引きこもり姫の恋愛事情~恋愛?そんなことより読書させてください!~
引きこもり虫とぶりっ子
「いや〜ん死神に呼び出された〜怖いよたっく〜ん♡」
「大丈夫だよ。絶対守るからねみいちゃん♡」
うぜえ。一人で来いっつっただろうが。何で一対二なんだよ。
まあ死角には精鋭部隊――吉宗兄さん、まこちゃん、月海、風柳、華ちゃん、佐藤くんに佐藤くんの弟くん――が揃っている。
健くんはやっぱりまだ立ち直れてないらしいけど。可愛らしい顔をしてるからいじめられてたんだろう。
「みいちゃんを傷つけたら殺すぞお前」
物騒な。そっちから仕掛けてきたくせに。
「矢島さん。あなたは佐藤健君をいじめ、私にその罪をなすりつけましたね」
「そんなことしてないしぃ。うぇぇん私やってないよねたっくん」
「大丈夫だよ。俺は味方だから。今ならまだ許してやるからみいちゃんに土下座しろよ」
嘘泣き早いよ。土下座して欲しいのはこっちだ。証拠だってあるし。
「……矢島さん。彼氏いるのに佐藤くんにベッタリ張り付いてたんですね。それにその茶髪と長いツインテールはこの学校に少ないので目撃者は多いんです。そもそも私の妹が健くんと同じクラスなのですぐに」
「その妹もグルってわけだろ? 大体さっきから何熱くなっちゃってんの? 死神の話なんて誰も聞かねえって。行こうかみいちゃん」
「うん。職員室に行ってこいつ処分してもらおう」
おーい勝手に終わらせるなー。それに髪とピアスであんたらも注意受けるぞ。
「話は終わっていませんよ。まだ罪を認めて……」
「うっせーんだよ!!」
何か頬に打撃が。あ、殴られてるわ。
「お前よりもみいちゃんの方が社会に必要なんだよ。大体その佐藤ってやつが悪いのさ。みいちゃんに近づこうとしたから制裁しただけ。お前は徹底的に殴ってから」
拳が当たる前に止められる。後ろに男の人の体も感じるし。
吉宗兄さん……じゃないな。
「やっぱりお前らだったのか。健をこんなにしたのは」
「佐藤くん」
野球してるから筋肉は凄いですね。あ、ごめん。吉宗兄さんも鍛えてるよ? でもね、あの人細マッチョだから。
「誰?」
「あんだけ付き纏って忘れんのかてめえ。佐藤環。健の兄だ」
えーもう出ちゃうの? まあいっか。もう録音も出来たし。
証拠だけじゃ上乗せしたと思われちゃうからね。
「お前らと根尾の話はしっかりと録音させてもらったし、この傷を見れば死神だろうが何だろうが関係ないだろ」
「だから何? また戻ってきたら今度はほんとに外に出れないくらいいじめてやっても良いのよ? 私のパパの力を使えば」
パパ? この人もお嬢様だったの?
「六条家にも勝てるくらいか?」
「え?」
吉宗兄さん面白がってるでしょ。だって六条家に対抗出来るのなんて神宮寺家くらいだもん。少なくとも私が知る限りでは。
「六条家ってなあに? ま、私には勝てないでしょ?」
吉宗兄さんはにやりと笑う。あ、やべマジギレしてるわ。
「月海。愛子に連絡しろ」
「あいあいさー!」
ああああ。矢島さんが死んじゃう。まあ自業自得だけどね。
「戻るぞ。長居するつもりは無い」
「ちょっと待ちなさいよ! こんなことしてただで済む訳ないでしょ。たっくんやっちゃって!」
「ちっ。うるせーな」
吉宗兄さんがたっくんなる方を思い切り殴る。一発KO。ワーツヨーイ。
「おい女。お前もこうなりたきゃやってやるが」
兄さんの鋭い目つきに矢島さんはすくんでしまった。その内に私達は退散〜。
「あの男容赦ないね。乙女の頬を殴るなんて」
傷の手当てをしながら月海が愚痴る。勿論先生に見せた後なのであの二人はこれから処分が下される。
矢島さんの方はあの凶悪に潰されるから学校に来れるかも分からないしね。
「六条家をバカにするとはまあ凄い。尊敬に値するよ」
「ちなみに電話したら愛着たっぷりに『殺す♡』って申されました」
ご愁傷さまです。そしてさようなら。
「あ、あの……」
うぇ? あら健くん。
「す、すみませんでした! 僕のせいで怪我させてしまって」
健くんのせい? いや違うでしょ。
「君のせいじゃないよ弟くん。凛音のプライド的に許せなか……あ、プライド無いや。じゃあいじめっ子なんて知られたら平穏無事に読書が出来なくなるで良いよね?」
「プライドくらいあるよ。本のことを侮辱されたら怒りま……」
「それはプライドじゃありません」
じゃあありません。
「とにかく気にしなくて良いんですよ佐藤くん。音ちゃんが自主的にこういうことをするのは珍しいんです。あなたが気に病む必要はありません」
同じクラスの華ちゃんが慰める。
「凛華。これからいつあいつらが反撃に来るか分からないしあんたが見守っときな」
「あいあいさ〜」
「え、そんな……」
「仲良くしましょうね健くん」
有無を言わせない笑み浮かべないであげて華ちゃん。健くんもそんなにこくこく頷いたら目眩しちゃうよ。
「凛華に手を出したら殺……」
「よーしさっさと帰ろう!!」
ナイス月海。
荷物をまとめて下駄箱に向かう。
「……根尾」
「何佐藤くん?」
「悪かった」
それはどれに対して? いや、どれでも私は気にしないけどね。
「……また明日。バイバイ」
「ああ……バイバイ」
私達は帰路についた。
「さて今日の議題は分かってるわねぇ?」
愛子様ー。怖いデース。その顔おやめくださーい。
「とりあえず月海ちゃん。連絡ありがとぉ。おかげで準備が早めに出来ましたぁ」
「……はい」
「それで本題に入りましょうかねぇ。この頃学校で凛音ちゃんが傷を作ってるわぁ。あなた達ちゃんと守ってるのぉ?」
そんなに作ってる? 二、三個しか見つけられないけど。
「ごめんなさい愛ちゃん。だって言ったら愛ちゃん怪物化しちゃうでしょ?」
「ハンムラビ法典って知ってるぅ?」
愛子姉さんの受け売りか。いや、そこじゃないよ。
あ、あとね今の状況説明しとくと豊泉高校生が愛子姉さんの前で正座中ってわけです。
怖いよこの目が。正宗兄さんがいなくて良かった。
「とにかくこれ以上いじめがあるようならこちらも黙っていないからねぇ。そう理事長にも伝えときなさい吉宗ちゃぁん」
「……はいよ」
この後お説教は終わったけど矢島さんを見かけた者は誰もいなかった……こわっ!!
「大丈夫だよ。絶対守るからねみいちゃん♡」
うぜえ。一人で来いっつっただろうが。何で一対二なんだよ。
まあ死角には精鋭部隊――吉宗兄さん、まこちゃん、月海、風柳、華ちゃん、佐藤くんに佐藤くんの弟くん――が揃っている。
健くんはやっぱりまだ立ち直れてないらしいけど。可愛らしい顔をしてるからいじめられてたんだろう。
「みいちゃんを傷つけたら殺すぞお前」
物騒な。そっちから仕掛けてきたくせに。
「矢島さん。あなたは佐藤健君をいじめ、私にその罪をなすりつけましたね」
「そんなことしてないしぃ。うぇぇん私やってないよねたっくん」
「大丈夫だよ。俺は味方だから。今ならまだ許してやるからみいちゃんに土下座しろよ」
嘘泣き早いよ。土下座して欲しいのはこっちだ。証拠だってあるし。
「……矢島さん。彼氏いるのに佐藤くんにベッタリ張り付いてたんですね。それにその茶髪と長いツインテールはこの学校に少ないので目撃者は多いんです。そもそも私の妹が健くんと同じクラスなのですぐに」
「その妹もグルってわけだろ? 大体さっきから何熱くなっちゃってんの? 死神の話なんて誰も聞かねえって。行こうかみいちゃん」
「うん。職員室に行ってこいつ処分してもらおう」
おーい勝手に終わらせるなー。それに髪とピアスであんたらも注意受けるぞ。
「話は終わっていませんよ。まだ罪を認めて……」
「うっせーんだよ!!」
何か頬に打撃が。あ、殴られてるわ。
「お前よりもみいちゃんの方が社会に必要なんだよ。大体その佐藤ってやつが悪いのさ。みいちゃんに近づこうとしたから制裁しただけ。お前は徹底的に殴ってから」
拳が当たる前に止められる。後ろに男の人の体も感じるし。
吉宗兄さん……じゃないな。
「やっぱりお前らだったのか。健をこんなにしたのは」
「佐藤くん」
野球してるから筋肉は凄いですね。あ、ごめん。吉宗兄さんも鍛えてるよ? でもね、あの人細マッチョだから。
「誰?」
「あんだけ付き纏って忘れんのかてめえ。佐藤環。健の兄だ」
えーもう出ちゃうの? まあいっか。もう録音も出来たし。
証拠だけじゃ上乗せしたと思われちゃうからね。
「お前らと根尾の話はしっかりと録音させてもらったし、この傷を見れば死神だろうが何だろうが関係ないだろ」
「だから何? また戻ってきたら今度はほんとに外に出れないくらいいじめてやっても良いのよ? 私のパパの力を使えば」
パパ? この人もお嬢様だったの?
「六条家にも勝てるくらいか?」
「え?」
吉宗兄さん面白がってるでしょ。だって六条家に対抗出来るのなんて神宮寺家くらいだもん。少なくとも私が知る限りでは。
「六条家ってなあに? ま、私には勝てないでしょ?」
吉宗兄さんはにやりと笑う。あ、やべマジギレしてるわ。
「月海。愛子に連絡しろ」
「あいあいさー!」
ああああ。矢島さんが死んじゃう。まあ自業自得だけどね。
「戻るぞ。長居するつもりは無い」
「ちょっと待ちなさいよ! こんなことしてただで済む訳ないでしょ。たっくんやっちゃって!」
「ちっ。うるせーな」
吉宗兄さんがたっくんなる方を思い切り殴る。一発KO。ワーツヨーイ。
「おい女。お前もこうなりたきゃやってやるが」
兄さんの鋭い目つきに矢島さんはすくんでしまった。その内に私達は退散〜。
「あの男容赦ないね。乙女の頬を殴るなんて」
傷の手当てをしながら月海が愚痴る。勿論先生に見せた後なのであの二人はこれから処分が下される。
矢島さんの方はあの凶悪に潰されるから学校に来れるかも分からないしね。
「六条家をバカにするとはまあ凄い。尊敬に値するよ」
「ちなみに電話したら愛着たっぷりに『殺す♡』って申されました」
ご愁傷さまです。そしてさようなら。
「あ、あの……」
うぇ? あら健くん。
「す、すみませんでした! 僕のせいで怪我させてしまって」
健くんのせい? いや違うでしょ。
「君のせいじゃないよ弟くん。凛音のプライド的に許せなか……あ、プライド無いや。じゃあいじめっ子なんて知られたら平穏無事に読書が出来なくなるで良いよね?」
「プライドくらいあるよ。本のことを侮辱されたら怒りま……」
「それはプライドじゃありません」
じゃあありません。
「とにかく気にしなくて良いんですよ佐藤くん。音ちゃんが自主的にこういうことをするのは珍しいんです。あなたが気に病む必要はありません」
同じクラスの華ちゃんが慰める。
「凛華。これからいつあいつらが反撃に来るか分からないしあんたが見守っときな」
「あいあいさ〜」
「え、そんな……」
「仲良くしましょうね健くん」
有無を言わせない笑み浮かべないであげて華ちゃん。健くんもそんなにこくこく頷いたら目眩しちゃうよ。
「凛華に手を出したら殺……」
「よーしさっさと帰ろう!!」
ナイス月海。
荷物をまとめて下駄箱に向かう。
「……根尾」
「何佐藤くん?」
「悪かった」
それはどれに対して? いや、どれでも私は気にしないけどね。
「……また明日。バイバイ」
「ああ……バイバイ」
私達は帰路についた。
「さて今日の議題は分かってるわねぇ?」
愛子様ー。怖いデース。その顔おやめくださーい。
「とりあえず月海ちゃん。連絡ありがとぉ。おかげで準備が早めに出来ましたぁ」
「……はい」
「それで本題に入りましょうかねぇ。この頃学校で凛音ちゃんが傷を作ってるわぁ。あなた達ちゃんと守ってるのぉ?」
そんなに作ってる? 二、三個しか見つけられないけど。
「ごめんなさい愛ちゃん。だって言ったら愛ちゃん怪物化しちゃうでしょ?」
「ハンムラビ法典って知ってるぅ?」
愛子姉さんの受け売りか。いや、そこじゃないよ。
あ、あとね今の状況説明しとくと豊泉高校生が愛子姉さんの前で正座中ってわけです。
怖いよこの目が。正宗兄さんがいなくて良かった。
「とにかくこれ以上いじめがあるようならこちらも黙っていないからねぇ。そう理事長にも伝えときなさい吉宗ちゃぁん」
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