転生先は現人神の女神様

リアフィス

21 確認と契約とお約束

精霊達とアイスぱくついてるけど美味しいな。次作る時マスカット混ぜてみよう。
うん、うんまい。バニラを早く見つけねばな。

「いい加減暴れるのをやめなさい。私が全部食べるわよ」

ピタァ……。

精霊達可愛いけれど、少しやんちゃすぎる。
お前達の喧嘩は洒落ならんからやめろ。特に精霊。軽く災害だわ。
私が作った家じゃなかったら全壊待ったなし。お仕置きは世界の反対側に"トランスファー"で強制転移。逆側に飛ばして自力で帰って来させた。お仕事してこい。
我が家に帰ってくるまでの通り道が活性化されたことでしょう。

さて、最後に覚えてない魔法覚えちゃうか。
今覚えている魔法はっと……。

【魔法】
    《魔力操作 Lv10》 《無魔法 Lv10》
    《火魔法 Lv10》 《水魔法 Lv10》 《風魔法 Lv10》 《土魔法 Lv10》
    《光魔法 Lv10》 《闇魔法 Lv10》 《氷魔法 Lv10》 《雷魔法 Lv10》
    《結界魔法 Lv10》 《空間魔法 Lv10》 《重力魔法 Lv10》
    《回復魔法 Lv10》

何がないか……
《召喚魔法》 《妨害魔法》 《強化魔法》 《従魔魔法》 《精霊魔法》
がないか。後こっそり【種族】に《呪歌》ってのがあるな……。
うーん、《召喚魔法》は天使召喚して返すか。
《妨害魔法》は初級の感知スキルから逃れる"カモフラージュ"でいいな。
《強化魔法》も初級の肉体強化魔法"リインフォースボディ"でいいか。
問題は《従魔魔法》 《精霊魔法》 《呪歌》か……。
《従魔魔法》も《精霊魔法》も契約が必要だ。こればっかりは後回しか……?

そもそも、私が《精霊魔法》を使う理由がないんだよなぁ……。
精霊は体がマナで構成されているため、他の種族より魔法適正が非常に高い。
その精霊達に魔法を代行してもらうため、魔力効率が非常によく、威力も桁違いになるので、《精霊魔法》というのがある。その点私は精霊達よりも上なので、代行してもらう必要性がない。精霊達の加護は非常に嬉しいが。

いつも付いてくる6属性の精霊達がいるけども……この子達と契約する?
と言うかこの子達、実は精霊王だよなぁ……。これで私と契約したらどうなるんだろう、この子達。ヤバイ、気になる。精霊女帝とかなるのかな。いや、親が私だとすると、精霊皇女になるのかな? ……ふむ。

「いつも私に付いて来てる精霊王の子達こっち来て?」

すぐに集まってきた。やっぱ精霊達って移動が早いな。

「皆に頼みたい事があるの。1つは今まで通りこの土地の果樹の世話。もう1つがこの土地にいる子達の管理をしてくれる? ここに溜まりすぎても困るのよね……」
「……お留守番?」
「……ここは綺麗なお水が沢山あるから残るよ?」
「ほんと?」
「うん」
「……ふむ。とりあえず契約して名を与えようと思うのだけれど?」
「「「ほんと!?」」」
「ええ、ほんと。まずは光の子、おいで」

光の精霊王がすっと前に出てきた。

「貴女は皆のお姉さん。1番上の纏め役。貴女の名前はリュミエール」
「はい!」

元気な返事の後、目に見えないが確かな繋がりを感じ、光の精霊王が溶けるように目の前から消えた。契約した精霊、魔獣、魔物は契約主から名や契約ボーナスを貰える。そのボーナスの最適化のため、少しの間眠りにつく。
起きた時が楽しみだが、他の子の契約をさっさと済ませてしまおう。

「次は水の子。貴女は皆のお姉ちゃん。皆を優しく包み込む、命の水。貴女の名前はウンディーネ」
「はい!」
「次は闇の子。貴女は寡黙だけれど、陰ながら見守る優しい子。私はちゃんと見ているわ。貴女の名前はオスクリタ」
「……はい」
「次は土の子。貴女は働き者ね。縁の下の力持ち、大地の恵み。貴女の名前はグノーム」
「はい」
「次は風の子。貴女は皆のムードメーカー。噂好きの明るい子。貴女の名前はシルヴェストル」
「はーい!」
「そして最後に火の子。一番下の貴女はやんちゃざかりね。賑やかなのは良いけれど、程々にね。貴女の名前はヴルカン」
「わーい!」

これで、精霊王達の名付けと契約は終わり。起きるのを待つだけ。
精霊と契約したことにより《精霊魔法》が解除された。

そしたら天使召喚で天使を呼んで、《召喚魔法》を覚えて天使は帰す。じゃあの。
扱いが酷い? 下級天使は機械みたいなもんだから気にしたら負け。
ちなみに姿は天使の白い翼が生えた鎧で剣と盾を持っている。
天使で真っ先に思い浮かべる翼の生えた女の子、これは少なくとも中位以上だ。
白い翼の生えた武装した子が、剣と盾を持った鎧達を指揮するのが天使の基本。
所謂リビングアーマー? に翼生やして装備を白くした感じかな。

まあ、天使はともかく"リインフォースボディ"で《強化魔法》を覚えてっと。
後は《妨害魔法》と《呪歌》か。そういえば下位天使《呪歌》持ってなかったな。あれ天使と女神が使えるようなんだが。…………鎧だしな。

《呪歌》は歌と言うより声で、聞いたものに作用する。
言語は世界共通語ではなく、所謂魔導言語。魔法陣に使われている魔導文字だ。
天使や女神以外に理解や解読は不可能。当然発声も不可能。
祝福から強化、呪いまで様々で、込めた意思で効果が、魔力で強度が変わる。
喉辺りに魔力を集め、発声する事で発動する魔法。魔法陣は存在すらしない。
私が味方と思っている者には強化を、敵と思っている者には状態異常なり何なり。
便利ですね。素晴らしいですね。

さっさと《呪歌》を覚えて次、最後に"カモフラージュ"を使い、《妨害魔法》を覚える。これでよし、と。これで魔法全制覇! ……は? せい……は……?

【魔法】
    《魔力操作 Lv10》 《月魔法 Lv10》
    《結界魔法 Lv10》 《空間魔法 Lv10》 《重力魔法 Lv10》
    《精霊魔法 Lv10》 《強化魔法 Lv10》 《回復魔法 Lv10》
    《生活魔法》

ガタッ!

《月魔法 Lv10》

今覚えた魔法! どこ行った!

《月魔法 Lv10》
無火水風土光闇氷雷召妨 Lv10で月魔法に統合、取得。

…………ストン。なるほど。

《月魔法》新規追加は以下の通り。
無 マナ収束砲マギキャノン
火 新星爆発ノヴァエクスプロージョン
水 大津波タイダルウェイブ
風 撃ち貫く者サジタリウス
土 流星ミーティア
光 衛星砲サテライトシューター
闇 這い寄る混沌ニャルラトテップ
氷 凍る世界フリーレンワールド
雷 荷電粒子砲エレクトロキャノン
月 反射リフレクション
召 月の軍勢召喚コール・ルナフォース
妨 魔導妨害マギジャマー

ニャルラトテップ……こんなところでこの名前を見ることになるとは思わんだ。
……うん? まだあるな?

火・氷 熱操作ヒートコントロール
水・土・風 物質操作マテリアコントロール
光・闇 光量操作リヒトコントロール

……ガタッ!
今まで! オリジナルでやってたことが! スキル対応した!
…………ストン。

まあ、ステータス表示がすっきりしたぐらいか。
と言うかぶっちゃけ、ステータス見せる場合は名前、種族、性別、職業、身分、年齢ぐらいでいいんだよね。スキルは手札晒してるようなもんだし。
名前から年齢は隠せないけど、それ以外は全部隠せる。
基本的には隠すのが普通らしいし、もうめんどくさいから私もそうしよう。
正直、いちいち弄るのが面倒になった系。
《従魔魔法》はまた今度。


さて、あの子達はまだ起きないが、ギルド行くか。
土地から出て、ふと思う。引っ越したことによってだいぶギルドが遠くなった。
新しい土地は北西区画の大通りに面している北東。
冒険者ギルドは南西区画の大通りに面している北。
この王都自体がかなりの広さなので、歩くには時間がかかる。身長が身長なので歩幅も無い。転移……は急ぎじゃない限りあんまりなぁ。飛ぶか? それとも大通りの水路にでも船を……邪魔になるか。
ふーむ……。ふーむ? 私1人だし、魔法というものがあるんだから、船の必要はないな! 氷でサーフボード作って水上移動でどうよ! そうと決まれば早速。

水路へと行き、物質操作で水をボードの形にし、熱操作で氷にする。
いやー便利便利。この物質操作って、要するに液体、個体、気体の操作だな。
水・土・風の複合だったし。

ただ、魔道具には向かんな。魔法陣でかすぎる。
魔法陣が大きい=魔力消費が大きい=使い勝手が悪い。
便利にする魔道具が使い勝手悪いんじゃ意味が無いわな。

それはそうと、作ったサーフボードの上に飛び乗る。

「よーし、しゅっぱーああ!」

ドボン。

「ぷはっ! うはは、急発進したらそりゃこうなるな!」

サーフボードの上に乗り、ボードだけ急発進させると……ボードがすっぽ抜け、後ろにひっくり返って水にダイブする。
水にぷかぷかしながらサーフボードを新しく作り、よじ登る。
その際、足を固定する溝も作っておく。

「今度こそしゅっぱーつ!」

氷でできたサーフボードは軽く波を作りながら進み始める。
うん、いい感じだ。スピード上げていこう。ガンガン行こうぜ。
どんどん加速していき、速度は大体20キロになった。

「うははは! 楽しいな! これ! ふはははは! にゃ゛!?」

ビタンッ! ズシャー!

高笑いから一転、水飛沫を上げながら水面にヘッドスライディングを決める。

「ぷはっ! なんだ? なにがおき…………」

キョロキョロしていると、目の前を明らかに小さくなった氷のサーフボードが、真っ二つの状態で流れていく。水に浮かびながら、それを見送る。

「……なるほど。そりゃあ、あの速度で水面滑ってたら溶けるわな……。そもそも氷でサーフボードなんぞ作らずに、水のままで良いのか。よし、やるか」

水のままサーフボードの形にし、その上によじ登る。ガンガン行こうぜ。

《物理無効》な為怪我をしないので、自重すると言う選択肢が出ないのであった。



とある治安部隊の騎士達。

少女が北大通りの水路で遊んでいる? と報告があったので、確認へ向かう。
どーもこう、嫌な予感がする。とか思いながら大通り水路を見ながら歩いていたら……。だって、北の大通りと言えば……なぁ?

「うははは! 楽しいな! これ!」

という声と共に非常に見慣れた楽しそうな少女の姿が……。

「ふはははは! にゃ゛!?」

ビタンッ! ズシャー!

水の中に消えた。

「一体何してるんですかね、あの方は」
「予想通りと言うか、なんというか……」
「……楽しそうだな」
「……ほんとにな」

騎士達は基本三人一組で行動するが、反応は皆同じだった。
そして彼らは……楽しそうな少女を見送った。

「あの人精神生命体だから何も言えねぇ」
「入ったところで汚れないもんな……」
「服すら魔力製らしいしな……」
「よし、何も問題はなかった。だな?」
「「おう」」

今日も王都は平和である。



「ギルドとうちゃーく」

うむ、早いし楽しいし言うこと無いな。
そんなことを考えながら冒険者ギルドの中へ入ると、めっちゃ人がいた。
……そういえばテアさんが冒険者は朝早く依頼を受けるって言ってたな。
この時間に来るのは初めてだ。私は今まで昼食済ませて後来てたからな。
ちらほらといるだけだった広いホールにびっちりいるな! 
ま、そんなことより依頼だ依頼。なんか面白いのないかね。

えーっと、白依頼は……変わらずアンデッドちゃんズ。他はっと……。
DとCに護衛がちらほら……Bが……おや? 調査依頼か。
王都東にある森の調査ねぇ……どれどれ。

「おいお前、そこどけ」

マーストの商人からアンデッドの報告がある。
ファーサイスに来る途中、やたらアンデッドの目撃情報が来ているため、森の調査を頼みたい。

「おいガキ、そこをどけと言っている!」

これ、白依頼のアンデッドが放置された結果な気がするんだけど?
そろそろ1年経つでしょあれ。確か方角も同じだったはずだしな……。

「こいつ……! どけっ」

何か依頼の詳細を見てたら、右側から薙ぐように腕が来たので右手で払う。
それはもう、依頼を見たままこっちに突っ込んできた虫を払うように。

「なんっ!」

どうするかな。いっそ白依頼受けてしまうか? とことこ移動して、白依頼の詳細を出す。……ふむ、1年ちょっと前か。すごいことになってそうだな。
うーむ。調査依頼とやらをやってみるかなぁ?

「このやろっ!」

私の肩の高さで腕が伸びてきたのをすっと避け、振り返る。さっきから何だ?

顔を軽く赤くして怒っているであろう男と、それをニヤニヤ眺めていた男達が目を見開いて固まる。……なんだ?



ギルドへ来たら依頼板の前に少々目立つ、明るい緑色の非常に長い髪をした、体付きからも少女がいた。見慣れない為、新人だろうと絡みに行ったやつを眺めていたら完全無視。少し苛ついた男が軽く手を振るうが、見向きもせずに払いのけられる。それで更に苛ついた男が掴みかかりに行ったが、今度は避けられた。
その際こちらに振り向いたのだが、想像を絶する美少女だった。
傾国の美女とはあの子の事を言うのかと。

見ていた者達の大半が暇つぶし程度に思っていただろうが、一部の者は少女の姿を見て焦りが出始める。髪が長い女性は基本的には貴族なのだが、1人だった為その線は薄いかとスルーしていた。だが、正面から見てみたらどうだ?
非常に整った、いや、整いすぎている顔。
見たことはないデザインだが、一目で上質だと分かる素材の服。
そして非常に綺麗に手入れされている長いストレートの髪。
それらを見て当事者ではない、面白半分に眺めていた、一応冷静な者達は焦る。
どんな依頼があるのか見ていただけで、依頼主ではないのか? と。
依頼を出す前にどんな依頼があるかを調べるのは、ありえなくもない。
出ている依頼で、どの程度の腕の者達がいるのか、ある程度予測できるからだ。
依頼主に喧嘩を売る、しかも貴族だった場合。それがどれだけ不味いことか。
貴族にも色々いるが、貴族の時点で金があり、様々な意味で繋がりが強い。
金払いの良い依頼、つまり報酬の多い依頼が一気に無くなる可能性がある。
報酬の高い良い仕事が無くなるのだ。焦らない訳がない。

そして冷静な者達。
主に上級冒険者の者達は、見た目に驚きはしたが、左腕に付いている腕輪を見逃さなかった。そう、赤色の腕輪だ。それはつまり、どれかのギルドで、Cランクであることを示す赤をしているのだ。貴族の令嬢が色付きであることは早々無い。
よって、立派な同業者か、商人で護衛でも雇に来たか、生産素材の確保依頼か。のどれかの可能性が非常に高くなった。
依頼を見ている時は腕を組んでいた為、後ろからは見えなかったわけだ。
そして判断としてはもう1つある。受付組が至って平然としている事だ。
基本的にギルドはこういった事に関わらないが、気にかけはするわけで。
新人が絡まれていたりすれば確実に見張っている。
受付嬢、つまりギルド職員達は冒険者達の人柄や態度を常にチェックしている。
冒険者ランクを上げる場合、冒険者本人と接する期会の多い、受付嬢の発言が非常に大きい。よって、こういう事に直接口出しはしないが、バッチリ見ている。
この受付組がなんというか、良くも悪くも普段通りなのだ。『見てますよ』という気配がない。そう、普段通りなのだ。つまり、何の問題もないということだろう。
依頼が減ることにより困るのは、何も冒険者達だけではない。
手数料を貰っているギルド側も収入が減るのだから。
それらに早く気づいたため、特に焦ってはいない。

更に最初からルナの事を知っている連中。
ギルド職員はもちろん、たまたま居合わせた冒険者の一部だ。
シードラゴン1人で倒してんだ、あんな男1人で別にどうにもならんだろ。
立派なランク詐欺である事を知っているため、スルーである。
強いて言うなら、癇癪起こして巻き込まないでくれ。としか思っていない。
そして、ギルマスや受付のテアと話しているのを見ている限り、癇癪なんかも起こさないだろうとわかっているので、やっぱりスルーである。



ははぁん? これがテンプレ、お約束と言うやつか!
と言うか私に言ってたんだな。そういえば見た目は子供だったわ。
からかってやろう程度のようだし、ボコすのは勘弁してやろうか。

「何か用かしら?」

とりあえずさっさと再起動して貰わんとな。

「お、おう。お子様がこんなところで何してんのかと思ってな」
「見ての通り依頼を見ていたのよ」

おーおー、考えてる考えてる。頑張れ、ここで選択をミスったら気絶コースだ。

「ほ、ほう。そうか、良い依頼教えてやろうか?」

あ、ダメだこいつ。何でお前と2人で依頼受けて森に行かなきゃならん。
煩悩全開どころか強姦魔待ったなし。欲望に忠実すぎて清々しいな。
光栄に思え、魔導銃第一犠牲者だぞ。
右側の腰につけているホルスターから魔導銃を抜き、変態に向ける。

「ぬかせ」

ズガンッ

……ドサ

発砲音と共に魔導弾薬が排出され、目標になった男が倒れた。
どれどれ……状態 気絶。うむ、よしよし。

そして、全員がこっちを向いた。魔導銃に興味津々だ。

「あの、何ですか、それ」

代表してテアさんが聞いてきた。

「魔導銃と言うの。こっちは魔導剣。両方魔装具ね。武装した方が冒険者と分かりやすいかと思って」
「杖じゃない所がらしいと言うか……なんというか……」
「王都ぶらり旅してる時に杖あったから試したけど、私の魔力負荷に耐え切れずに砕け散ったわね」
「いくらの買ったんです?」
「……買って外に出て、試しに使ったら大銀貨が消し飛んだわね」
「大銀貨……ですか……」

大体100万である。超大金である。

「あぁー、萎むわぁ……」

ホントしょんぼり。
とかしてたらギルドの扉が開いた。

「ギルドマスター呼んでもらえますか?」

騎士が入ってきた!

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