異世界から「こんにちは」
猫神様
「何で突然ハァハァ走り出すん……ですか」
「逃げるからだよ」
どこまで逃げたのだろう?
これ以上大切な物を失いたくない、その一心で逃げてきた。
シャマが俺の手を払うようにバッと動かす。
払われて俺は立ち止まり、息を切らしながら振り返る。
「聞いてなかった?」
「何を?」
問いに問いを返す。
すると怪訝な表情をされた。
「私とリアン先輩は魔法使いなんですよ。あなたとは違うんです」
「癪な言いぐさだな」
俺が役立たずみたいに……
その時、リアンも俺の手を払う。
「そうです、私達は魔法使いなんです」
猫神様はさっきより近づいていて、住宅の三倍くらいの体長とか毛の黒さとか奇妙に微動する長い髭とか、はっきりとその姿が見えると恐ろしさが増す。
二人は暴れる虚像の巨大な猫神様の方に身を翻した。
そして二人は俺を肩越しに見る。
「そこで見ててください先輩、すぐ終わらますから」とリアン。
「散らばった黒猫は後で探しましょう」とシャマ。
二人は常に携えている魔法の杖り両手で掲げる。
杖の先端が夜の街に激しく大きく際立って輝きだす。
リアンは青、シャマは赤の光を杖の先端から放ち続ける。
魔法は光だけでなく強風も起こすようで、強風が俺の身を包む。
目を開けているのが精一杯の状態で二人を見守った。
「青の力」
リアンがそう唱える。
「赤の力」
続いてシャマも唱える。
「「この世界を守れ!」」
そう同時に叫ぶと二人は背中を合わせて眩しい光を帯びた杖の先端を猫神様に向ける。
青の光と赤の光は杖の先端から猫神様に向かって放たれた。
向かう間に交わりを繰り返しながら光は猫神様に進んでいく。
そして猫神様に当たった瞬間、爆発もなく強烈な眩しさが俺を襲った。
眩しさゆえに目を瞑ってしまった。
数秒経って目を開けると、巨大な猫神様は消え、小さな黒猫達が地上に次々と落下していた。
「先輩見ててくれました?」
「太刀さん、私やりましたよ」
二人が俺に平然と歩み寄る。
「先輩だけじゃないでしょー」
「ううう、そうだけど」
こんな頼りになりすぎる魔法使いが俺の近くにいたんだな。
夢の中でも凄かったけど、改めて思い知ったよ。
「二人とも凄いな、あんなデカイのを一発で蹴散らすなんて」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ、次は実像の猫神様を捕まえないと」
あっそうだった。
でもどうやって?
「今、どうやってと思ったでしょ」
意地悪っぽくシャマに言われて、思わず苦笑い。
「早く捕まえないとまた暴れだしちゃいますよぉ」
リアンはシャマとは対照的にワタワタしている。
「ハハハそんなに焦らなくても大丈夫ですよ。猫神様は根は守り神ですから封印さえ済めば、安心です」
「それなら早く封印しないと」
「見つけるのは簡単ですよ」
何でだ?
五千匹の黒猫に散らばったんだろ?
「先輩わかってませんね?」
下から顔を覗きこんで見つめてくる。
「猫神様は山へ向かうからです」
微笑しながらそう言った。
しかし山までは走っても結構な時間かかるぞ。
「先輩少し待ってくださいね」
そう言って魔法の杖を俺の頭上にかざす。
シャマが魔法の杖を軽く振ると体がふわりと重量を無くしたような感覚になる。おわっ!
足が地面から離陸し体が宙に浮いた状態になった。
足が地面につかないんですけど、なんなのシャマってピ〇タ〇パンの子孫?
「それではレッツゴー!」
俺が宙を浮いていることに驚いてると、シャマも宙を浮いていた。
やっぱりピ〇タ〇パンの子孫でしょ?
異世界連れて行かれるの? 大人になれなくなるの?
「何をボッーとしてるんですか?」
不毛なことを考えていると俺を見て首を傾げるシャマ。
「ごめん、ボッーとしてた……って何!」
突然手を握られて夜空へ引っ張られる。
「私も行きたいですぅー! シャマさんずるいですぅー!」
引っ張られるがまま上昇していく、下を見るとリアがとても小さく見えた。
「なぁシャマ、リアンが何か言ってるけど良いのか?」
というかなぜリアンは宙に浮いていない?
俺が聞くと、悪戯っぽくクスクスと笑う。
「リアン先輩、この魔法使えないんですよ、それに私が魔法をかけても飛ぶのが下手だから」
意外だな。
まだ少しリアンの声が聞こえている。
う~ん、何を言ってるか聞き取れないな。
「リアンせんぱぁ~い、先に帰っててくださぁ~い」
シャマは口回りを両手で囲んで大声でリアンにそう伝えた。
「なんでそう帰らないといけないんですかぁー!」
何か言ってるよ、聞こえないけど。
「リアン先輩は心配しなくて大丈夫ですよ、強いですから。さぁ黒猫を捕まえに行きましょう、せんぱぁい♪」
いつの間にか俺の腕に自身の腕を絡めていた。
「それじゃあ行きますよ離さないでくださいよ」
「おおう」
手に少しだけシャマの胸が当たっている。
何を俺は動揺してるんだ?
落ち着け俺。
「あぁ一つ言い忘れてました、離すと落ちますよ」
さらっと恐怖を植え付けてきやがった。
「だから私ももっと強くしますね」
「えっ?」
先程より絡めている腕を強く締めてくる。強くするってそういうことか!
胸の感触が先程より確実に感覚にある。触れた感じリアンなんかとは比べ物にならないくらいのボリューム……そうじゃなくて!
不毛な感想はよして、目的を果たそう。っていうことは?
そしてそのまま山に向かい夜空を飛ぶんだろうな。
その後夜空を悠然と飛び回ったシャマ、それに引っ張られながら恐怖に戦慄しながら振り回された俺。
ジェットコースターとかバンジージャンプとかそんなレベルではない。命綱がないからな。
「とうちゃーく」
月明かりを浴びている山の頂上付近の禿げたところにシャマは両足を同時に着地する。
着地するときも絡めた腕を離さなかった俺はそのまま硬い地面に体を打ちつけた。痛い!
「大丈夫ですか先輩」
直立のまま顔だけこちらを向けてくる。その顔はニヤニヤしていた。
心配してるような顔には見えないぞ。
「早く絡めた腕をどけてください」
座った目付きで俺を凝視する。
「胸を触りたいんですか? 変態ですか? おっぱいフェチですか? ド変態ですか!」
鬼のような形相をして俺を睨む。
俺が意図的にしたわけじゃないだろ、とか反論すると得たいの知れぬ魔法で体が粉々になりそうなのでやめておいた。
「まぁ今回は不可抗力ですよね、許してあげます」
鬼のような形相から一転表情がやわらかくなった。
「でも次はありませんからね」
また凄むように睨まれた。
次からは、気をつけます。
「どこから探せばいいの?」
何もない芝生をシャマは見渡す。
「俺も知らないぞー」
う~ん、と顎に手を当て考え出した、その時茂みからがさがさっと何かの存在を表す音がする。
俺とシャマは茂みに反射的に目がうつる。
「絶対さっきのですよ、先輩行きますよ」
そう言って音がした方へ駆け出した。
遅れながらも着いていく。
シャマの姿は茂みに消えていく。待って速い。
奥に進んでくると生えている草の高さも顔くらいになってきていた。
掻き分けて前進していく。
先もろくに見えぬまま進んでいると、狭い区切られたスペースに出てきた。
シャマはどこにいった?
そんな疑問を頭に入れて辺りを一応見回っておく。どうやらここのスペースは円形になっているらしい。
「やぁこんにちは」
どこからか若い男性の声がする。
もう一度見回す、しかし誰も見当たらない。
「上だよ見上げてごらん」
言われるがまま見上げると、目の前に顔が。
すぐには驚きも無く呆然と顔を見つめて、少し経ってやっと素の感情が現れる。
「うわっ!」
驚き後ずさる。
状況が全く把握できない。
茂みのないスペースに出てきて、声がすると思ったら、目の前に顔がある、えっなんで? 
「まぁまぁ座って」
どこからか男性は懐中電灯を取り出して俺の足下を照らしてくれる。
その光で男性の顔がはっきりわかった、整ったパーツに長身、さらに俺に向けてくるさ爽やかなスマイルに合った水色の髪。要するに爽やか系イケメンだ。
「なんでこんなとこにいるんだい?」
俺が立ち尽くしてイケメンの方を見ていると、イケメンは聞いてきた。
「はぁ……あなたこそ何を?」
「わたくしですか?」
あんたしか他にいねぇだろ。
「逃げるからだよ」
どこまで逃げたのだろう?
これ以上大切な物を失いたくない、その一心で逃げてきた。
シャマが俺の手を払うようにバッと動かす。
払われて俺は立ち止まり、息を切らしながら振り返る。
「聞いてなかった?」
「何を?」
問いに問いを返す。
すると怪訝な表情をされた。
「私とリアン先輩は魔法使いなんですよ。あなたとは違うんです」
「癪な言いぐさだな」
俺が役立たずみたいに……
その時、リアンも俺の手を払う。
「そうです、私達は魔法使いなんです」
猫神様はさっきより近づいていて、住宅の三倍くらいの体長とか毛の黒さとか奇妙に微動する長い髭とか、はっきりとその姿が見えると恐ろしさが増す。
二人は暴れる虚像の巨大な猫神様の方に身を翻した。
そして二人は俺を肩越しに見る。
「そこで見ててください先輩、すぐ終わらますから」とリアン。
「散らばった黒猫は後で探しましょう」とシャマ。
二人は常に携えている魔法の杖り両手で掲げる。
杖の先端が夜の街に激しく大きく際立って輝きだす。
リアンは青、シャマは赤の光を杖の先端から放ち続ける。
魔法は光だけでなく強風も起こすようで、強風が俺の身を包む。
目を開けているのが精一杯の状態で二人を見守った。
「青の力」
リアンがそう唱える。
「赤の力」
続いてシャマも唱える。
「「この世界を守れ!」」
そう同時に叫ぶと二人は背中を合わせて眩しい光を帯びた杖の先端を猫神様に向ける。
青の光と赤の光は杖の先端から猫神様に向かって放たれた。
向かう間に交わりを繰り返しながら光は猫神様に進んでいく。
そして猫神様に当たった瞬間、爆発もなく強烈な眩しさが俺を襲った。
眩しさゆえに目を瞑ってしまった。
数秒経って目を開けると、巨大な猫神様は消え、小さな黒猫達が地上に次々と落下していた。
「先輩見ててくれました?」
「太刀さん、私やりましたよ」
二人が俺に平然と歩み寄る。
「先輩だけじゃないでしょー」
「ううう、そうだけど」
こんな頼りになりすぎる魔法使いが俺の近くにいたんだな。
夢の中でも凄かったけど、改めて思い知ったよ。
「二人とも凄いな、あんなデカイのを一発で蹴散らすなんて」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ、次は実像の猫神様を捕まえないと」
あっそうだった。
でもどうやって?
「今、どうやってと思ったでしょ」
意地悪っぽくシャマに言われて、思わず苦笑い。
「早く捕まえないとまた暴れだしちゃいますよぉ」
リアンはシャマとは対照的にワタワタしている。
「ハハハそんなに焦らなくても大丈夫ですよ。猫神様は根は守り神ですから封印さえ済めば、安心です」
「それなら早く封印しないと」
「見つけるのは簡単ですよ」
何でだ?
五千匹の黒猫に散らばったんだろ?
「先輩わかってませんね?」
下から顔を覗きこんで見つめてくる。
「猫神様は山へ向かうからです」
微笑しながらそう言った。
しかし山までは走っても結構な時間かかるぞ。
「先輩少し待ってくださいね」
そう言って魔法の杖を俺の頭上にかざす。
シャマが魔法の杖を軽く振ると体がふわりと重量を無くしたような感覚になる。おわっ!
足が地面から離陸し体が宙に浮いた状態になった。
足が地面につかないんですけど、なんなのシャマってピ〇タ〇パンの子孫?
「それではレッツゴー!」
俺が宙を浮いていることに驚いてると、シャマも宙を浮いていた。
やっぱりピ〇タ〇パンの子孫でしょ?
異世界連れて行かれるの? 大人になれなくなるの?
「何をボッーとしてるんですか?」
不毛なことを考えていると俺を見て首を傾げるシャマ。
「ごめん、ボッーとしてた……って何!」
突然手を握られて夜空へ引っ張られる。
「私も行きたいですぅー! シャマさんずるいですぅー!」
引っ張られるがまま上昇していく、下を見るとリアがとても小さく見えた。
「なぁシャマ、リアンが何か言ってるけど良いのか?」
というかなぜリアンは宙に浮いていない?
俺が聞くと、悪戯っぽくクスクスと笑う。
「リアン先輩、この魔法使えないんですよ、それに私が魔法をかけても飛ぶのが下手だから」
意外だな。
まだ少しリアンの声が聞こえている。
う~ん、何を言ってるか聞き取れないな。
「リアンせんぱぁ~い、先に帰っててくださぁ~い」
シャマは口回りを両手で囲んで大声でリアンにそう伝えた。
「なんでそう帰らないといけないんですかぁー!」
何か言ってるよ、聞こえないけど。
「リアン先輩は心配しなくて大丈夫ですよ、強いですから。さぁ黒猫を捕まえに行きましょう、せんぱぁい♪」
いつの間にか俺の腕に自身の腕を絡めていた。
「それじゃあ行きますよ離さないでくださいよ」
「おおう」
手に少しだけシャマの胸が当たっている。
何を俺は動揺してるんだ?
落ち着け俺。
「あぁ一つ言い忘れてました、離すと落ちますよ」
さらっと恐怖を植え付けてきやがった。
「だから私ももっと強くしますね」
「えっ?」
先程より絡めている腕を強く締めてくる。強くするってそういうことか!
胸の感触が先程より確実に感覚にある。触れた感じリアンなんかとは比べ物にならないくらいのボリューム……そうじゃなくて!
不毛な感想はよして、目的を果たそう。っていうことは?
そしてそのまま山に向かい夜空を飛ぶんだろうな。
その後夜空を悠然と飛び回ったシャマ、それに引っ張られながら恐怖に戦慄しながら振り回された俺。
ジェットコースターとかバンジージャンプとかそんなレベルではない。命綱がないからな。
「とうちゃーく」
月明かりを浴びている山の頂上付近の禿げたところにシャマは両足を同時に着地する。
着地するときも絡めた腕を離さなかった俺はそのまま硬い地面に体を打ちつけた。痛い!
「大丈夫ですか先輩」
直立のまま顔だけこちらを向けてくる。その顔はニヤニヤしていた。
心配してるような顔には見えないぞ。
「早く絡めた腕をどけてください」
座った目付きで俺を凝視する。
「胸を触りたいんですか? 変態ですか? おっぱいフェチですか? ド変態ですか!」
鬼のような形相をして俺を睨む。
俺が意図的にしたわけじゃないだろ、とか反論すると得たいの知れぬ魔法で体が粉々になりそうなのでやめておいた。
「まぁ今回は不可抗力ですよね、許してあげます」
鬼のような形相から一転表情がやわらかくなった。
「でも次はありませんからね」
また凄むように睨まれた。
次からは、気をつけます。
「どこから探せばいいの?」
何もない芝生をシャマは見渡す。
「俺も知らないぞー」
う~ん、と顎に手を当て考え出した、その時茂みからがさがさっと何かの存在を表す音がする。
俺とシャマは茂みに反射的に目がうつる。
「絶対さっきのですよ、先輩行きますよ」
そう言って音がした方へ駆け出した。
遅れながらも着いていく。
シャマの姿は茂みに消えていく。待って速い。
奥に進んでくると生えている草の高さも顔くらいになってきていた。
掻き分けて前進していく。
先もろくに見えぬまま進んでいると、狭い区切られたスペースに出てきた。
シャマはどこにいった?
そんな疑問を頭に入れて辺りを一応見回っておく。どうやらここのスペースは円形になっているらしい。
「やぁこんにちは」
どこからか若い男性の声がする。
もう一度見回す、しかし誰も見当たらない。
「上だよ見上げてごらん」
言われるがまま見上げると、目の前に顔が。
すぐには驚きも無く呆然と顔を見つめて、少し経ってやっと素の感情が現れる。
「うわっ!」
驚き後ずさる。
状況が全く把握できない。
茂みのないスペースに出てきて、声がすると思ったら、目の前に顔がある、えっなんで? 
「まぁまぁ座って」
どこからか男性は懐中電灯を取り出して俺の足下を照らしてくれる。
その光で男性の顔がはっきりわかった、整ったパーツに長身、さらに俺に向けてくるさ爽やかなスマイルに合った水色の髪。要するに爽やか系イケメンだ。
「なんでこんなとこにいるんだい?」
俺が立ち尽くしてイケメンの方を見ていると、イケメンは聞いてきた。
「はぁ……あなたこそ何を?」
「わたくしですか?」
あんたしか他にいねぇだろ。
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