死霊術師は笑わない

神城玖謡

8話

 男2人、女2人の冒険者パーティとアガミは、今後の方針について頭を抱えていた。

 アガミとしては、細かい情報を隠しながら、生き延びるため。冒険者たちは、この可哀想な少女をどうするか。

 しばらくして、アガミが口を開けた。


「……お、ね、がい」

「どうしたの……?」

「か、ばん、いれて……いっしょ、つれて、て……」


 つい呼吸を忘れ、声がどんどん掠れていきながらも、必死に喋る。その姿は大層女達の母性をくすぐった。


「ね、ねえギル……ダメかしら……」

「私からもお願いするわ。この子には何の罪もないのよ? それどころか、一番の被害者なんだから……」


 懇願するミレーアに、もう一人の女、カーラも同調する。


「そうだな……正直言って分からないことが多すぎるし、かなり難しいと思う。でも、そうだな……逆に言うと、不可能ではない」


 その言葉に表情を明るくする女性陣。しかし対象的にクレイが眉を釣り上げた。


「おいおい、ちょっと待ってくれよ! 本当にこいつを連れて行くって言うのかよ! よく考えてみろよ、どんなに可愛そうでも、こいつは魔物なんだぜ! 危険すぎるぜ!!」


 しかしその言葉に反論する者はいなかった。
 無理もない。つい先程目の前で起こった光景は、少なくともいつ何が起こるかわからないという不安を与えるには十分なものだったからだ。


 再び針のような沈黙が舞い降りる。
 ……が、そこで口を開いたのは、またもやアガミだった。


「しん、ぱい、なら……しばって、でも、いい。さる、ぐつわ、つけて、も、いい。だ、から……たの、む」


 視線が、クレイに集まった。


「そ、そこまで言うなら……しょうがねえな。それなら安心だし……」


 ほっとした空気が辺りを包んだ。


「……よし、そうと決まれば、具体的な方針を決めていこう」

「そうねぇ、生きた肉は、頑張って調達するしかないけど……そうだわ、正気を失うタイミングを確かめる必要があるんじゃないかしら」

「そうだな……アンデッドが生き肉を求めるのは、生き肉から魔力を摂取するためだとか、生きるためのエネルギーを得るためだとかって聞いたことがあるな」


 ほう、と、アガミは内心舌を巻いた。

 アンデッドについてはその得体の知れなさから、愚かな迷信じみた説がかなり信じられている。
 しかしこの冒険者達の言う説は、実に的を射ていた。

 正解は、どっちもである。

 アンデッドとして生きる・・・ために生のエネルギーが、また体を動かすために魔力が必要なのである。


「あと、日中はただの死体に戻るとか、力が大きく落ちるとかとも言うわよね……」

「そうだな……とりあえず、街に戻る前に色々検証して見る必要があるな」

「そうね」


 頷く一同。
 冒険者達による、少女のこれからについての話し合いは続くのであった。

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