それでも俺は帰りたい~最強勇者は重度の帰りたい病~
第八話 俺にはお前が必要だ
「さーて盗賊団も衛兵に引き渡したし、俺は帰ってオフトゥンするんだ」
「待つですダメ勇者様! まだお仕事が残っているです!」
やっと帰れると思った俺を待っていたのは非情な現実だった。
「し……ご……と……?」
今の俺の顔は、間違いなく深い絶望に染まっていることだろう。それなのにエヴリルさんはお構いなく――
「そうです、お仕事です。ヘクターさんをお屋敷に連れて行くです」
「今から?」
「今から」
「あそこまで戻るの?」
「戻るです」
「お面オヤジに会うの?」
「うっ……会うです」
一瞬エヴリルさんの表情が物っすごく引き攣ったけど、仕事を明日にしようとは言ってくれなかった。なんたる精神力。化け物かこの子は?
「よし、任せた」
「任されませんです!?」
放せ! 放してくれ! おうちが! オフトゥンが! すぐそこにあるんだぁあッ!?
「はぁ……勇者様はあんなにすごい力を持ってるですのに、なんでこんなにダメダメなんですかねー」
溜息をつかれるほど俺ってダメダメでしょうか? 確かに『帰りたい』は連呼してたが、仕事はちゃんとやってたよね? え? 今? 今はだって帰る時間だし。
「あんたたち!」
と、衛兵に事情を説明していたヘクターがタイミングよく戻ってきた。
「ありがとう。助かった。あんたたちがいなかったらオレも親父も妹も宿の人もみんな殺されて、マンスフェールド家は終わっていた」
「いいよ。どうせあいつら俺らも帰す気なかったんだし」
深く頭を下げるヘクターに、俺は鼻の頭がこそばゆくなりながらぶっきら棒に答えた。本当に礼を言われる筋合いはない。だって俺は俺のためだけに戦ったんだ。ヘクターを助けたのはその結果に過ぎない。
「それで、あんたを……いや、あなたを見込んで一つお願いがあります」
「なっ!? ま、まさか、これ以上仕事を増やすつもり……?」
俺は咄嗟に両手で耳を塞いだ。あーあー聞こえなーい! 今日は店仕舞いでーす。新しい仕事の依頼は明日以降お願いしまやめてエヴリルさん手を耳から剥がさないで!?
聞こえちゃう! ほら聞こえちゃう新しい仕事の囁きが――
「兄貴と呼ばせてください!」
「んん!?」
あれ? なんか予想の斜め上に行かれたぞ。俺を兄貴と呼びたい? それどんな仕事?
「オレは親父の後を継ぐためにもっと世間を知るべきだと思っています」
「アレの後を継ぎたいのね」
「そのために一度、冒険者に身を置いてみようと考えていました」
「あらそう? 大変よ?」
「そして先程の盗賊団を捕まえた圧倒的な強さを見て、オレは冒険者になって兄貴について行こうと決心しました!」
「んん!?」
ちょっと待ってヘクターくんの思考回路はどうなってんの? ……あ、ダメだこいつお目目がキラッキラしてる。もうなにを言っても覆らない気がするぞ。
「やめた方がいいです。この人、普段はダメダメ勇者様ですから」
ダメが一個増えた。
「それは承知しています。見ましたから」
「承知してるの!? できれば否定して欲しかったよ俺!?」
「オレは人を見る目はあるつもりです。兄貴は普段がダメダメでも、やる時はやる。そんな男だとオレは確信しています!」
「確かに勇者様は文句言いながらも仕事を始めればちゃんとやるですが……」
エヴリルさんもなんか納得してしまった。おかしい、俺はそんなに評価を上げることをした覚えはないぞ。社畜の評価ってもんはほどほどがいいんだ。ほどほどな仕事が回ってきて、ほどほどに仕事をこなして、そして定時に帰る。
能ある鷹なら爪を見せるな。これ俺んちの家訓ね。
「お願いします、兄貴! オレ、パシリでもなんでもしますので兄貴のパーティーに入れてください!」
大声を張り上げてヘクターは地面に膝と両手と頭を擦りつけた。異世界とは思えない綺麗な土下座だった。
「いや、その……なあヘクター、ちょっと頭冷やそうな? な?」
「オレをパーティーに入れてくれるまで、オレは帰りません! 兄貴も帰しません!」
「ようこそ俺のパーティーへ」
「変わり身早いです!?」
だってヘクターが帰らないと仕事終わらなくて俺も帰れない。この最悪なコンボをどうにかするには俺が折れるしかないんだよ。
「あ、ありがとうございます! 早速ギルドに登録を――」
「待った! それは明日にしよう。俺はお前の親父さんからの依頼を継続中なんだ。まずそっちを完了にさせてくれ」
「そうですね。もう遅いですし……わかりました」
よかった、これからギルドの手続きとか面倒くさいことに付き合わされたんじゃ堪ったもんじゃない。とはいえヘクターの屋敷には戻らないといけないわけで、ここからだとちょっと距離があるんだよなぁ。嫌だなぁ。帰りたいなぁ。
「あ、親父にはオレから伝えておきますので、兄貴たちは屋敷まで同行しなくても大丈夫です。報酬は明日、ギルドから受け取れるように手配しておきます」
「君はきっとホワイトな会社を作る! 俺は全力で応援します!」
あらやだこの子わかってる。兄貴の気持ちを理解して気を使ってくれてる。
「えーと、ちょっとよくわかりませんが、ありがとうございます!」
礼を言って駆け去っていくヘクターを見送りながら、俺はあいつの会社になら就職したいと思いました、まる。
「それではダメ勇者様、ヘクターさんの後を追いかけるですよ」
「なんで!?」
悪魔がそこにいた。
「まだ盗賊の残党がいるかもしれないです。もし襲われたら大変です。ちゃんと彼を送り届けるまでが仕事です」
「だ、大丈夫だろ? 心配し過ぎだって」
「ヘクターさんが襲われたら、今後勇者様は気持ちよく帰れなくなると思うですがよろしいですか?」
「くそうくそう!」
確かにそうなったら後味が悪過ぎる。気になってなにも考えず帰れないじゃないか。おのれエヴリル、この策士め。
俺は泣く泣くヘクターの後を追いかけることになった。涙が、しょっぱい。
「ところで勇者様、いつも疑問に思ってたことがあるですが……その、今訊いてもいいです?」
俺の隣を走りながらエヴリルがちょっと言いづらそうにそう訊ねてきた。なんだ? 改まって。俺は首を傾げて続きを促す。
「どうして、わたしの能力をコピーしないですか?」
「ん?」
「勇者様の力の一つは、他人の能力を超越して〈模倣〉するですよね? わたしの魔法を勇者様が使えれば、今回だってもっと簡単に事が運べたはずです」
あー、まー、それもそうだな。エヴリルの魔法のことを思い出すまで思いつかなかっただけとは言わないでおこう。
「そうすれば、わたしなんかがいなくても、勇者様は一人でやっていけるです」
エヴリルは俯くと、走る速度を緩め、やがて立ち止まってしまった。
「おい、エヴリル?」
「勇者様はすごい能力をいっぱい持っていて、きっといつかわたしにできることが全部勇者様にもできるようになって、いらなくなる時が来るです」
エヴリルは――怖いのか? 俺がなんでもかんでもできるようになってしまうことが。自分がパーティーのお荷物になって、必要とされなくなってしまうことが。
俺の力は、はっきり言って万能に近い。なんなら全能に近い。いやそこまでは言い過ぎか。俺の『帰りたい』という願いを叶えられないから無能とも言えます。
とにかくそんな俺に、自分なんて本当に必要なのか? エヴリルはずっとそう悩んでいたんだろう。
その悩みに、俺はパートナーとして答えてやらなければならない。
「エヴリル」
立ち尽くすエヴリルのどこか哀愁漂う儚い雰囲気に、俺は――
「この阿呆」
チョップを下した。
「あ、阿保!? わたしは真剣に言ってるですよ!?」
「いいか? 俺は仲間の能力を〈模倣〉する気はない。だいたい〈模倣〉できるのは一度に一つだ。解析結果を記憶にストックできないこともないが、他の〈模倣〉で上書きしちまったら意味ないだろ。人間ってのはな、いくらチートな能力をたくさん持っていても、一人でなんでもできちまうなんてあり得ないんだ。だから仲間を作る」
俺はチョップで涙目になっていたエヴリルの顔を強引に持ち上げる。
「つまりだ、エヴリル。俺にはお前が必要だ」
「勇者様……」
かぁあああっ、とエヴリルの頬が赤く染まった。夕焼けのせいかな。俺の顔が近いせいじゃないよね? たぶん俺も赤い。
だがここで言葉を止めるわけにはいかない。この際だ、エヴリルに仲間の大切さをしっかり教えてやる。
「だって考えてもみろよ! もし一人でなんでもできちまうようになっちゃったら俺ばっかり仕事することになって帰れなくなるわけで仲間にタスクを分担してもらうことがより効率的な仕事の進め方であってなんでもかんでも一人でやろうとか『お前帰りたくないの?』って話になるじゃん俺は帰りたいッッッ!!」
ほら、帰るためには仲間の助けがいるんだよ。はい論破。
「………………………………………………」
あれ? エヴリルさんがまた俯いてプルプルしてる。やだどうしよう泣かしちゃった? そんなにキツイこと言っちゃった? うわぁ、どうしよう? 俺は女の子泣かして喜ぶ趣味はないんですけど。
「こんの……ダメ勇者様がぁあっ!!」
「痛い!? ちょ、杖で頭殴り続けるのやめて馬鹿になっちゃう!? 馬鹿になっちゃうから!?」
「勇者様のその帰りたい脳を徹底的に矯正するまでわたしが必要だということがよぉおおおおくわかったです! これからもよろしくです勇者様!」
「なんなの!? ねえお前さっきからなんなの!?」
そしてヘクターに追いついた時、俺は俺と認識されないくらい顔面をボッコボコに腫らしていたとか。
「待つですダメ勇者様! まだお仕事が残っているです!」
やっと帰れると思った俺を待っていたのは非情な現実だった。
「し……ご……と……?」
今の俺の顔は、間違いなく深い絶望に染まっていることだろう。それなのにエヴリルさんはお構いなく――
「そうです、お仕事です。ヘクターさんをお屋敷に連れて行くです」
「今から?」
「今から」
「あそこまで戻るの?」
「戻るです」
「お面オヤジに会うの?」
「うっ……会うです」
一瞬エヴリルさんの表情が物っすごく引き攣ったけど、仕事を明日にしようとは言ってくれなかった。なんたる精神力。化け物かこの子は?
「よし、任せた」
「任されませんです!?」
放せ! 放してくれ! おうちが! オフトゥンが! すぐそこにあるんだぁあッ!?
「はぁ……勇者様はあんなにすごい力を持ってるですのに、なんでこんなにダメダメなんですかねー」
溜息をつかれるほど俺ってダメダメでしょうか? 確かに『帰りたい』は連呼してたが、仕事はちゃんとやってたよね? え? 今? 今はだって帰る時間だし。
「あんたたち!」
と、衛兵に事情を説明していたヘクターがタイミングよく戻ってきた。
「ありがとう。助かった。あんたたちがいなかったらオレも親父も妹も宿の人もみんな殺されて、マンスフェールド家は終わっていた」
「いいよ。どうせあいつら俺らも帰す気なかったんだし」
深く頭を下げるヘクターに、俺は鼻の頭がこそばゆくなりながらぶっきら棒に答えた。本当に礼を言われる筋合いはない。だって俺は俺のためだけに戦ったんだ。ヘクターを助けたのはその結果に過ぎない。
「それで、あんたを……いや、あなたを見込んで一つお願いがあります」
「なっ!? ま、まさか、これ以上仕事を増やすつもり……?」
俺は咄嗟に両手で耳を塞いだ。あーあー聞こえなーい! 今日は店仕舞いでーす。新しい仕事の依頼は明日以降お願いしまやめてエヴリルさん手を耳から剥がさないで!?
聞こえちゃう! ほら聞こえちゃう新しい仕事の囁きが――
「兄貴と呼ばせてください!」
「んん!?」
あれ? なんか予想の斜め上に行かれたぞ。俺を兄貴と呼びたい? それどんな仕事?
「オレは親父の後を継ぐためにもっと世間を知るべきだと思っています」
「アレの後を継ぎたいのね」
「そのために一度、冒険者に身を置いてみようと考えていました」
「あらそう? 大変よ?」
「そして先程の盗賊団を捕まえた圧倒的な強さを見て、オレは冒険者になって兄貴について行こうと決心しました!」
「んん!?」
ちょっと待ってヘクターくんの思考回路はどうなってんの? ……あ、ダメだこいつお目目がキラッキラしてる。もうなにを言っても覆らない気がするぞ。
「やめた方がいいです。この人、普段はダメダメ勇者様ですから」
ダメが一個増えた。
「それは承知しています。見ましたから」
「承知してるの!? できれば否定して欲しかったよ俺!?」
「オレは人を見る目はあるつもりです。兄貴は普段がダメダメでも、やる時はやる。そんな男だとオレは確信しています!」
「確かに勇者様は文句言いながらも仕事を始めればちゃんとやるですが……」
エヴリルさんもなんか納得してしまった。おかしい、俺はそんなに評価を上げることをした覚えはないぞ。社畜の評価ってもんはほどほどがいいんだ。ほどほどな仕事が回ってきて、ほどほどに仕事をこなして、そして定時に帰る。
能ある鷹なら爪を見せるな。これ俺んちの家訓ね。
「お願いします、兄貴! オレ、パシリでもなんでもしますので兄貴のパーティーに入れてください!」
大声を張り上げてヘクターは地面に膝と両手と頭を擦りつけた。異世界とは思えない綺麗な土下座だった。
「いや、その……なあヘクター、ちょっと頭冷やそうな? な?」
「オレをパーティーに入れてくれるまで、オレは帰りません! 兄貴も帰しません!」
「ようこそ俺のパーティーへ」
「変わり身早いです!?」
だってヘクターが帰らないと仕事終わらなくて俺も帰れない。この最悪なコンボをどうにかするには俺が折れるしかないんだよ。
「あ、ありがとうございます! 早速ギルドに登録を――」
「待った! それは明日にしよう。俺はお前の親父さんからの依頼を継続中なんだ。まずそっちを完了にさせてくれ」
「そうですね。もう遅いですし……わかりました」
よかった、これからギルドの手続きとか面倒くさいことに付き合わされたんじゃ堪ったもんじゃない。とはいえヘクターの屋敷には戻らないといけないわけで、ここからだとちょっと距離があるんだよなぁ。嫌だなぁ。帰りたいなぁ。
「あ、親父にはオレから伝えておきますので、兄貴たちは屋敷まで同行しなくても大丈夫です。報酬は明日、ギルドから受け取れるように手配しておきます」
「君はきっとホワイトな会社を作る! 俺は全力で応援します!」
あらやだこの子わかってる。兄貴の気持ちを理解して気を使ってくれてる。
「えーと、ちょっとよくわかりませんが、ありがとうございます!」
礼を言って駆け去っていくヘクターを見送りながら、俺はあいつの会社になら就職したいと思いました、まる。
「それではダメ勇者様、ヘクターさんの後を追いかけるですよ」
「なんで!?」
悪魔がそこにいた。
「まだ盗賊の残党がいるかもしれないです。もし襲われたら大変です。ちゃんと彼を送り届けるまでが仕事です」
「だ、大丈夫だろ? 心配し過ぎだって」
「ヘクターさんが襲われたら、今後勇者様は気持ちよく帰れなくなると思うですがよろしいですか?」
「くそうくそう!」
確かにそうなったら後味が悪過ぎる。気になってなにも考えず帰れないじゃないか。おのれエヴリル、この策士め。
俺は泣く泣くヘクターの後を追いかけることになった。涙が、しょっぱい。
「ところで勇者様、いつも疑問に思ってたことがあるですが……その、今訊いてもいいです?」
俺の隣を走りながらエヴリルがちょっと言いづらそうにそう訊ねてきた。なんだ? 改まって。俺は首を傾げて続きを促す。
「どうして、わたしの能力をコピーしないですか?」
「ん?」
「勇者様の力の一つは、他人の能力を超越して〈模倣〉するですよね? わたしの魔法を勇者様が使えれば、今回だってもっと簡単に事が運べたはずです」
あー、まー、それもそうだな。エヴリルの魔法のことを思い出すまで思いつかなかっただけとは言わないでおこう。
「そうすれば、わたしなんかがいなくても、勇者様は一人でやっていけるです」
エヴリルは俯くと、走る速度を緩め、やがて立ち止まってしまった。
「おい、エヴリル?」
「勇者様はすごい能力をいっぱい持っていて、きっといつかわたしにできることが全部勇者様にもできるようになって、いらなくなる時が来るです」
エヴリルは――怖いのか? 俺がなんでもかんでもできるようになってしまうことが。自分がパーティーのお荷物になって、必要とされなくなってしまうことが。
俺の力は、はっきり言って万能に近い。なんなら全能に近い。いやそこまでは言い過ぎか。俺の『帰りたい』という願いを叶えられないから無能とも言えます。
とにかくそんな俺に、自分なんて本当に必要なのか? エヴリルはずっとそう悩んでいたんだろう。
その悩みに、俺はパートナーとして答えてやらなければならない。
「エヴリル」
立ち尽くすエヴリルのどこか哀愁漂う儚い雰囲気に、俺は――
「この阿呆」
チョップを下した。
「あ、阿保!? わたしは真剣に言ってるですよ!?」
「いいか? 俺は仲間の能力を〈模倣〉する気はない。だいたい〈模倣〉できるのは一度に一つだ。解析結果を記憶にストックできないこともないが、他の〈模倣〉で上書きしちまったら意味ないだろ。人間ってのはな、いくらチートな能力をたくさん持っていても、一人でなんでもできちまうなんてあり得ないんだ。だから仲間を作る」
俺はチョップで涙目になっていたエヴリルの顔を強引に持ち上げる。
「つまりだ、エヴリル。俺にはお前が必要だ」
「勇者様……」
かぁあああっ、とエヴリルの頬が赤く染まった。夕焼けのせいかな。俺の顔が近いせいじゃないよね? たぶん俺も赤い。
だがここで言葉を止めるわけにはいかない。この際だ、エヴリルに仲間の大切さをしっかり教えてやる。
「だって考えてもみろよ! もし一人でなんでもできちまうようになっちゃったら俺ばっかり仕事することになって帰れなくなるわけで仲間にタスクを分担してもらうことがより効率的な仕事の進め方であってなんでもかんでも一人でやろうとか『お前帰りたくないの?』って話になるじゃん俺は帰りたいッッッ!!」
ほら、帰るためには仲間の助けがいるんだよ。はい論破。
「………………………………………………」
あれ? エヴリルさんがまた俯いてプルプルしてる。やだどうしよう泣かしちゃった? そんなにキツイこと言っちゃった? うわぁ、どうしよう? 俺は女の子泣かして喜ぶ趣味はないんですけど。
「こんの……ダメ勇者様がぁあっ!!」
「痛い!? ちょ、杖で頭殴り続けるのやめて馬鹿になっちゃう!? 馬鹿になっちゃうから!?」
「勇者様のその帰りたい脳を徹底的に矯正するまでわたしが必要だということがよぉおおおおくわかったです! これからもよろしくです勇者様!」
「なんなの!? ねえお前さっきからなんなの!?」
そしてヘクターに追いついた時、俺は俺と認識されないくらい顔面をボッコボコに腫らしていたとか。
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