引きこもり姫の恋愛事情~恋愛?そんなことより読書させてください!~

雪桃

引きこもり虫と正月

 透さんの胸は暖かくて気持ちいい。大晦日の夜に何時間もしてしまった私は疲れ切って熟睡。
 透さんは可愛らしいと頭を撫でてくれていたようだったが。にしても寒い。透さんが暖房を付けて布団を被せてくれたけど裸ですからね。
 出来れば何かを着たい。じゃなくて起きるかそろそろ。

「凛音様。今日はこれにお着替えください」

 そう言って手渡されたのはピンク色の桜や梅が散りばめられているお着物。
 着られてる感じが否めないんですが。

「凛音。よく似合っているよ」
「はぁ……ありがとうございます」

 いつも着慣れてるから透さんの着物姿には別段ドキドキしない。

「近くに小さいけど人気の少ない神社があるんだ。後で初詣に行こうね」
「あ、はい」

神様にお願い事と言えば私にとっちゃ一つしか無い……すいません嘘です。流石に体を繋げた人が不幸な目に会うのは嫌だし一応家族思いな所もありますし無病息災を祈っときますか。

「根尾さん達も呼ぶ? あんな高スペックじゃ初詣も大変なんじゃ」
「いや大丈夫です。ちょっとでも邪な感情で近づいたらあいつら黙っちゃいませんから。華ちゃんの場合は特に」

 後、この格好で月海と麗子姉さんの所へ出てみろ。
確実にからかわれる。そりゃあもう鬱陶しくなる程。

 月海は身長が低いけど人目を引く綺麗な、しかし決してくどくない金髪と化粧で着物を引き立てるだろうし麗子姉さんは胸がでかいし。胸が。



 初詣に行った後おみくじをひかせてもらった。

「あ、末吉だ。微妙。凛音は?」
「……」

 興味は無いが大凶とかへこむからな私だって。
 『何をやっても空回り』とか『近い内に病気と事故で苦死』とか何だよ神様。そんなに私が嫌いか!

「ま、まあまあ凛音。神様はそれだけ気をつけろって言ってるようなもんだよ……きっと」
「最後の言葉が無ければ良かったです」

 新年早々ひどい目にあった。







「ただいま」
「凛音――!! あけおめ――!!」

 月海に首を締められる。死ぬ……おみくじが当たる。

「月海ちゃぁん。ご近所さんにご迷惑だからお家に入りなさいなぁ。神宮寺さんもいらっしゃぁい。明けましておめでとぉう。今年もどうぞよしなにぃ」
「あ、明けましておめでとうございます愛子さん。今年もよろしくお願いします」

 愛子姉さんの間延びする言い方に戸惑う透さん。
 寒いから早く入れて欲しいんだけど。

「音ちゃん明けましておめでとう!」
「ああ明けましておめ……」
「音ちゃん?」

 私の目の前に着物を着ている天使がいるのだけれど。

「いや〜この日の為に麗ちゃんと口論しあって作ったんだよ〜一ヶ月かかったんだぁ」
「月海よく頑張った」

 おかげで目の保養が出来たわ。首はまだ痛いがな。

「明けましておめでとう音」
「おめでとうまこちゃん、吉宗兄さんも。皆は?」

 中々戻って来ない私達を心配したのかまこちゃんが様子を見に来た……までは良いけどさ。何であんたまで女物の着物着てんだよ。吉宗兄さんを離してやんなよ目が死んでんだからさ。

「愛子が泥酔したから正宗が六条で休ませてる。桃李と麗子は普通に雑煮食ってるけど」

 まこちゃんに腕まわされて逃げようにも逃げられない吉宗兄さんが答える。まこちゃんああ見えて力強いもんね。

「私もお雑煮食べたい」
「良いよ音。神宮寺さんもどう?」

 ここに来ると空気になる透さんも遠慮がちながら家に入って来る。すいませんね客人なのに寒い所で待たせて。

「凛音〜あけおめ〜」
「うん……桃李兄さんは?」
「あんたの真横にいる」
「え? ……うわぁ!」

 ほんとに真横にいた。服的にも同化しやすい色だね。

「に、兄さんただいま」
「おかえり。僕ってそんなに影薄い?……いや答えてくれなくても分かってることだけどね」
「すみません桃李兄様」

 何重の意味でもすみません。それで怒らない兄さんは温厚の代名詞だよね。

「凛音。お餅何皿食べる?」
「二皿」
「……皿?」

 肉は食べないけどお餅は食べますよ私。え? おかわりが少ない? やだな何言ってんですか。

「二個なんだよね凛音……二皿じゃなくて」
「いいえ二皿です」

 透さんが見ているのはラーメンを入れるであろう大きなお皿に目いっぱい入ったお餅。多分ゆうに五か六個はお餅入ってますね。ね? 大食いでしょ? 鶏肉? そんなの食べませんよ。

「初詣は行ったの?」
「行った。おみくじもひいたよ」
「何だった?」
「……透さんは末吉」
「あんたは」
「……」

 無言になって気づいた。これ完全に無言の肯定なるやつだ。大凶引いたってバレてるパターンだ。

「リア充には丁度良いよ。滅びろまじ爆発しろや」
「月海だってモテるでしょ美人なんだから」
「美人でも身長があれなんだよ凛……」

 頸椎らへんを月海に掴まれて風柳は思い切り咳き込んだ。あ、そうだ気になる月海の身長? 百四十三センチ。ちっこいね……ゲフンゲフン! ま、まあいつか伸びるさ。

「こうなったら大吉引いてやる! 凛音の恋路も身長も全部盗ってやる!」
「私じゃなくて風柳の盗ってよ」
「もう散々試した」
「僕に何したの月海!?」

 想像はつくけどね。それで月海の引いたおみくじは……凶でした。破くなよ月海。

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