引きこもり姫の恋愛事情~恋愛?そんなことより読書させてください!~
引きこもり虫の訪問
ピンポーン。
『どちら様でしょうか』
「根尾凛音と申します。今日、神宮寺透さんにお呼ばれした者ですが」
『お待ちしておりました。今お迎えにあがります』
今日は約束の通り神宮寺さんのお宅で日向ぼっこをしながらの読書タイムだ。
ここ最近は学校が始まって全然読めなかったから貴重な時間だ。
「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、ご案内致します」
「あ、はい」
あれ、この人確か前にも。
「ああ申し遅れました。私は旦那様……透様の世話役を任されている松崎と申します。
先日はご挨拶もなさず申し訳ございません」
「あ、いえこちらこそ。根尾凛音です。よろしくお願いします」
松崎さん。あなた護衛では無かったのね。ずっとそばにいたから分かんなかった。
にしても大きい屋敷だなぁ。六条家と同じくらいなんじゃないかな?
あ、そういえば言い忘れてたけど強さの順で言ったら六条家が一番上で根尾家は下。まあ中小企業が大手企業に勝てるわけないけどね。
「根尾様。先に旦那様にご挨拶をなさいますか?」
「そうします」
無断で読書は流石に気が引ける。
「旦那様。根尾様がお見えになりました」
「ん? ああいらっしゃい凛音さん。禄に出迎えもしなくてごめんね」
「いえ。こちらが勝手に押しかけたようなものなので」
ところで神宮寺さんの部屋ってここですか? 凄いでかいんですけど。
「僕が言った場所は丁度そこだよ。休憩に良いんだ」
ここ? 確かに部屋から出てすぐに縁側があって移動もしなくて良いですね。
しかも見てみたら貴重な本がたくさんある!?
「あの……そこの棚にある本は」
「言ってくれれば貸してあげるよ。書庫にも色々あるから松崎に案内してもらって」
「じ、じゃあそこの星色夜空という本を貸してください」
「いいよ。はい」
どこの書店にも無かった『星色夜空』の三巻目……夢のようだ。
「ふふ」
今神宮寺さん笑った?
「何ですか?」
「いやごめん。そんなにこの本が読みたかったんだね。目がキラキラしてるよ」
目がキラキラ? 私はよく死んだ魚の目をしてると言われますが。
とか思ってたら松崎さんに何か伝えて篭っちゃった。
「旦那様は執筆中でございますので何かありましたらお呼びください。近くにおりますので」
「あ、はい。ありがとうございます」
なら早速座って読もう。
二巻目は親友の真理が罪を着せられて亜美が救おうとした所で終わっちゃったんだよね。
この後どうやって助けるのかな?
「……旦那様。失礼します」
「どうした松崎」
滅多なことでは表情を変えない松崎が困った顔をしている。何かあったのだろうか。
「その……根尾様が」
「凛音さん? 何かあった!?」
物音もしなかったが僕が気づかなかったか?
松崎を押しのけて急いで見ると彼女は――寝ていた。
「なんだ寝ていたのか。心配をかけるな松崎」
「すみません。本を大事に抱えていたので起こそうにも起こせなくて」
本を抱えていたから起こせないもおかしい気がするが……春先でも冷えるな。
「毛布を持ってきてやれ。このままじゃ風邪をひく」
「承知しました」
確かにここは眠くなる場所だな。今日は天気も良いし余計眠気を誘う。
流石に無表情なだけあって眠ってても頬は緩まないな。可愛らしいから別に突っ込みはしないが。
僕はそのまま彼女が起きるまで寝顔を見ていた。
……何か画面が傾いてる。人肌? 枕が暖かい。
「ん」
「起きたかい?」
神宮寺さんの声? あれ、何で頭上から聞こえるんだ?
目を動かしてみると枕は――これ枕じゃない足だ。
え? じゃあこの足の持ち主は
「神宮寺さん?」
「おはよう。くまがあったけど寝不足かい? ちゃんと睡眠はとらなきゃ駄目だよ」
あ、はいすいません……じゃない!
「膝枕なんて失礼でした。すみません」
いつの間に寝たんだ私。やばいよ、お邪魔までしてがっつり寝てるとか失礼極まりないよ!!
「大丈夫だよ。ずっと本を読んでいたからそんなに気にもしていなかったし。松崎、水を持ってきてやれ。寝起きは脱水症状だと聞くからな」
「承知しました」
すいません。ほんとにすいません。あれ、どこまで読んだっけ。まだ全然な気がする。
「今日中に読みたかった」
「持って帰ってもいいよ?」
……まじで?
「いいんですか? 神宮寺さんの本ですよ?」
「僕も何回も読んだからね。また遊びに来た時に返してくれれば良いよ。今日はもう夕暮れ近いしこれ以上は長居しちゃだめだし。送っていくよ」
夕暮れ? 私どんだけ寝てんだ!?
あ、父さんに連絡しとかないと。
「松崎。彼女を家まで」
「はい。根尾様、こちらへ」
あ、はい。
「神宮寺さんありがとうございます。また今度」
「ああ。さようなら凛音さん」
その後結局読書に費やして徹夜したのは言うまでもない。
『どちら様でしょうか』
「根尾凛音と申します。今日、神宮寺透さんにお呼ばれした者ですが」
『お待ちしておりました。今お迎えにあがります』
今日は約束の通り神宮寺さんのお宅で日向ぼっこをしながらの読書タイムだ。
ここ最近は学校が始まって全然読めなかったから貴重な時間だ。
「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、ご案内致します」
「あ、はい」
あれ、この人確か前にも。
「ああ申し遅れました。私は旦那様……透様の世話役を任されている松崎と申します。
先日はご挨拶もなさず申し訳ございません」
「あ、いえこちらこそ。根尾凛音です。よろしくお願いします」
松崎さん。あなた護衛では無かったのね。ずっとそばにいたから分かんなかった。
にしても大きい屋敷だなぁ。六条家と同じくらいなんじゃないかな?
あ、そういえば言い忘れてたけど強さの順で言ったら六条家が一番上で根尾家は下。まあ中小企業が大手企業に勝てるわけないけどね。
「根尾様。先に旦那様にご挨拶をなさいますか?」
「そうします」
無断で読書は流石に気が引ける。
「旦那様。根尾様がお見えになりました」
「ん? ああいらっしゃい凛音さん。禄に出迎えもしなくてごめんね」
「いえ。こちらが勝手に押しかけたようなものなので」
ところで神宮寺さんの部屋ってここですか? 凄いでかいんですけど。
「僕が言った場所は丁度そこだよ。休憩に良いんだ」
ここ? 確かに部屋から出てすぐに縁側があって移動もしなくて良いですね。
しかも見てみたら貴重な本がたくさんある!?
「あの……そこの棚にある本は」
「言ってくれれば貸してあげるよ。書庫にも色々あるから松崎に案内してもらって」
「じ、じゃあそこの星色夜空という本を貸してください」
「いいよ。はい」
どこの書店にも無かった『星色夜空』の三巻目……夢のようだ。
「ふふ」
今神宮寺さん笑った?
「何ですか?」
「いやごめん。そんなにこの本が読みたかったんだね。目がキラキラしてるよ」
目がキラキラ? 私はよく死んだ魚の目をしてると言われますが。
とか思ってたら松崎さんに何か伝えて篭っちゃった。
「旦那様は執筆中でございますので何かありましたらお呼びください。近くにおりますので」
「あ、はい。ありがとうございます」
なら早速座って読もう。
二巻目は親友の真理が罪を着せられて亜美が救おうとした所で終わっちゃったんだよね。
この後どうやって助けるのかな?
「……旦那様。失礼します」
「どうした松崎」
滅多なことでは表情を変えない松崎が困った顔をしている。何かあったのだろうか。
「その……根尾様が」
「凛音さん? 何かあった!?」
物音もしなかったが僕が気づかなかったか?
松崎を押しのけて急いで見ると彼女は――寝ていた。
「なんだ寝ていたのか。心配をかけるな松崎」
「すみません。本を大事に抱えていたので起こそうにも起こせなくて」
本を抱えていたから起こせないもおかしい気がするが……春先でも冷えるな。
「毛布を持ってきてやれ。このままじゃ風邪をひく」
「承知しました」
確かにここは眠くなる場所だな。今日は天気も良いし余計眠気を誘う。
流石に無表情なだけあって眠ってても頬は緩まないな。可愛らしいから別に突っ込みはしないが。
僕はそのまま彼女が起きるまで寝顔を見ていた。
……何か画面が傾いてる。人肌? 枕が暖かい。
「ん」
「起きたかい?」
神宮寺さんの声? あれ、何で頭上から聞こえるんだ?
目を動かしてみると枕は――これ枕じゃない足だ。
え? じゃあこの足の持ち主は
「神宮寺さん?」
「おはよう。くまがあったけど寝不足かい? ちゃんと睡眠はとらなきゃ駄目だよ」
あ、はいすいません……じゃない!
「膝枕なんて失礼でした。すみません」
いつの間に寝たんだ私。やばいよ、お邪魔までしてがっつり寝てるとか失礼極まりないよ!!
「大丈夫だよ。ずっと本を読んでいたからそんなに気にもしていなかったし。松崎、水を持ってきてやれ。寝起きは脱水症状だと聞くからな」
「承知しました」
すいません。ほんとにすいません。あれ、どこまで読んだっけ。まだ全然な気がする。
「今日中に読みたかった」
「持って帰ってもいいよ?」
……まじで?
「いいんですか? 神宮寺さんの本ですよ?」
「僕も何回も読んだからね。また遊びに来た時に返してくれれば良いよ。今日はもう夕暮れ近いしこれ以上は長居しちゃだめだし。送っていくよ」
夕暮れ? 私どんだけ寝てんだ!?
あ、父さんに連絡しとかないと。
「松崎。彼女を家まで」
「はい。根尾様、こちらへ」
あ、はい。
「神宮寺さんありがとうございます。また今度」
「ああ。さようなら凛音さん」
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