ロシアンルーレットで異世界へ行ったら頭脳派の魔法使いになっていた件【三部作】

日比野庵

16-132.守秘義務なんざぁ、冒険者には当たり前の事さ

 仮に石板の文様が文字だとして、それが我々に読めない古語だったとしても、もしかしたらリムなら読めるかもしれない。だが、一度石板それを見てしまったら、もう引き返せない気もする。ヒロはほんの少し躊躇した。

「ソラリス、リム。エルテのいう石板は今回のクエストの鍵だ。だが、聞いての通り、石板の事はまだ秘密にしておかないといけない」

 ヒロの言葉にソラリスとリムは同意を示す。

「だから、石板の内容を見ることになっても、この場以外の誰にも口外せず、秘密にしておかなくちゃいけない。約束してくれるかい」
「はい。ヒロ様」

 リムが間髪入れずに答えた。

「守秘義務なんざぁ、冒険者には当たり前の事さ。ペラペラと秘密をしゃべる奴にはまともな依頼クエストは回ってこない。あたいはそんな馬鹿じゃないよ」

 ソラリスも応じた。

 リムとソラリスの言葉に深く頷いたヒロは、ゆっくりと視線をエルテに向ける。

「……エルテ、そういうことだ。俺には君が嘘をついているとは思えない。俺達がみても何か分かる可能性は低いかもしれないが、一応、その石板の写しとやらを俺達にも見せて貰いたい」
「はい。……シャル」

 エルテはシャロームに目配せをした。シャロームは分かりましたとばかり小さく頷くと口を開いた。

「石板の写しは盗難を考え、私が預かっています。もちろん商会ここは一般家屋より防犯はしっかりしていますが、それでも完璧ではありません。レーベの秘宝を記しているかもしれない石板の写しブツがあると噂でも立とうものなら、いくら警備しても足らないかもしれませんからね。尤も、誰にも読めないので、すぐにレーベの秘宝おたからを取られるとは思いませんが」

 ヒロが頷くのを見たシャロームは、ちょっと失礼と言って、部屋の奥に消えた。
 

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