NO.NAME
first day 4
彩葉の家は築五十年の古い剣道場です。彩葉の祖父が気まぐれで始めた剣道場は、今は父で二代目です。
順当にいけば次は私がここを引き継ぐことになるのですが、私の気持ちとしては茜ちゃんみたいな女の子らしいことをやりたいんだけども、父はここを引き継がせるつもりで断ろうにも断りづらい雰囲気なのです。
「彩葉の家も長く続いているよな、古いところもあるんだから業者に頼んできれいにしてもらえばいいのに」
「今年で五十年になるんですよね」
「うん、そう。父さんはここで生まれ、育ったから自分で最後まで管理したいみたい」
「ふーん、そんなもんなのか」
アキがインターホンを鳴らす。中から出てきたのは剣道着に身を包み、右目にたて線のキズが入ったいかついおっさんが出てきた。この人こそが私の父。雨宮日影だ。
「彩葉の親父さん、こんにちは」
アキを先頭に皆が挨拶する友人達。
「今日は大人数でどうしたんだ」
「いや、久しぶりに稽古をつけてもらおうと思って。彩葉から今日は休みだって聞いたからさ」
「あー稽古か。だったら授業料をもらわないとなー?オレの授業料は高いぞー」
いかにも嫌味たっぷりな言い方で中学生からお金をとろうとする父。そんな父の背後から冷ややかな声が聞こえてきます。
「あらあら、子供相手になにを言ってるんですか、あなたはー!」
おもいきり助走をして飛び蹴りをくらわす母。
「ぎゃー!」
父を蹴り飛ばし満足そうな母。
「いらっしゃい、皆。邪魔者はいなくなったからどうぞ中へ」
にっこりと笑顔を振り撒く母。
「オレ、お前の母ちゃんに稽古つけてもらった方が強くなれるような気がする」
「だ、だいじょうぶ。武器を持ったら父さんの方が強いはずだから……多分」
「多分かよ」
居間へ通された私たちは母の用意したオヤツを食べながら今日の目的を話す。
「二度目になるんですけども、久しぶりに剣道を教わりたいと言う話をしにきたんだけども」
「ええ、いいわよ。この人今日暇だから」
何故か母が即答する。
「あ、そうですか。じゃ、お願いします」
「それじゃあ早速始めましょうか」
「えっオレの反対意見は聞かないの?」
あわてふためく父。いかつい顔したおっさんが慌ててる姿は娘の私でもちょっと引きます。
「なんでそんな嫌がるの。暇でしょうあなた」
笑顔できついことをいう母。
「いや、だってせっかくの休みだし無駄に過ごしたくはないかなあなんて」
「ぐだぐだいっとらんでさっさと稽古つけてこんかーい!」お決まりの飛び蹴りを入れられた父は、いやいやながらも稽古をつけてくれることになりました。
剣道場は五十年という歴史を誇りながらも父が毎晩きれいに掃除をしているため比較的きれいな状態です。
正面から入って一番奥には彩葉の祖父がどこからか手に入れてきた名刀斬刃刃があります。
「まったくなんで休みの日に野郎の稽古なんかつけないといけないんだ」
「あのー、それだと女だったらするって言っているように聞こえるんですけども」
「そう言ったつもりだが」
さらっととんでもないことをいいながら竹刀を握る父。
「さあ、かかってこいボコボコにして稽古を終わらしてやる」
「それ、稽古になりませんって」
父とアキのもはや定番となったやりとりのなか、私と仁も剣道着に着替えて道場に入ります。
「おお、さすが我が娘。世界で一番剣道着が似合ってるぞ」
「女の子に対して剣道着が似合ってるなんて言われても全然嬉しくないんだけど」
「まあまあいいじゃないか。それに仁君もガタイがいいだけあって似合ってるぞ。そこのひょろっとした長いだけの男よりもな」
「ほんと、お前の親父さんって失礼な人だよな」
アキは父には聞こえないようこっそりと私に耳打ちしてきます。
「ダメな親でごめんね」
突然父は辺りをキョロキョロと見回しながら。
「茜ちゃんは来ないのか?」
「茜ちゃんなら母さんと夕飯の準備。今日はみんな食べて帰りなさいだってさ」
それを聞いて何故か、残念そうにする父。そんなに見たかったのは茜ちゃんの剣道着。
「来ないなら仕方ないな。四人で始めるとするか」
それからは日が暮れてくるまで、父、私、アキ、仁での四人で厳しい稽古をし続けました。
順当にいけば次は私がここを引き継ぐことになるのですが、私の気持ちとしては茜ちゃんみたいな女の子らしいことをやりたいんだけども、父はここを引き継がせるつもりで断ろうにも断りづらい雰囲気なのです。
「彩葉の家も長く続いているよな、古いところもあるんだから業者に頼んできれいにしてもらえばいいのに」
「今年で五十年になるんですよね」
「うん、そう。父さんはここで生まれ、育ったから自分で最後まで管理したいみたい」
「ふーん、そんなもんなのか」
アキがインターホンを鳴らす。中から出てきたのは剣道着に身を包み、右目にたて線のキズが入ったいかついおっさんが出てきた。この人こそが私の父。雨宮日影だ。
「彩葉の親父さん、こんにちは」
アキを先頭に皆が挨拶する友人達。
「今日は大人数でどうしたんだ」
「いや、久しぶりに稽古をつけてもらおうと思って。彩葉から今日は休みだって聞いたからさ」
「あー稽古か。だったら授業料をもらわないとなー?オレの授業料は高いぞー」
いかにも嫌味たっぷりな言い方で中学生からお金をとろうとする父。そんな父の背後から冷ややかな声が聞こえてきます。
「あらあら、子供相手になにを言ってるんですか、あなたはー!」
おもいきり助走をして飛び蹴りをくらわす母。
「ぎゃー!」
父を蹴り飛ばし満足そうな母。
「いらっしゃい、皆。邪魔者はいなくなったからどうぞ中へ」
にっこりと笑顔を振り撒く母。
「オレ、お前の母ちゃんに稽古つけてもらった方が強くなれるような気がする」
「だ、だいじょうぶ。武器を持ったら父さんの方が強いはずだから……多分」
「多分かよ」
居間へ通された私たちは母の用意したオヤツを食べながら今日の目的を話す。
「二度目になるんですけども、久しぶりに剣道を教わりたいと言う話をしにきたんだけども」
「ええ、いいわよ。この人今日暇だから」
何故か母が即答する。
「あ、そうですか。じゃ、お願いします」
「それじゃあ早速始めましょうか」
「えっオレの反対意見は聞かないの?」
あわてふためく父。いかつい顔したおっさんが慌ててる姿は娘の私でもちょっと引きます。
「なんでそんな嫌がるの。暇でしょうあなた」
笑顔できついことをいう母。
「いや、だってせっかくの休みだし無駄に過ごしたくはないかなあなんて」
「ぐだぐだいっとらんでさっさと稽古つけてこんかーい!」お決まりの飛び蹴りを入れられた父は、いやいやながらも稽古をつけてくれることになりました。
剣道場は五十年という歴史を誇りながらも父が毎晩きれいに掃除をしているため比較的きれいな状態です。
正面から入って一番奥には彩葉の祖父がどこからか手に入れてきた名刀斬刃刃があります。
「まったくなんで休みの日に野郎の稽古なんかつけないといけないんだ」
「あのー、それだと女だったらするって言っているように聞こえるんですけども」
「そう言ったつもりだが」
さらっととんでもないことをいいながら竹刀を握る父。
「さあ、かかってこいボコボコにして稽古を終わらしてやる」
「それ、稽古になりませんって」
父とアキのもはや定番となったやりとりのなか、私と仁も剣道着に着替えて道場に入ります。
「おお、さすが我が娘。世界で一番剣道着が似合ってるぞ」
「女の子に対して剣道着が似合ってるなんて言われても全然嬉しくないんだけど」
「まあまあいいじゃないか。それに仁君もガタイがいいだけあって似合ってるぞ。そこのひょろっとした長いだけの男よりもな」
「ほんと、お前の親父さんって失礼な人だよな」
アキは父には聞こえないようこっそりと私に耳打ちしてきます。
「ダメな親でごめんね」
突然父は辺りをキョロキョロと見回しながら。
「茜ちゃんは来ないのか?」
「茜ちゃんなら母さんと夕飯の準備。今日はみんな食べて帰りなさいだってさ」
それを聞いて何故か、残念そうにする父。そんなに見たかったのは茜ちゃんの剣道着。
「来ないなら仕方ないな。四人で始めるとするか」
それからは日が暮れてくるまで、父、私、アキ、仁での四人で厳しい稽古をし続けました。
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