異世界から「こんにちは」

青キング

親子丼

「リアン、ここで暮らしたいならひとつだけルールがある」
「なんですか? 俺の妻になったらとか?」
 不思議そうな顔で大変なことを言ってくる。
 俺はまだ高校二年生だぞ!
 まぁこいつとなら結婚しても、いかんいかん自分が愛している人としか結婚しないぞ。
「どうしたんですかさっきから一人でぶつぶつ呟いて」
 目の前には理想にも近い程の美少女。
 可愛さには屈しないぞ、と自分の頬をぱんと叩いて気を引き締め目前の美少女に臨む。
「ルールってなんですか?」
「絶対に魔法を使うな、それくらいかな」
 魔法使いに魔法を禁じるのはどうかと思ったが意外にもすんなり頷いてくれた。
「そんなことよりお腹が減りました」
「そうか……ちょっと待ってろ」
 俺は立ち上がりキッチンのある方へ向かっていく。
 確か冷蔵庫に安く手に入れた親子丼があったような。
 同じクラスの女子生徒、影雪かげゆき 冬花とうかに百円で譲って貰った親子丼だ。
 あいつは何かと俺に気をきかせてくれるのだが金をとられるので少々困っている。
 そんなことを脳裏に浮かべながら親子丼以外何もない冷蔵庫から親子丼を取り出す。
 飲み物とかカップ麺とか買っとかないとな。
「ごめんなリオンこんなのしかなかったよ」
 リオンに向け見せると、目を凝らしてこっちに来る。
「なんですかこれ?」
「親子丼って言うんだ」
「見たことないですねー」
 俺の持っている親子丼を隅々まで見ると眉をひそめて嫌そうな顔をする。
「美味しいのこれ?」
 言われてみれば親子丼は見た目が鮮やかではない、しかし味は本物だ。
「準備するからテーブルに座ってろ」
「分かった待ってるね」
 テーブルの椅子に座ると俺を笑顔で眺めている。
 親子丼をレンジで温め、熱くなりすぎないように短時間で取り出す。
 直接でも何ら問題ないくらいにうまく温めることができた。
 親子丼を持って、大人しく座って待っているリアンの前に置く。
 まじまじと親子丼を見つめている。
 俺は被さっていたプラスチックの蓋を取るその姿になぜかリオンは釘つけのようだった。
「食べろよ、ほれ」
 リオンを促してみたものの返事がなく顔を赤めるばかりだ。
「 たた太刀さん……これはどうやって食べるのですか? 教えてくれないのなら太刀さんが私にあ~んしてください」
「教えねー訳ねぇだろうが」
「そう、ですよね 」
 スプーンはわかるようで教えるまでもなく渡すとすぐに口に運んだ。
「見た目のわりに美味しい」
「やはりな味は中々だろ」
 自分で作った訳でもないのにちょっぴり嬉しい。
「太刀さんは食べないんですか?」
 見ているだけの俺を可哀想に思ったのか不思議そうに尋ねてきた
「もう眠くて」
「ごめんなさい。回復ができない魔法使いなんかのために、ほんとに邪魔ですねごめんなさい」
 そんなに自虐するなよ。
 異世界では回復以外は強力魔法使えてたんだから。
「食べ終わったら言ってくれ、洗濯物取り込んでくるから」
 そう言って俺はリビングからベランダに向かう。
 その時も黙々と食べ続ける。
  どうすればいいのか?
 そんなことが脳裏をよぎるが気にしたって俺が解決できる問題ではないだろう。
 リアンに背を向け洗濯物を取り込み始めた。  

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