異世界から「こんにちは」
リアンの手料理
果たして何を作ってくれたのだろうか?
「知ってる食材のみで作りました」
へぇ異世界と共通にある食材があるんだな。
「ラマエルです!」
「はぁ?」
ラマエルって何だ? と思っていると皿ごとこちらに持ってきた。
見た目は茶色の汁に煮込まれた数々の野菜が浮かんでいる。
茶色の海にたゆたう難破船みたいな、そんな第一印象だ。
恐る恐る聞いてみる。
「何使った?」
「ええと……ソースをベースにした汁、シュガー入れてその中に刻んだキャベツとかトマトを入れて煮込みました」
具材が煮込みすぎてボロボロになってる。
リアンはスプーンで具材と汁をすくって、俺に近づけ「さぁ」と促してくる。
おずおずとスプーンに口をつけ、一気に口に含ませた……アツッ!
味の前に熱さが俺の舌を襲う。
「ごめんなさい、熱すぎました」
口を開け閉めしながら、冷ましていると心配そうに頭を下げて謝ってくる。
大丈夫と、リアンに手のひらを向けるが実は火傷しそうくらいなのだ。
少し熱さがやわらいでやっと舌に味が伝わってくる。
うん、なんと言うか美味しいか不味いか聞かれたら美味しいけど、今まで味わったことがない味だから……比べようがないというか。
「美味しくありませんでした? ほんとにごめんなさい」
頭を下げられた。何も感想言ってないよ。
具材を飲み込んで正直に言う。
「美味しいよ」
「かばってくれなくていいんです。本心をさらけ出してください」
かばっている訳でもない、虚言でもない。
美味しいことを伝えるにはこれくらいしかない。
俺はスプーンをラマエルという料理にスプーンを突っ込んだ、そしてすくいあげ乗った具材を口にほおばる。
ひとつまたひとつと次から次へとほおばっていく。
「そんなに食べたらお腹こわしますよ」
口内にあったのを飲み込んで改めて感想を述べる。
「こんな美味しいもの作ってくれてありがとう」
ううう、と視線を落としてしまった。
「ズルいです、ありがとうなんてズルいです」
また俺はリアンを落胆させてしまったみたいだ。男として情けないな。
何を言ったかはわからないが、きっと俺がどうとかだろうな。
リアンは俯いたまま何も発声しない。
「俺もう満腹だから……風呂行ってくるわ」
気まずさに堪えられずリビングをそそくさと立ち去った。
私とリアン先輩の寝室は一緒だ。
その寝室室の布団の上でうずくまって、何分経っただろうか?
涙は止まった。
さっきの涙はなんだったんだろう?
答えが出ない。
パジャマを取りに自室へ来た。
朝のまんまだな。
窓は開いたまま、風が抜けていく。
窓を閉めようと近寄ると、あってはならない物を見てしまった。
山の頂上に巨大な何かが。
物々しいオーラを放っていて、山頂の樹から体の半分以上が出ている。
なんだあれ?
足がすくんでいる。
ニャアーーーー、と雄叫び。
その数秒後家中の窓ガラスが音をたてて割れていく。
周りの家の窓ガラスも割れていた。
立ち竦むという行動しか脊髄が脳に送ってくれない、ふと路を見てみるとどこからか逃げてきた家族連れが懸命に息を切らして走っている。
そうだ、逃げないと。
少しずつだが状況が把握できてきた。
俺の足はリビングに向かっていた。
リアンは中央で頭を伏せ丸くなっていた。
「リアン大丈夫か?」
「太刀さんですか、私は元から中央にいましたから傷ひとつありませんけど、シャマは……」
「シャマはどこにいる?」
「多分寝室に」
俺の足は寝室に直行していた。
ドアを開いて暗い寝室でシャマを捜す。
廊下の明かりで多少は室内が見える。
「先輩!」
「シャマ!」
窓のない側の壁で頭を抱えて座っている。
「シャマ逃げるぞ!」
「逃げませんよ、戦います。なので魔法の杖を持ってきてください」
片手を俺に向かって出してくる。
俺はその手を掴んで部屋を出ようとする。
「痛いです先輩」
「逃げないと、逃げないと」
「一回止まって、立ち上がれませんから」
「えっ、ごごめん」
俺が片手を離すと、すぐに立ち上がり口を開く。
「落ち着いてください」
落ち着けるわけない!
巨大な生き物が山の頂上に現れて冷静にいられるわ悪を嫌いけない。
シャマは片手をあげて横に振りきる。
俺の頬に強い衝撃が。ビンタだと!
目の前には真剣な面持ちでこちらを見つめるシャマ。
「落ち着けって言ってるでしょ!」
「ごめん」
シャマの真剣な面持ちを前に謝るしかできなかった。
「あれは猫神様。私達の世界の伝説の獣」
淡々と理解できないことを喋り出す。
シャマは続ける。
「太刀先輩も知ってる山、私達の住んでた街の神聖な山。猫神様の封印が解かれた、しかし……」
「しかしなんだよ」
言いにくいのか言いよどんでしまった。
「この世界に何でいるんだろう」
俯いてそう言う。
深刻そうな顔をしてまだ続ける。
「私とリアン先輩が手を組めば倒せないことはない」
「それなら倒そうぜ」
「あのデカイのは数々の猫が集まったもの、だからあれを倒しても実像を見つけ出さないと」
「実像は普通の黒猫、巨大な猫神の虚像は怒りに溢れた状態、虚像を攻撃すると五千匹以上の黒猫に散らばっていく、その中に一匹だけ実像の猫神様がいるの」
リビングからこちらを覗きながら説明を詳しくしてくれる。
五千匹から一匹だけを探し出すなんて途方に暮れる作業だ。
「でも何でこの世界に?」
眉尻を下げて悲しい表情を浮かべたリアンとそれを見て同じく眉尻を下げたシャマ。
どうすれば見つけ出せる?
思考と思案に頭を抱えていると、床が微かに振動する。デカイのはまだ暴れているようだ。
考えるのは後だ、まずは逃げよう。
そう思い視線を落としていたリアンとシャマの手を握って玄関から家を飛び出した。
「知ってる食材のみで作りました」
へぇ異世界と共通にある食材があるんだな。
「ラマエルです!」
「はぁ?」
ラマエルって何だ? と思っていると皿ごとこちらに持ってきた。
見た目は茶色の汁に煮込まれた数々の野菜が浮かんでいる。
茶色の海にたゆたう難破船みたいな、そんな第一印象だ。
恐る恐る聞いてみる。
「何使った?」
「ええと……ソースをベースにした汁、シュガー入れてその中に刻んだキャベツとかトマトを入れて煮込みました」
具材が煮込みすぎてボロボロになってる。
リアンはスプーンで具材と汁をすくって、俺に近づけ「さぁ」と促してくる。
おずおずとスプーンに口をつけ、一気に口に含ませた……アツッ!
味の前に熱さが俺の舌を襲う。
「ごめんなさい、熱すぎました」
口を開け閉めしながら、冷ましていると心配そうに頭を下げて謝ってくる。
大丈夫と、リアンに手のひらを向けるが実は火傷しそうくらいなのだ。
少し熱さがやわらいでやっと舌に味が伝わってくる。
うん、なんと言うか美味しいか不味いか聞かれたら美味しいけど、今まで味わったことがない味だから……比べようがないというか。
「美味しくありませんでした? ほんとにごめんなさい」
頭を下げられた。何も感想言ってないよ。
具材を飲み込んで正直に言う。
「美味しいよ」
「かばってくれなくていいんです。本心をさらけ出してください」
かばっている訳でもない、虚言でもない。
美味しいことを伝えるにはこれくらいしかない。
俺はスプーンをラマエルという料理にスプーンを突っ込んだ、そしてすくいあげ乗った具材を口にほおばる。
ひとつまたひとつと次から次へとほおばっていく。
「そんなに食べたらお腹こわしますよ」
口内にあったのを飲み込んで改めて感想を述べる。
「こんな美味しいもの作ってくれてありがとう」
ううう、と視線を落としてしまった。
「ズルいです、ありがとうなんてズルいです」
また俺はリアンを落胆させてしまったみたいだ。男として情けないな。
何を言ったかはわからないが、きっと俺がどうとかだろうな。
リアンは俯いたまま何も発声しない。
「俺もう満腹だから……風呂行ってくるわ」
気まずさに堪えられずリビングをそそくさと立ち去った。
私とリアン先輩の寝室は一緒だ。
その寝室室の布団の上でうずくまって、何分経っただろうか?
涙は止まった。
さっきの涙はなんだったんだろう?
答えが出ない。
パジャマを取りに自室へ来た。
朝のまんまだな。
窓は開いたまま、風が抜けていく。
窓を閉めようと近寄ると、あってはならない物を見てしまった。
山の頂上に巨大な何かが。
物々しいオーラを放っていて、山頂の樹から体の半分以上が出ている。
なんだあれ?
足がすくんでいる。
ニャアーーーー、と雄叫び。
その数秒後家中の窓ガラスが音をたてて割れていく。
周りの家の窓ガラスも割れていた。
立ち竦むという行動しか脊髄が脳に送ってくれない、ふと路を見てみるとどこからか逃げてきた家族連れが懸命に息を切らして走っている。
そうだ、逃げないと。
少しずつだが状況が把握できてきた。
俺の足はリビングに向かっていた。
リアンは中央で頭を伏せ丸くなっていた。
「リアン大丈夫か?」
「太刀さんですか、私は元から中央にいましたから傷ひとつありませんけど、シャマは……」
「シャマはどこにいる?」
「多分寝室に」
俺の足は寝室に直行していた。
ドアを開いて暗い寝室でシャマを捜す。
廊下の明かりで多少は室内が見える。
「先輩!」
「シャマ!」
窓のない側の壁で頭を抱えて座っている。
「シャマ逃げるぞ!」
「逃げませんよ、戦います。なので魔法の杖を持ってきてください」
片手を俺に向かって出してくる。
俺はその手を掴んで部屋を出ようとする。
「痛いです先輩」
「逃げないと、逃げないと」
「一回止まって、立ち上がれませんから」
「えっ、ごごめん」
俺が片手を離すと、すぐに立ち上がり口を開く。
「落ち着いてください」
落ち着けるわけない!
巨大な生き物が山の頂上に現れて冷静にいられるわ悪を嫌いけない。
シャマは片手をあげて横に振りきる。
俺の頬に強い衝撃が。ビンタだと!
目の前には真剣な面持ちでこちらを見つめるシャマ。
「落ち着けって言ってるでしょ!」
「ごめん」
シャマの真剣な面持ちを前に謝るしかできなかった。
「あれは猫神様。私達の世界の伝説の獣」
淡々と理解できないことを喋り出す。
シャマは続ける。
「太刀先輩も知ってる山、私達の住んでた街の神聖な山。猫神様の封印が解かれた、しかし……」
「しかしなんだよ」
言いにくいのか言いよどんでしまった。
「この世界に何でいるんだろう」
俯いてそう言う。
深刻そうな顔をしてまだ続ける。
「私とリアン先輩が手を組めば倒せないことはない」
「それなら倒そうぜ」
「あのデカイのは数々の猫が集まったもの、だからあれを倒しても実像を見つけ出さないと」
「実像は普通の黒猫、巨大な猫神の虚像は怒りに溢れた状態、虚像を攻撃すると五千匹以上の黒猫に散らばっていく、その中に一匹だけ実像の猫神様がいるの」
リビングからこちらを覗きながら説明を詳しくしてくれる。
五千匹から一匹だけを探し出すなんて途方に暮れる作業だ。
「でも何でこの世界に?」
眉尻を下げて悲しい表情を浮かべたリアンとそれを見て同じく眉尻を下げたシャマ。
どうすれば見つけ出せる?
思考と思案に頭を抱えていると、床が微かに振動する。デカイのはまだ暴れているようだ。
考えるのは後だ、まずは逃げよう。
そう思い視線を落としていたリアンとシャマの手を握って玄関から家を飛び出した。
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