不可視な存在が見えるスキルかマジックアイテムを所持することを義務付けられています」


 ああやっぱり、とクラウドは再度納得する。
 そういった職業があるのに、見えないのでは話にならないのだからその義務は当然のものなのだろう。
 そういった部分で対策が取れなければ、いろいろとトラブルが起きるのである。


「本日はどのような用件でいらっしゃいますか?」
「カードの発行?というのがしたくてね。それと、ギルドは初めてだからついでにいろいろと説明をお願いできるかな?」
「かしこまりました。それでは・・・」


 青年の職員は一枚の用紙をカウンターに置き、説明を始める。


「失礼ながら、カードについても理解されていないようですのでカードの説明をさせていただきますが、よろしいでしょうか?」
「うん。頼むよ」
「わかりました。まず、ギルドで発行されるカードはギルドカードのみです。なので、ギルドではギルドカードをカードと簡略化して呼ぶことが通例となっています」
「そうなの?」
「はい。そしてこのカードですが、発行に必要なのはその人自身の情報です。なので、この用紙の項目に従って記入してください。魔力を扱える場合は、」


 そこで青年の職員は言葉を切り、また別のもの・・・今度はカードのようなものをカウンターに置いた。


「こちら、カードの素体となるものです。本来はこれに記入済みの用紙を吸収させることでギルドカードに変わりますが、これ自体に自身の魔力を流すことでもギルドカードに変わります」
「ああ、なるほど。魔力は人それぞれ違うからねぇ」
「よくご存知で」


 青年の職員はにっこりと微笑む。
 精霊を生み出すときに少し説明したが、実は魔力というのはほとんどDNAに近く、詳細に感じ取ることでその違いははっきりとわかる。
 それは人に限らず、生きとし生けるもの全てに当てはまる。
 唯一同じ魔力を持つのは自然物ぐらいだろう。


「魔力の操作は?」
「うーん、多分?ちょっと待ってて。んーと・・・」


 神眼を持つクラウドは当然魔力も見えるので、まず目の前に薄っすらと漂う魔力を動かしてみる。
 すると、思いのほか簡単に動かすことができた。
 《精霊知識》の影響で、精霊の生命線ともいえる魔力についてもばっちり知っていたクラウドには、魔力の操作など造作もないことであった。
 自身の体内魔力も操れることを確認したクラウドは大丈夫だと伝える。


「そうですか。でしたらこちらの方法の方がお勧めですね。この素体に指を押し当てて魔力を少しだけ流してください。水を一滴垂らすくらいでも十分にカード化しますので、多くは流さなくて結構です」
「うん。わかった」


 青年の職員の言う通りに指を素体に押し当てて魔力を少量、水一滴というのはおそらくMPの1ということだろう、なので押し当てた人差し指に気持ち小さく小さく指の魔力を動かしてゆっくり流した。
 どれくらいで反応するのかはやはりわからないので本当にじわじわと動かしていくと、一滴分の半分にも満たない量で素体が淡く光り文字が浮かび上がった。
 本来は一滴分が適量なのだが、一万越えのMPはやはり通常よりも濃度が濃かったのだろう。

 もう指を離してもいいというのでクラウドは指を離した。


「はい、クラウド様ですね。しっかりと情報が記載されています・・・ね。はい。お確かめください」


 青年の職員がカードを確認し、こちらにカードを差し出す。
 クラウドはそれを受け取り目を通した。


クラウド 神人種Lv.35
職業:精霊術士
ギルドランク F
クエスト
受注済:なし 受注可能:3件
指定スキル
〈〉〈〉〈〉〈〉〈〉


 カードの色合いは全体的にくすんだ鉄のような鈍色で、重さはあまり感じない。
 名前をタップすると掲示板で教えてもらった通りHPから運気までのステータスが表示された。

 青年の職員の説明によると、特殊な種族の場合は特別に種族を他の近い姿の一般種族に表示を変えられるそうなのだが、別に不便は感じてないためクラウドはこのままにした。

 彼とて何も考えていないわけではない。
 ただ、そうする必要がないだけである。

 アタッカーとして誘われるのなら称号の不殺を話せばいい。
 クランのようなグループに誘われるのなら目的も正直に話してもらい、自由が縛られ時間をとられるのなら断ればいい。
 別に、嫌なら嫌と言えばいいのである。
 クラウドは言いたいことははっきりと物申すことのできる人間だった。

 それでもクラウド本人の意見が尊重されないのなら、現在進行形で彼の観察をちょこちょこしている友人が黙ってはいないのだが・・・
 圧倒的贔屓だが、過剰な勧誘は運営側も黙って見過ごすわけにはいかないのでむしろ大義名分として振りかざすだろう未来が容易く想像できるというのが恐ろしい。
 (ボソッ)コミュニケーションチートはこれだから・・・

 懇話休題。

 話は戻るが、青年の職員の説明を聞いていくとどうやら職業の枠には一つしか入らず、受けられるクエストも表示された職業に合ったものに厳選されるらしい。

 付け替えはカードの職業名をタップして選べるので、そこまで不便はない。
 指定スキルも同じようで、空き枠をタップして追加、既に埋まった枠をタップして入れ替えが可能となっている。

 あとはクエストの項目。
 これは現在受注中のものがあればその詳細を、受けられるクエストがあればその詳細を、どちらもそれぞれの項目をタップすれば表示することができる。
 クエストがあるかどうかはそれぞれの項目に表示されるのでわかりやすい。


「そして最後にギルドのランクの項目です。ランクについて説明します」
「お願いします」


 要約すると、このギルドランクは一つの強さの基準となっているらしい。
 例外としてカードを持っていない強者もいるだろうが、それはその人の自由でありカードを所持することを義務付けられているわけではない。
 しかし、身分証明にもなるため強かろうが弱かろうが成人になるとカードを発行することが習慣化しているところも多いのだとか。
 なので、そういった無所持者は本当に一握りであるらしい。

 そんな強さの基準のギルドランクは、主にクエストの達成回数をこなすことで上げられる。
 上がればそれだけ待遇は良くなり、おいしいクエストというものも偶に入ってくるため上げる人間も少なくない。
 高ランクという存在は現在はそこまで多くないのでそれだけ優遇されるのである。

 ランクは低い順から以下の通り。


F 初心者。色はくすんだ鈍色。
E こなれてきた初心者。くすんだ鈍色。
D 脱初心者。D以下は一般人レベル。色が銅に変わる。
C 中級者。旅などに手慣れてくる。銅。
B ぎりぎり上級寄りの中級者。熟練者が混じってくる。銅。
A 脱中級。上級者の仲間入り。職業特化が多い。銀に変わる。
S 上級者。人間の限界ともいう。もはや逸般人レベル。金に変わる。
SS 到達できたらある意味奇跡。半分くらい化物に片足突っ込んでる。オレンジがかった金。
SSS 単独で国を落とせる力を持つ。大分化物。白金に変わる。

L 規格外。化物どころか世界の災厄レベル。オリハルコン製で色は玉虫色の光沢。


 ちょっと一部スケールが大きいところもあるが、概ねこのような立ち位置らしい。
 人口率的には基本的に多いのはCで次がEである。

 現在のクラウドのステータスをみてみると、AはおそらくSかSSまでは比較的スムーズに上がるのではなかろうか。
 殺さないという枷を外せば頑張れば国一つは落とせそうである。

 ちなみにこの格付けともいえるランク、敵となるモンスターにも付けられている。
 基準は各ランクの実力者が実際に戦い、その討伐難易度が実力者のランクより上か下か。
 そうやって検証していきランク決めを行っている。
 識別などのスキルを持っていないものにはとても役に立つといわれているようである。

 そしてS以上の人間は片手で数える程だが、これがモンスターになると余裕でLまで存在する。
 S以上の説明がほとんど物騒なのはそのランク内の9割がたがモンスターで占められているのが原因だろう。
 俗に言うボスとかレイドボスとかいう存在である。
 そう考えれば、この説明も少しは納得するものがあるだろう。
 レイドバトル用の大型ボスなどまさに歩く災厄である。

 現在のクラウドのランクはF。
 上げるにはクエストを10件、または貢献度を15上げること。
 どちらかが満たされた後にクエスト窓口に報告し、カードを提出すれば適切なランクに更新されるという。
 最初の頃は貢献度を条件以上に貰えることもあるため一気に上がるものも少なくないのだとか。


「クエストはあちらの壁に設置されているボードの中から選ぶか、ギルド職員にいくつかクエストを見繕ってもらうかご自由にお選びいただけます。ボードの中から選ぶ場合、自分のランク以外のクエストも当然張り出されておりますのでたまに思いがけない依頼が舞い込むこともあります。ですが、こちらは主に自身の判断でクエストを受けることになるため、自身のランクに見合わないものと見合うものを自力で判別して選ぶ必要があります」
「ふんふん」
「受注の際にクエスト内容の確認も一応行いますが、我々ギルド職員はよほどのことでない限りは極力口を挟まないようにしていますので、そこは申し訳ありませんが自己責任となっておりますので何卒ご了承ください」
「わかった。気を付けるよ」
「ありがとうございます。もう一つの方法ですが、これはギルド職員に仕事を斡旋される形でクエストを受けることができます。クエストボードのようにバラバラに選ぶのではなく、ギルド側でその人に合った依頼を厳選し渡す形になります。なのでクエストボードよりも安全性が高く、堅実に経験を積みたい方などにお勧めの方法です。その代わり、妥当でない異常に報酬の高いものは安全とは言い難いので予めこちらで撥ねさせていただきます。それと、こちらの方法ですとギルド職員に直接お申し付けくださればよほどのことでない限りは本人の意向に沿わせることが可能です」
「へえ、それはいいね」


 それからギルドについての説明をクラウドは相槌を時折入れながら聞いていく。
 注意点もいくつか。
 一般の住民も割と頻繁に訪れるので暴力沙汰は禁止。
 揉め事も極力治める。
 器物損壊罪はこの世界でも適用されていることから、存在するもの全ては実態であり破壊不可オブジェクト扱いではない。
 あんまり問題を起こすとギルドカードの剥奪のち牢屋行き。
 罪を犯してもカード剥奪&牢屋直送。

 ちなみにギルドカードを持っていればギルド施設にある飲食スペースでの飲み食い料金がある程度お安くなる。
 ランクがそれなりに高くなると簡単なものなら無料で食べられるようになるのだとか。

 クラウドは説明を行ってくれた青年の職員にお礼を言い頭を下げる。


「説明、どうもありがとう」
「いえいえ、ギルドでは当然の行いですから。もしまた聞きたいことがあれば、お問い合わせ窓口にてご相談ください」
「おや、じゃあ君にはもう相談はできないの?」
「えっ?あ、いえ。他の職員に言ってくだされば同じ者が対応を仰せつかうことは可能ですが・・・?」


 クラウドの言葉に目を丸くしながらも青年の職員はそう言った。
 青年の職員の言葉にクラウドは少しだけ嬉しそうにほっとする。


「ああ、そっか。よかった」
「あの、何故そのようなことを?」
「うん?だって、対応も丁寧だし、この子たちを見ても自分のカードの内容を知ってもそこまで驚かないし・・・」


 うーんとうなりながら彼の良いところを一つ一つ挙げていく。
 誠実な態度、丁寧な対応、少しの刺激では驚かない精神、どころかその人の身を案じる提案を出す対応力。


「こういうのって好感触って言うんだっけ?ふふ、なんだろう?これからも付き合いを持ちたいと思ったんだ」


 ほわほわと微笑みながら言うクラウドに、青年の職員はぽかんと呆気にとられた後、小さく噴き出した。


「ぷっふふっ、ふっ・・・そうですか、ふふっ・・・、わかりました。私の名前はオルクです。オルク・シークウッド。ふふっ、ではこれからクラウド様がこのノービス支部の冒険者ギルドをご利用の際は主に私が担当させていただきます」
「ふふ、うん。ありがとう。改めて、クラウド・ヘキサグラムです。しばらくは町から出ない予定だから、今後ともこのギルドではよろしくお願いします、オルクくん」
「はい。こちらこそよろしくお願いしますね、クラウドさん」


 友人にそう呼んでいるように名前を言えば、さん付けで返ってきた。それもやや強調ぎみに。
 本当に対応力の高い職員である。

 こうしてクラウドはまず一番にプレイヤーではなくNPCと友達になった。





328.クラウド
 そういうわけでギルドの職員さんと仲良くなったよ。嬉しいなぁ。
 今はね、一緒に早めのお昼を飲食スペースでとってるよ。
 うちの子たちも構ってもらえて楽しそうで嬉しいね。


329.名無しのプレイヤー
 お父さんは無差別ハーレムでも作る気なのかな??


330.名無しのプレイヤー
 よせよ・・・この人に自覚なんてないんだから・・・


331.名無しのプレイヤー
 知ってるか
 この人のこれ全部善意の行動なんだぜ・・・?


332.名無しのプレイヤー
 うん、知ってた


333.名無しのプレイヤー
 知ってた


334.名無しのプレイヤー
 知ってた・・・


335.クラウド
>>333.ゾロ目だ、おめでとう。


336.名無しのプレイヤー
 そしてブレないお父さん


337.333のプレイヤー
 んんんんんありがとうございます!!!www


338.名無しのプレイヤー
 なんだろう既視感がwwwww


339.名無しのプレイヤー
 お父さんの報告にとても癒される
 このスレ好きだわぁ


340.クラウド
>>339 ふふ。ありがとう。

 この後はね、真っ直ぐ大通りを歩いて噴水を目指す予定だよ。
 その途中にいろんな店を覗こうかなって思ってるんだ。
 そう言ったら職員さんにいろいろお店や施設を簡単に教えてもらったよ。
 やっぱりご当地密着型だからかいろんなお店を知ってて、聞いてるだけで楽しいねぇ。


341.名無しのプレイヤー
 もうそんなに情報を貰えるほど仲良く・・・


342.名無しのプレイヤー
 そういえばお父さんの名前を伏せて教えてくれた称号効果の中にそういう効果のやつ無かったっけ・・・
 あの、全ての生き物と仲良くなりやすくなるとかそんな感じの


343.名無しのプレイヤー
 あ、ああー・・・
 そりゃ仲良くなるのが早いわけだわ・・・


344.名無しのプレイヤー
 だがおそらく一番の要因はお父さんからにじみ出るほわほわオーラだと思うんだ


345.名無しのプレイヤー
 それな


346.名無しのプレイヤー
 それな


347.名無しのプレイヤー
 結局は自前のリアルスキルにたどり着くという


348.名無しのプレイヤー
 俺がギルドにいた時は混雑してたからってのもあるけど、検証か好みだったのかはわからんけど言い寄ってる奴ら全員笑顔で受け流されてたの見てきっとガード固いのかなって思ってたんだが


349.名無しのプレイヤー
 いや、348の言ってることはあながち間違いではない
 奴らのガードが固いのは確かだ
 根拠は俺のパーティーメンバーの魔術師がその言い寄る奴らのうち一人だ


350.名無しのプレイヤー
 身内www


351.名無しのプレイヤー
 ちなみにうちの奴は重度の研究家タイプでな
 現在進行形で一人だけ違うゲームでもやってんのかってくらい検証にのめり込んでる奴だ


352.名無しのプレイヤー
 よくパーティー活動が機能するなwww

 まあそうなるとやっぱり固いのはほぼ確定だな


353.名無しのプレイヤー
 その固さをものともしない(おそらく)リアルコミュスキルカンスト(+称号効果の補正付き)なほわほわオーラとのお話し・・・アッ(察し


354.名無しのプレイヤー
 なるほど
 これは対象の友人化不可避ですわ・・・


355.名無しのプレイヤー
 強い(確信)


356.名無しのプレイヤー
ぅゎぉ父さんっょぃ


357.名無しのプレイヤー
 これは強い(真顔)


358.名無しのプレイヤー
 そして不思議とズルいとは思わないんだよなぁ


359.名無しのプレイヤー
 それはほら


 お父さんだから・・・


360.名無しのプレイヤー
 何があってもお父さんだからで済ませてしまえるのが恐ろしい・・・


361.クラウド
 ご飯済ませてから一応報告に来たよ。
 今から噴水に向かいます。
 だからそれまではえっと、落ちる?って言えばいいのかな?
 とりあえずメニュー画面ごと閉じるよ。


362.名無しのプレイヤー
 ああうん、落ちるで合ってるよお父さん
 合ってるっつーのもなんかおかしいけど


363.名無しのプレイヤー
 りょりょ
 楽しんでーノシ


364.名無しのプレイヤー
 また突然だな
 いってらーノシ


365.名無しのプレイヤー
 まあお父さんここ初めての利用だしね
 お父さん初心者だからね仕方ないね


366.クラウド
 うん。行ってきます。ノシ
 また何かあったら言いにくるね。


367.名無しのプレイヤー
 いってらっしゃーいノシ


368.名無しのプレイヤー
 ノシ


369.名無しのプレイヤー
 さーて生産もうひと頑張りするかー


370.名無しのプレイヤー
 やっぱ休憩中に見るんだよなぁこのスレ


371.名無しのプレイヤー
 お父さんのスレだからね
 仕方ないね


372.名無しのプレイヤー
 そこまで消費は進んでないのになぜか見ちゃう
 何故なら和むから


373.名無しのプレイヤー
 うん
 見てても癒されるからなこのスレ


374.名無しのプレイヤー
 それな・・・


375.名無しのプレイヤー
 ファンクラブとかできるかな?


376.名無しのプレイヤー
 本当に作られそうで怖いわー


377.名無しのプレイヤー
 比率はプレイヤー:NPCで1:1かな(震え声)


378.名無しのプレイヤー
 むしろそれ以外にあるだろうか


379.名無しのプレイヤー
 いや無い


380.名無しのプレイヤー
>>378 379 おまいらケコーンwwwww

「とある御人の日常譚」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く